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ロワイエでの異変②

俺は屋敷の周りを中心に調査を開始した

しかし、それほど踏み込んだことは出来ない

俺の行動は逐一報告されているに違いない

万が一、それで憑依者に気付かれれば動きづらくなる


そして調査を開始してから数週間が過ぎた

聞き込みを中心に手がかりを探している

有力かと思われる情報の中に、行方不明者のうち多くは消える前に領主に呼ばれていたという話があった

しかし、領主に呼ばれたことと行方不明になることに関係あるのだろうか

この事件に領主が関係しているとは考えにくい


そして、別の違和感を感じた

俺が調査している間、行方不明者が出たという話を聞かない

話を聞く限り、過去の事件はもっと頻繁に起きていた

何か理由があるのか?


そう感じ始めた時、再び行方不明者が出たという話が出た

しかもその相手はマルコスという、あの時、領主の傍にいた人物だ



俺はクレマンに面会して直接事情を尋ねた

マルコスは今朝から領主の元に現れていないとのことだ

マルコスは屋敷に泊まり込んでいるが、その部屋にもいない

まさに突然消えたとしか思えない状況だ


発覚したのが今朝となると、行方がわからなくなったのは昨日という可能性が高い

俺はクレマンにマルコスの昨日の行動を訪ねた


日中はほぼクレマンの傍におり、領主の部屋で何人かの街の有力者の話を聞いている

夕方くらいから一人で雑務に入っていたとのことだ

事務関係の処理、書斎での文献調査、宝物庫の整理など


俺は昨日のマルコスの足取りを追った

そこに何か手がかりがあるのかもしれない

昨日、マルコスが一人で行動するようになってから会った人物

もはや、憑依者はこの屋敷に出入りしている誰かで間違いない


そして、俺はそれを見つけた

宝物庫の奥のほうにあった不自然な物体

それは長い刀だった

この世界で日本刀など見たことがない


そして、俺はヒルデから決定的な情報を得ていた

サラの神器は刀だと


その時、突如として背後から声が聴こえた


「やはりお前だったか」


俺に付いてきていた兵達も一斉に振り返る

兵隊長のヴェスパーレだった


「あの女、俺が殺した女だった」


あの女?


「お前、あの時、あの女の傍にいた奴だな?」


何を言っている?


「あの女だけでなく、お前まで転生してくるとはな」


・・・・お前まで?

いや、その前に


「お前達、そいつから離れろ!」


俺は周囲にいた兵に叫んだ

こいつが口にした転生という単語からして、もはやこいつが憑依者で間違いない

しかも、この口ぶり

俺の脳裏に浮かんだのは、俺達を殺した殺人鬼の顔だ


こいつは邪神リシャドルによってこの世界に黒い影として送り込まれた

そしてヴェスパーレに憑依した


しかし、なぜ兵隊長なんだ?

領主に憑依するほうがいろいろとやりやすいだろうに

俺の疑問にヴェスパーレは答えてきた


「あんな老いた身体に興味はない。この体を乗っ取った後に領主に成り代わればいいだけだ」


それがこいつの狙いの一つか

だから、わざわざ領主が疑われるような犯行を繰り返した

領主に疑念の目が向けられていれば、いざ領主を殺害したとしても悪を倒したと言い張ることが出来る

そして、領民からの支持も得られる


「足の負傷も演技だったんだな」


俺がそう言うと


「いや、違うな。あの傷はその刀によって付けられたものだ。だから、自然治癒を待つしかなかった」


そうか

神器によって付けられた傷は治せないわけではなく、通常の人間と同じように回復することは出来るんだな

だからこそ、傷が癒えるまでの間、新たな行方不明者は出なかった

そして、俺の正体にある程度気づいていたとしても動けなかったんだ


そして、サラはこいつと戦ったんだ

その結果、サラはヴェスパーレに神器を奪われ、その場から逃げるしかなかった

しかしヴェスパーレもまた傷を負い、サラを追えなかった


おそらく、サラは今、ヴェスパーレを倒すために他の転生者を探しているに違いない


ヴェスパーレは笑いながら語り掛けてきた


「あの女に再び会えたことはうれしかったよ。あんなかわいい娘を二度も殺せるなんてな」


こいつは確実に異常だ

俺の中で怒りがピークに達する


「俺もまたお前に会えてうれしいよ。まさかこの異世界でお前に復讐することができるなんてな」


そう言うと、俺は神器を出現させた

それを見てヴェスパーレも身構える


俺は周囲にいる兵に告げた


「よく、見ておけよ。こいつの正体を!」


そう言うと、弓を連射した

それを回避するヴェスパーレ


近づかせない

そう思った矢先、ヴェスパーレの姿が変貌していく


「やはり、このままでは分が悪いな」


そして正体を現したヴェスパーレの姿はまさに悪魔だった

真っ黒な体に、鋭く光る牙と爪

体はふた回りほど大きくなっている


次の瞬間


「転生者は一人残らず排除する!」


その言葉と同時に視界から消えた

相手を一瞬見失った俺は思わず後方に飛ぶ

次の瞬間、俺が立っていた場所が床ごと爪で抉られた


奴の行動は素早い

遠距離攻撃の武器では先読みするしか攻撃手段がない

しかし、奴の行動を確実に予測することはできない


俺は神器を消した

それを見て、ヴェスパーレは一瞬戸惑ったように見えたが、すぐに俺のほうに向けて突進してきた

俺は、その場にあったサラの刀を手に取り、居合い抜きの要領でヴェスパーレに向け横に薙いだ


一瞬、ヴェスパーレの姿が消えたように思えたが、奴の居場所はわかっている

・・・上だ


俺は再び神器を発現させ、上からの攻撃を盾で防ぐとともに、矢を放った

俺が至近距離から放った矢はヴェスパーレの左肩を貫いた

そして間髪入れずに放った矢をヴェスパーレは右腕で受けることでガードした


ヴェスパーレはその場から逃げ出す

俺は追いかけたが、奴は屋敷の窓を破って飛び降りた

この場所は屋敷の3階にあった

俺も同じように飛ぶわけにはいかない

しかし、奴はそれでダメージを負ったとしても神器以外の傷は瞬時に回復する

高所から飛び降りることなど全く問題がない


俺が階段を使い、庭に出た時にはもうその姿は無かった



一連の件の後、俺は領主に会い、事情を説明すると感謝の言葉を述べられた

何か褒美をとのことだったが、俺はサラの刀だけもらった


どうやら、女神の依頼以前に俺にはまたやらないといけないことが出来てしまったな

ヴェスパーレは俺が必ず倒す


しかし、まずはサラを見つけ出し、この刀を渡さなければならない

サラはきっと今、他の転生者を探している


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