表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

異世界の普通の家庭に転生、短い命だけど僕は幸せな人生を生きる

作者: ヤスヤナ
掲載日:2026/01/07

曹洞宗×異世界転生


少年が望んでいた、普通の生活。

だけど、『ソレ』は残酷にも伝えてくる。

「…はあ、やれやれ」

相変わらず、コレか。

僕は鏡を見るのをやめ、リビングに戻る。


そして、

「いってらっしゃい、お母さん、お父さん」

玄関で、2人を見送る。


お母さんは、ギルドの裏方。職員の食事を作る。お父さんは、人助け。困っている人を助ける。本当は、無償で助けたいらしいけど、人徳か、決まって何かお礼をもらう。本当は、城に勤めてもおかしくない実力者らしいけど。

そして、おばあちゃんもいる。70歳、魔法使い、だったらしい。今は魔法を使えなくて、13歳の僕とお留守番。たまに自分の過去を書いている、見せてもらったことはない。


「また、誰か助けてくるよ」

「美味しいご飯を作ってくるからね、母さんとお留守番よろしく」


「今日は、僕の夕食を楽しみにしていて下さい」

笑顔で僕は2人に言う。

キョトン、とされるけど、すぐに笑顔になり、僕の頭をわしわしと撫でて、出掛けていった。


「よし。

七草粥を作ろう」




七草粥。

新年になり、大体今くらいの日に。


元の世界であった文化。

なずな、はこべら、などで作る雑炊。

ありがたいことに、この世界にも米はある。


『ほら、七草粥たくさん作ったよ!』

『わあっ、いっぱい食べよう!』


顔はなんとか思い出さずに済んだ。

声だけ。

元、前の世界の。


今あるものに感謝しない、欲しい服を買って、旅行で贅沢して、食べたいものを食べきれないくらいまで買って、腐らせて捨てる。


「だから、この世界のお母さんとお父さんとおばあちゃんには感謝しないと」

今あるものに感謝し、欲を張らない3人に。

僕の望んでいた、普通の生活。赴粥飯法のような、感謝する。


よし、頑張ろう。


だが、

「七草粥って、なずな、はこべら、あと、何があったっけ」

探す以前の問題。


七草粥、七つの草なんだろうけど、何が使われているのかわからない。


テレビって、前の世界では、あって当たり前だったけど、作り方はわからなかったし、わからない。

そんな感じ。


「七草粥、七草粥。

僕は3人に感謝したいんだ、今日だけは欲張りになりたいんだ、この世界にはないものを」

考える、考える。


ど、どくだみ?


おばあちゃんに聞いても、困らせるだけだろう、ないものの作り方を教えてって、禅じゃないか。禅問答。


もう少し勉強していれば。

18歳で死んだけど、七草粥くらいは、なんとかできたはずだ。


「…ダメだ」

はあ。

約束が。




夕食のときが来てしまった。


「すみません、美味しいお粥を作ろうと思ったけど、できませんでした。約束を破ってごめんなさい」

僕は3人に頭を下げる。


『何で約束を破るのっ、折角楽しみにしてたのにっ』

『じゃあ作るなよ』


前の世界だったら。

きっと、この世界の、この人たちも。


だけど、

「息子が作ってくれた食事がある。

これ以上、何を望めばいいんだい?」

「ご飯作るの上手だね、凄いじゃん」

「これが、美味しいご飯」


心から、微笑んでそう言ってくれる。


そして、感謝しながら食べてくれる。

お粥を作った僕と、お米を作った人たちに、感謝しながら。


これは、僕の望んでいた普通の生活。

だけど、本当に、暖かい。


食後、鏡を見て僕は思った。

せめて、もっと長生きできないだろうか?


18歳で死に、異世界の貧乏だけど、望んでいた家庭の子に転生した。

今は、13歳。


あと、2年後に僕は何らかの形で死ぬ。

『相手の寿命が見える眼』

特別な眼が、それを知らせてくる。




ありがとうございました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
謎かけにつられて 最後まで読んでしまった。 何歳で死んでもいいもんだ その人次第
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ