中編
幻想省東北本部
金森は無事に任務へ山田を送り出せた事に安堵の息を吐く
先日来た時は一言も喋っていないため、かなり怒っているのかと警戒したが、今日会ってみると普段通り最低限の返事はしてくれ、怒っている印象もなかったため安心した、実際は謎のチャレンジをしていただけなのだがそのことは知る由もない。
そんな金森の元に歳上の後輩である東田が不満そうに近づいてきた
「金森くん、一つ聞いてもいい?」
「はいなんでしょうか」
「あの、山田とかいう若い星3ハンターにそんなに腰が低いわけだよ、星3なら異能もないってことだろ?」
この世には幻想生物の他にも超常現象が存在し、超能力や霊能力、魔法などがある、その能力を「異能力」と呼称し、その能力を持っている人間を「異能力者」と呼ぶ
異能力が発現する条件は血筋もあれば後天的な影響もある、しかし総じて全ての異能力は認識の力によるものという見解が出ている。
異能力者は、決して少なくない数の報告があり、強いハンターは全て異能力者である。
討伐課のハンターは所属した時は全員星1ハンターとして登録されて、実績を積むと星が増えて星2、しかし異能力があれば一気に星が増えて星4となる、異能力者はそこから実績を積むごとに星が増え最終的に星6ハンターと呼ばれる。
しかし異能力を持っていない場合は星3以降増えることはない。
星3と星4には異能力という超えられない壁があり、異能力者はその強さから特別視されている。
「発端は東田さんが山田さんと佐藤さんの二人に迷惑をかけたからですよ」
「っ、、にしても少し気を使いすぎじゃない?それでさっき聞いてしまったんだけど、ハンター殺しって?」
金森はハンター殺しという呼び名に苦い顔をする、東北本部では有名な話であり最近、関東から転勤で配属になった、東田の耳に入るのも当然だったが、事情を知っている人間からしたらあまり広めたくない話でもある。
しかし、デマを流されるよりはマシだと山田の過去について話す事にする
「これはあまり広めてほしくない話なんですけど、山田さんが以前所属していた事務所のハンターを全員殺害したという話は本当です」
「なっ!」
正直デマだと思っていた東田は驚くが間髪入れずに金森は続ける
「ただ山田さんが殺害した事務所のハンター、29名は全員粛清対象でした」
ハンターが過剰なルール違反をした場合は粛清という処分が降る、それはハンターの殺害を意味する。
幻想生物の情報の漏洩、一般人への攻撃、恫喝、救護拒否、敵対組織に与する行為、それらを行ったハンターは粛清対象となる。
多くのハンターは一般人よりも力を持っており法で裁くのが難しいため粛清という処置になる
「山田さんは何者なんだ?幻想省が直接ハンターの粛清を頼むハンターってこと?」
「というわけではないありません、我々はその事務所の悪行に気がついていませんでした、山田さんは粛清後、幻想省に報告し、事務所に到着した我々に自ら調査した証拠を叩きつけたのです」
「勝手にってこと?なんでそんなことを…」
証拠が揃っているなら幻想省に報告すれば自ら手を汚す必要はないはずなので疑問に思う
「詳しくはわかりません、しかし山田さんは星5ハンター1名、星4ハンター4名、その他星3ハンター以下24名を一人で粛清しています」
「は?異能力者もいたのに、それを一人で?」
異能力を持たないハンターが異能力者に勝つことはかなり珍しく、東田は直接見た山田が強そうに見えなかったためかなり驚く
「はい、事務所は半壊で様々な武器の痕跡もあってかなり計画的な行動だと推測できました。
山田さんもかなりの負傷をしていましたが、私はあの時の山田さんの執念深さをただただ、恐ろしいと感じました」
金森は口を手で覆い当時のことを思い出して恐怖しているように見えた
その様子を見た東田は言葉を失った
「ただ事務所の不祥事をもみ消すためなのか、山田さんに借りができたからなのか、幻想省は三ヶ月の謹慎という処分のみを山田さんに与え、その後は事務所に所属せずにフリーでハンターを続けています」
東田は山田の過去を聞き恐怖し、自身の対応を振り返り汗を流す
「え、俺って山田さんに恨まれたりは…」
顔が青くなった東田に金森はため息混じりに伝える
「そんなに分別がないわけではありません、元々山田さんは優秀なハンターです、報告書を見てわかったでしょう?」
それを聞き東田は山田が提出した報告書を思い出す、多くのハンターが適当な報告書を書く中山田の報告書は文句のつけようが無いほどに完璧だった。場所についての報告書は提出済みという文言が定期的に書かれてること以外は
「それは、そうだけど」
「でしたら、しっかりと謝罪すれば大丈夫ですよ」
「わ、わかった」
まだ不安そうにしているが、特にできることもないため金森は仕事を続けるために机に視線を落とす、東田その場から離れて席につき、先ほど感じたことを思い出す
(にしても、気のせいか?)
金森が口を覆った際、少し笑っているように見えたのは気にしないことにした
同時刻、山田は幻想生物と対峙していた
“う゛ぅぅぅぜぇぇぇぇぇろ゛ぉぉぉぉぉぉ!”
「喋れんのかよ、うざ」
幻想生物が手をかざすと木製の触手が大量に襲ってくる
山田はそれを飛び退き避け、金属の棒を幻想生物に投げつける
土地神はそれを素手で受け止める、その隙に右手の指についているリングを手のひらで撫でると全てのリングから小さい刃が飛び出し、殺傷能力が高いメリケンサックへと変わり殴りかかるが木を伸ばして防御する、それにお構いなしで何度も拳をぶつけると木が砕ける
土地神は目を見開き、鉄の棒を捨て、山田の攻撃を回避するために木に乗り距離を取る。
山田も追撃はせずに体制を立て直す
山田がやたらとつけている装飾品は全て特注の武器だった、現代日本で武器をそのまま持ち歩いたら、余裕で捕まる為それを回避するために装飾品として誤魔化していた
“ごぉぉぉじゃぁぁぁ”
「めんどくせぇ」
山田は金属の棒を拾うと、手に持ち一回ひねると鞘から刀を抜くようにスライドさせる、金属の棒は山田が気に入っている仕込み刀だった。
抜いた刀を右手に、鞘を左手に構える
土地神は木の触手を遠距離から山田に放つ
伸びてきた木の触手を刀で切り落とそうとするが弾かれてしまう、しかし軌道を変えることは成功しかすり傷のみ負う
(硬った、木っぽいけど木じゃないな)
“じぃぃぃぃね゛ぇぇぇぇ!”
追撃で木の触手が複数山田に襲いかかる、先ほどの失敗を活かして切り落とすのを諦めて大きく動き回避して、回避しきれないものは軌道をずらす。
2度木の触手に触れてやたらと硬く、凹まずに砕けることである予想を立てる
(これ、燃えやすいんじゃね?)
何かから逃げてきた土地神はちょこまかと逃げ回り攻撃が当たらない山田に余裕がなくなって攻撃が雑になってくる、この隙を見逃さずに山田は鞘を土地神に投げつけるが当たらずに木でガードされるが一瞬、ガードで山田への視線が塞がれた瞬間に木を登り土地神の真上に飛び、ポケットからライターを取り出し3回火を連続で着け土地神に落とす
“どぉぉぉぉごぉぉぉぉ!”
土地神は山田を見失う、周囲を見渡してすぐに上を向き、山田を発見し攻撃しようとするが山田が落としたライターが弾けて火炎瓶のように火が広がり、木の触手に火がつき燃え広がる
“びぃぃぃぃぁぁ!”
(ビンゴ、炭でも祀ってたのかね)
山田は燃え広がる様子を見ながらしっかりと着地し、距離を置く
山田は土地神が使う木は強度を上げるために水分が少ないのではないかと予想し、水分が少なく硬い木材は燃えやすいという性質を利用して火を放った、そして燃えやすい木は火持ちが短い
土地神は火を消すために木を振り回し周囲にも火が燃え移る。
そのうち灰になって死ぬだろうと刀を地面に突き刺しタバコを咥える、しかし土地神は火を消すのを諦め火がついたまま木の触手で攻撃を始める
「やべ!」
油断していた山田はなんとか攻撃を避けるが左の腕に攻撃がかすり肉を抉られる。
回転しながら刀を回収し距離を取るが追撃は止まなく右手だけでなんとか攻撃を回避する
“ごぉぉぉろ゛ぉぉぉずぅぅぅ!”
火をつけられ怒り心頭の土地神は執拗に山田を狙いながら山には火が燃え移り続け、煙で視界も悪くなり温度も上がり続ける。
火の元である土地神に近づけないまま回避に専念する山田だが左腕が使えないため致命傷は避けているがかすり傷など被弾が多くなり、土地神が死ぬよりも山田の方が先にやられると判断する、しかし逃げるにも土地神は山田を囲うように火を広げたため逃げ場がない。
(まずい、これは死ねるな)
追い詰められた山田は強力な爆弾を持たされたことを思い出し、迫り来る木の触手を見て、一か八か土地神に接近し、刀を投げつける
土地神は刀を腕を振り払って弾き、無防備な山田の胴体に木の触手で攻撃を仕掛ける
“あ゛ぁぁぁぁぁ!”
「ちっ!」
山田は攻撃をモロに喰らい、炎を突き抜け、木を薙ぎ倒しながら、吹き飛ぶ
それを見て胴体に風穴を開けあそこまで吹き飛べは死ぬだろうと勝利を確信した土地神が触手を見ると先端が炭化し崩れていた。
そして足下に見覚えのない物体を見つけて顔色を変え逃げようとした瞬間、その物体が爆発した
“がァァァァ!”
爆風が落ち着くと爆発でできた2メートルほどのクレーターの中心に土地神は倒れていた
山田は刀を投げて土地神の注意を逸らして、強力爆弾を土地神の足下に投げていた、木の触手の先端が炭化していたので攻撃を喰らっても人体を貫かれないと判断して、爆発から逃れ火を抜けるために敢えて攻撃を喰らった
しばらくすると腹を抑え血を流しながら山田がクレーターまで来て、土地神が動かないことを確認しタバコを咥える
「死ぬかと思った…2度とこの回避はしねえ、ちっ」
火をつけようとするが、ライターを使ったことを思い出し舌打ちをすると横から火がついた枝を差し出される
「使う?」
差し出された方を向くと土地神の討伐任務を受けていたはずの星6ハンター安倍晴樹が無傷で立っていた
「…どうも」
山田は枝を受け取り火をつけて煙を吐き出し枝を投げ捨てる
「君、大丈夫?ボロボロやね」
白々しく山田を心配する安倍にため息を吐きながらしゃがみ込む山田
「…はあ、あんた、俺が戦ってる時、見てたでしょ」
「あ、バレてた?ごめんね、面白く戦ってたから見入ってしまったわ、君、名前は?」
「………山田です」
他人に、ましてや星6ハンターなんかには関わりたくない山田は名乗るのを渋るが、どうせ伝わってしまうだろうと諦めて短く名乗る
「山田くんね、結構強いやん、この幻想生物そこそこ強いと思ったんやけど、星はなんぼ?異能力はあるん?使ってへんかったけど」
安倍の質問に答えるのがめんどくさく、逃げようかと思ったが、ダメージが残っており逃げるほどの体力はなく諦めて座り込む
「星は3で、異能力はないです、後そいつまだ死んでないんでとどめ刺してもらっていいっすか?」
山田はまだピクピクと動いている土地神を指を刺す
「ここまで追い詰めて自分でとどめ刺さへんの?」
「元々あんたの任務っすよね」
「お、自分に花持たせてくれるんや」
「関わりたくないだけっす」
そっけなく返す山田に対して、安倍は怪しくニヤリと笑い、袖から札をだす
「山田くん、おもろいわー、そうやね逃してしまった責任もあるしパパッとやったるわ」
札を土地神に向かって投げると吸い付くように土地神に張り付く
「急急如律令」
安倍そう唱えた瞬間、土地神の体が少し震えて動かなくなった
「特製の安楽死札や、ええやろ?」
「まあ、そっすね」
山田は星6ハンターの攻撃はもっと派手だと思ったので少し肩透かしを食らったがなにも言わなかった、しかしそれを知ってか知らずか安倍は話始める
「なあ、山田くん、この幻想生物って土地神やってん」
「はあ」
「大昔にこの土地を守っている何かが欲しいって願いから生まれた生き物が、今やこの有様や、ほとんどの人から忘れ去られても昔の願いで土地を守り続けてた、やけどちょっと前に来た変な輩がこの山で祠見つけてしまってん、そいつがSNSでこの祠が怖いって発信しただけでなんも知らん奴らが勝手に人を脅かす化け物って認識してしまったんや」
山田はその時何故安倍が安楽の札を使って穏やかに殺したのかを理解した
「幻想生物ってのは純粋な生き物やと思わん?人に認識されただけで悪にも善にもなってまう」
そう呟いた安倍の表情は少し寂しげに見えた
「山田さーん!」
名前を呼ばれて振り返ると真壁が応援を連れて戻ってきていた、山田はタバコの火を消し、首だけ振り返り軽く手を振る
「ご無事でしたか!わ!めっちゃ怪我してるじゃないですか!」
真壁は山田の手を握り怪我の手当てを始める、山田は断ろうと思ったが抵抗する気力もないため、されるがままになっていた
「真田さん、ありがとうございます」
「真壁です!それで幻想生物は?」
真壁の質問に安倍が答える
「そこやで、いやー、ほとんど山田く」
「俺が足止めしてたら星6ハンターさんが助けてくれました、もちろん倒したのはこの人です」
安倍の言葉を遮り答える山田
討伐に関わったとなると、報告などで時間がかかってしまうそれを回避するために、自分は何もしていないとアピールする
その時真壁は初めて安倍がいることに気がついた
「あ!星6ハンターの安倍さん!良かったー!私を逃した後山田さんが死んじゃってたらどうしようかと思って…」
山田は安倍に目線を送り余計なことは言わないでくれと祈り、それに気がつき安倍もとりあえず黙る
他のハンターも集まってきて、幻想生物の死体や戦闘痕を処理し始める
武田も現場に着き安倍と山田に声をかける
「安倍さん、お疲れ様です、山田くんも大変だったな」
「いえ、この、えーと…星6ハンター様に助けてもらったんで」
「安倍晴樹やで、そうやねー、なんとか山田くん助けられたわー、自分が倒すん間に合って良かったわー」
わざとらしすぎる安倍の返しに勘弁してくれと頭を抱える山田
状況を理解していない真壁は疑問だったが、山田の性格をある程度理解している武田はなんとなく察した
「わかりました、処理はこちらでやっておきます、山田くんは応急処置しなくちゃな、下に車止めてるからそこで、引き続き真壁ちゃんに任せていい?」
「はい!山田さん!行きますよ!」
「はーい」
山田の治療を一旦止めて真壁は肩を貸し立ち上がらせる、武田は山田にだけ聞こえるように耳元で囁く
「武器はこっちで回収しとくから」
「…あざす」
山田と真壁は治療のためその場から離れる
武田は安倍に声をかける
「安倍さんは、どうしますか?」
「んー、処理任せてええなら自分も山田くんとこ行くわ、ほな」
「わかりました」
安倍も去り残った武田は山田が残した武器の残骸を回収し始めた
山を降り幻想省が用意した車で真壁から治療を受けている山田
真壁は慣れた手つきで応急処置をしていた
「山田さん、左手動きます?」
抉られた左手の傷に出血を抑えるために包帯を巻いてもらう、傷は骨まで達していなく山田は軽く手を上げる
「動きはします、ただめっちゃ痺れる感じあるんで神経いかれてるっすね」
「痛くないんですか?」
冷静な返しに真壁は戸惑いながら質問する、明らかに重症なはずなのに表情を歪めない山田に違和感を覚え、痛みを感じないのかと疑ってしまう
「痛いっすよ」
「ですよね⁉︎なんでそんなに冷静なんですか⁉︎」
当然のように答える山田に思わずツッコんでしまう
「慣れてるんで」
「慣れてるって…山田さん結構重症ですよ?腕もそうですけど、お腹も絶対骨折れてますよ?」
山田は腕の治療のためにボロボロになった上の服を脱いでいて、腹筋の辺りが青黒く変色していた、土地神の攻撃は人体を貫かなかったが木の先端が炭化して砕けていなかったら致命傷になりうる威力があった為、当然骨も折れている
「まあ、ある程度動ければいいんで、すいませんありがとうございます」
ある程度治療が終わり山田は上着を着て立ち上がる
「お礼を言うのは私の方ですよ、言いそびれちゃったんですけど助けてくれてありがとうございます」
「…別に気にしなくていいっすよ、助けを呼んで欲しかっただけなんで」
「でも!命を救ってもらったことには変わりありません!」
山田は何かして欲しくて助けたわけではなく、助けられる位置にいて咄嗟に動いてしまっただけなので、決して善意ではなく、礼を言われるのは悪い気はしないがここまで食い下がられるとめんどくさいと言う感情が勝ってしまい、困っていると安倍がタイミングを見計らったかのように歩いてくる
「助けたんなら胸張ったらええやん、照れんなや山田くん」
「…まあお互い生きてて良かったってことで」
「はい!」
照れてると言うところを否定したかったが全身が痛く、めんどくさいが勝った為当たり障りなく切り抜ける
安倍は怪しげな笑みを浮かべながら山田に近づき、真壁に聞こえないよう耳打ちをする
「ほんまによかったん?ほとんど山田くんが倒したみたいなもんやん」
「俺が討伐に大きく関わってたら、報告とから面倒なんで星6ハンターさんが俺を助けたって言ってくれた方が俺は楽です」
「報酬とか結構変わるで?5倍はなるんちゃう?」
安倍が受けた依頼は星5ハンター以上しか受けられない依頼で報酬も破格だった
しかし山田は今までの経験から今回の討伐は報告がかなりめんどくさいと判断する
「余裕で黒字なんで警備報酬だけもらってさっさと帰りたいっす」
「ほんならええけど」
安倍は山田が謙虚なのかと思ったが、山田の顔を見て本当にめんどくさがってると理解してこれ以上の追求を止める
耳打ちをやめて改めて山田と向かい合う
「なあ、山田くん、君東京とかでハンターやる気」
「ないです」
安倍の勧誘を食い気味で断る山田
断れれるとは思っていたが思ったよりも食い気味で相当された為面食らってしまう。
一瞬の間があり安倍は笑いだす
「はは、即答かい、ハンターにとって自分からの誘いなんて喉から手が出るくらいやって言うのに」
「そ、そうですよ!すごいチャンスじゃないですか!」
「勘弁してください」
山田は顔を顰める、現状の生活に満足していて、出世したいわけでもない山田にとってこの誘いはめんどくさいだけだった。
「まあ、予想はしてたからええけど、せめて山田くんの連絡先教えてーや」
「あ、私も知りたいです!」
「…スマホ壊れてて」
安倍と真壁は携帯を手に持ち迫ってくる。
なんとか波風立たせずに断ろうとスマホが壊れたと言う、実際かなり激しい戦闘をした為壊れていてもおかしくなく、違和感はなかった
しかし、次の瞬間山田のスマホから通知が鳴り響く、山田以外のスマホは手に持っている為、もう言い訳は効かなくなり、通知を恨む
(誰だよ!こんな時に!タイミング悪すぎだろ!)
「スマホ、無事みたいやね?」
安倍がニヤリと笑い、山田は観念してスマホを取り出す、通知をチラッと確認したら佐藤からだったので帰ったら一発殴ると心に決めた
二人と連絡先を交換する羽目になりため息を吐く
「困ったことあったら連絡してきてな、自分もまた頼らせてもらうわ」
「私も!連絡しますね!」
「どうぞ、ご自由に」
諦めて項垂れていると、複数のハンターが山から降りてきた
安倍がハンターたちに手を振ると武田が向かってくる
「安倍さん、処理は大体完了です、後は応援待ちで数人待機させます。その他の人たちは解散でいいですかね?」
「おお、ご苦労さん、自分残るからみんな帰してええで」
「わかりました。では今日はありがとうございました」
「こちらこそ、また機会があったら、山田くんまたな」
安倍はひらひらと手を振りながら山へ入っていく、山田も軽く手を上げて答え、他のハンターは綺麗にお辞儀をする
武田は集まってるハンターに向かって声をかける
「さて、みなさん安倍さんに任せて帰りましょうか、お疲れ様でした」
口々にお疲れ様と言いながらその場から去っていくハンターたち、山田も帰ろうと乗ってきた車に向かうと武田に呼び止められる
「山田くん、病院まで送るよ」
武田は幻想省から自家用車で来ていた為、山田を誘う
山田は武田が自分が放置した武器を持ってきてくれてるのを見て、乗せてもらうことにした
「あざす、お願いします」
「じゃさっさといくか、痛そうだしね、真壁ちゃんもまたね」
「はい!お疲れ様でした、山田さんもまた!」
「機会があったら」
真壁は武田と山田二人に手を振り別れる
山田は苦い顔をし、武田は二人を見てニヤニヤしていた
「山田くんも隅に置けないね!」
武田に肩を叩かれ後ろを振り返ると真壁はまだ手を振っていて、山田は首を傾げる
「多分そんなんじゃないっすよ」
「またまたぁ」
何故か嬉しそうにしている武田にため息を吐き、二人は車に乗り込み現場を後にした
車はしばらく進み山田は口を開く
「武田さん、あの、真壁さん?知り合いですか?」
「お、やっぱり気になってたかぁ」
「もうそれでいいっす、あ、タバコ吸いますね」
山田はタバコに火を付け、武田は窓を開けて自身もタバコに火をつける
「でも残念ながら知り合いってほどでもないんだよね、初めて会ったのが1年前ぐらいかな?
今日みたいな依頼でちょっと質問に答えたぐらいだね」
「へえ、1年前…」
「星3以下で女性ハンターって珍しいからね、覚えてたよ」
「ですよね、俺は初めてっすよ」
異能力を持たないハンターは、基本的に男が多く、女性はかなり少ない
星4以上の異能力者は男女比に偏りはない
その為真壁はかなり珍しい
「おじさんたちにやたらと可愛がられてる印象があるね」
「ああ、ゴルフとか釣りとかと一緒っすね、若い子を囲いたがる」
山田は噂のこともあり年長のハンターからは嫌われているため、軽く毒を吐きながら例え、その例えに武田も笑う
二人は歳はかなり離れているが付き合いが長く武田は山田が高校生の頃から知っていて、仲はそこそこよかった
「工業高校とかとあんま変わんないの男って感じがするよね」
「おっさんになって金持ってるから厄介っすよね」
「違いない」
「そういえば武器ありがとうございます」
山田は後部座席に積んであった山田が持ってきた鉄の仕込み刀を指差し礼を言う
「別にいいよ、と言うか、あの幻想生物倒したの山田くんでしょ?」
「あー、とどめは刺してないっす」
苦い顔で答える山田に軽く笑う武田
「また、めんどくさいからって、もっとアピールしていけばいつか誤解が解けるよ」
「誤解されたままでいいっすよ、そこまで誤解じゃないし」
「いや、誤解だよ、山田くんにとって今の状況は楽な部分もあると思うけど、変な輩とかが絡んでくることもあるでしょ?」
心当たりがあり目を逸らす山田
実際、ハンター殺しの噂のせいで山田は以前からの知り合い以外のハンターから避けられている。
人と関わりたくない山田としては都合が良かったが、噂を聞いて逆に関わろうとしてくる輩もいてそれについては辟易していた。
その為山田は本部には滅多に近づかない
「そん時はなんとかしてますよ、佐藤もいるし」
「ならいいんだけどね」
武田から見て、山田は事件後から佐藤に出会うまでの期間、ずっと死んだように生きていたように感じた、誰とも関わろうとしないで最低限の仕事だけしかしなく、表情はいつも死んでいた。
しかし佐藤と出会って昔ほどではないが元気そうに見えて、嬉しかった
「今度飯行こうか」
「お、寿司っすか?」
「なんで毎回俺と飯行く時、寿司確定してるの?」
「武田さんといえば寿司っすから」
「山田くんが毎回寿司って言ってるんじゃん、まあ俺も寿司行く気だったけど」
その後二人は病院まで行き
山田は軽く診察と治療を受けた
武田は病院で待っていて治療を終えた山田を家まで送り、二人は別れて山田は家に着いたのはすっかり夜だった
家に入ると佐藤がソファに座りながらテレビを見ていて、テレビを見ながら山田に声をかける
「おかえりぃ、遅かったね」
「ただいま、色々あって」
「ほー、映画始まる前でよかった、え?めっちゃ怪我してるじゃん」
山田は装飾品を外して上着を脱ぎソファの後ろに寄りかかりテレビを見る
後ろに来た山田に佐藤が目を向けると包帯だらけの山田に驚く
「そう、土地神っぽいやつと戦ったわ」
「ま?依頼内容警備だよね?なんで?」
佐藤はあるものを取りに行くために立ち上がる
「成り行き、後で話すわ、とりあえず気合いで風呂入ってくる」
そういいながら病院で巻いてもらった包帯を全て外しながら風呂に向かう山田
その様子に佐藤は信じられないものを見る目を向ける
「無茶すぎる、絶対痛いよ」
「煤まみれ、土まみれ、汗まみれだから、この状態で布団入りたくないし」
「変なとこ潔癖だよね、その怪我で風呂入るやついないよ」
佐藤の忠告を無視してリビングを後にする山田
佐藤は目当てのものを見つけテーブルに置き、テレビを見始める
少し経つと風呂場から山田のぼやきと舌打ちが聞こえてきてため息を吐く
「やめといた方がいいのに」
数十分ほどで青い顔の山田がズボンだけ履き血に染まったタオルを肩にかけながら戻ってきた
「風呂場殺人現場みたいになったわ」
「そりゃそうだ、ほら」
山田がソファに座ると佐藤は先ほど用意していたものを山田に渡す
それは白い丸い容器に茶色い蓋のオロミリオンと書かれた軟膏のようなものだった
「あざ、お湯で血行が結構良くなって止まったはずの血が吹き出したわ」
そういいながら蓋を開けピンク色のクリームのような中身をすくって傷口に塗り込む
「血行だけにね、顔色悪すぎ」
佐藤は山田がオロミリオンを塗った箇所に包帯を巻いていく
「あざ、血が足りん」
「コンビニでなんか買ってくるよ、何食いたい?」
「レバー、肉、鉄分のサプリ、トマト」
傷全てにオロミリオンを塗り、包帯も巻き終わり、佐藤は立ち上がってコンビニに行く準備をする、山田はソファに体を預けタバコに火をつける
「まあ、血が生成されそうなもの買ってくるよ」
「頼むわ、流石に動けん」
準備を整えてリビングから出ようとする佐藤に山田は声をかける
「あ、あと、コーラとポップコーンな」
「映画楽しむ気満々じゃん、オッケー」
一人になった山田はスマホを開くと通知が来ており、交換したばかりの真壁からメールが来ていて、特に何もせずにスマホを置きテレビを見始め、気がついたら意識を失い眠っていた
その後物音で目を覚ますと佐藤が帰ってきておりテーブルにコンビニの袋を置いていた
「ああ、寝てたわ」
山田の声を聞き佐藤が顔を向ける
「気絶でしょ、色々買ってきたけど食える?」
「腹は減ってる」
山田はコンビニの袋を漁り始め、佐藤はソファに座る
「お、レバニラあるじゃん、後トマトジュース」
「食えるなら食いな、あ、映画始まったね」
テレビに目を向けると、21時になっておりテレビで映画が始まった
それを見ながら山田はレバニラを開けて食べ始める
「今日なんだっけ?」
「温めてないのイカれてるわ、去年公開されてた恋愛ものだね」
普通は温めるパックに入ったレバニラを冷たいまま食べ始める山田に慣れたように引く佐藤、そんなことを気にせずに山田は箸を進める
「ああ、気になってたけど映画館行くのめんどくさがったやつだ、ちょうどよかったわ、見たことある?」
スマホをいじり始めた佐藤に聞くと目線も向けずに答えが返ってきた
「うん、ヒロインだと思ってたらクソ女だったってやつ」
「なに、的確にネタバレだけ言うんだよ、1番やっちゃいけないやつだぞ」
佐藤の最低な返しに箸を向けながら文句を言う山田
「ごめんごめん、でもおもしろかったよ?」
「萎えるわー、まあ気にせず見るけど」
佐藤も買ってきたものを食べながら二人で映画を見進める、特に決めたわけでもないが金曜の夜はテレビで映画を観るのが二人のルーティンで二人ともそこそこ楽しみにしていた
映画が終わりご飯も食べ終わり二人でタバコを吸いながらゆったりと感想を言い合っている
「いやー、おもろかったな」
「それな、感動系だったね」
佐藤が山田に目を向けると山田の目は若干潤んでいた
「お前謎に涙脆いよね」
「泣きかけたわ、最近涙腺がやばくて」
実際、山田は映画が好きでよく観ている、そして子供向けのアニメ映画でも泣くほど涙脆かった
「恋愛映画で涙を流す成人男性ね」
「いや、あれは泣くだろ、両親からの鼓舞がアツかった」
一通り感想を言い合うと、山田のスマホが鳴りそれで思い出したかのように佐藤が聞く
「そういえば、今日どうしたの?お前のスマホから通知音とか珍しいし」
「あー、結構やばかったんだけど」
山田は佐藤に今日起きたことを説明する
「え!あの強力爆弾役立ったんだ!買ってみるもんだね」
「な、もういらないとはいえないわ、命救われたし」
山田はスマホを佐藤に見せる
「そんで、今日連絡先交換した女のハンターからメールが来てると」
「おー、ついに春が訪れたね、なんて返信するの?」
佐藤の発言で苦い顔をしながらスマホを置く山田
「めんどいから、明日昼ぐらいに思い出したら寝てたって返す」
その発言で頭を抱える佐藤
「ないわー、お前その子惚れたんじゃないの?」
「俺に?ないない、多分そんな感じじゃない」
感じよく接した覚えがないため、完全に否定する山田
「命救ってるんだから、ワンチャンあるでしょ?」
「しつけー、関わりたくない」
異様に否定する山田に佐藤もムキになってしまう
「その子かわいそうじゃん、何か用があるのかもしれないし」
「まあ、見るだけはするわ」
メールの内容すら見ていない山田は仕方なくメールを開き、佐藤もスマホを覗き込む
「えー、なになに、『今日はありがとうございました、その後は大丈夫ですか、お大事にしてください、そして助けてくれたこと嬉しかったです、良ければお礼がしたいのでご飯行きませんか、少し相談もあるので聞いてくれると嬉しいです、もちろん怪我が治ってから』と
脈ありそうじゃん!」
わざわざ声を変えて返信を読み上げる佐藤を鼻で笑う山田
「女声おもろ、しゃーないから返信するわ」
山田が返信を打ち込み始めそれも覗いていた佐藤が途中で山田の頭を叩く
「いて、俺怪我人だぞ?」
「馬鹿?行きたくないので勘弁してくださいじゃねーよ」
脈を止めるほどの山田の返信に呆れ返る佐藤
「だって行きたくないんだもん、めんどいし、胡散臭いし」
「そんな迷惑メールじゃないんだから、その子の顔は?」
「あー、覚えてない」
山田からスマホを奪い取り真壁のメールのプロフィールを開く佐藤、そこには真壁の自撮りの写真があった
「え、この子?」
その写真を山田に見せる
「あー、そうだわ、顔は可愛かった」
「絶対行け!お礼って言ってるし、相談もあるみたいじゃん」
「休日潰したくない、あ、その日予定があることにしよう」
名案を思いついたかのようにスマホを奪い取り文字を打ち込む山田をまたしても頭を叩き止める佐藤
「日付指定されてないでしょ!めんどくさがんないで行ってみればいいじゃん」
しつこく、行けと言う佐藤に顔を顰める山田
そして佐藤が見てない隙に返信をした
「そんなに言うならお前が行ってください、もう返信しましたぁ」
「は?何やってんの?」
佐藤にスマホを見せつける山田、画面を確認すると
「礼は受け取ったので大丈夫です、相談については俺では力不足なのでいい友人を紹介します」と佐藤の連絡先と共に返信していた
「お前、ふざけんなよ、ないわー」
「いつも言ってるだろ?適材適所、俺にこの人の相手は荷が重い、頼むよぉ」
もう一度叩こうかと思うが、そこまで嫌がっているなら仕方ないと諦める佐藤
「わかったよ、でもお前じゃないとダメだと思うけど?」
スマホの通知音が鳴り確認すると山田はニヤリと笑い、佐藤に画面を見せつける
「大丈夫だって、お願いしまーす」
画面を見ると乗り気な返信が来ており、早速佐藤のスマホに通知が来て確認すると真壁からだった
山田に会いたいからご飯に誘ったと思っていた佐藤は驚いたが言ってしまったものは仕方ないとため息を吐く
「わかったよ、代わりにデートしてきてやるよ、僕に惚れても後から文句言うなよ」
「言わねーよ、ついでに俺はあなたに興味ないって伝えてきて」
「言えるわけないでしょ」
相変わらず最低な発言に呆れながら真壁に返信して予定を決めていく佐藤
山田は片付けを始める
「とりあえず明日会ってくるね」
「早や、オッケー」
「とりあえずお前は療養してることにするから」
「ま、なんでもいいや、気をつけてな俺はもう寝る」
片付けを済ませて山田はリビングを後にした
次の日
山田は目覚めるとあくびをしながら、スマホを確認すると昼過ぎだった
寝過ぎたと思いながらリビングに向かうと佐藤はすでに出掛けていてソファに腰を下ろしてタバコに火をつけ、テレビをつける
しばらくぼーっとテレビを見ていて、包帯を外し始める、すると昨日までの傷が塞がりほとんど治っていた
「さすがオロミリオンだな」
オロミリオンは二人が愛用し盲信している回復薬で塗って寝ると一晩で大抵の怪我が治っていると言う優れものだ
傷口に違和感があるが痛みはほぼ消え、貧血もマシになった
するとスマホの通知音が鳴り確認すると佐藤からで、内容はいい雰囲気で飯を食ってくると言う内容だった。
それを確認すると山田はため息を吐きながら電話をかけ始める
「もしもし?俺、ちょっと調べて欲しいことがあってさ」
同時刻
佐藤は山田にメールを送り顔を上げ、隣に立っている真壁に声をかける
「んー、あいつ寝てるね、返信ないし」
「そうですか、私のせいでもあるので心配です」
山田の怪我のことで俯いて不安そうな顔をしている真壁に明るく声をかける
「昨日も案外元気だったし大丈夫だと思うよ、それよりさ、何が食べたい?」
「私はなんでも大丈夫です!今日は無理言って来てもらったので、佐藤さんが食べたいもの食べに行きましょう!」
「そう?ならさ、ちょっと気になってた店があるんだけど、そこ行ってもいい?こっから結構近いし」
「はい!」
二人はそこそこに会話をしながら歩き数分で目的の店に辿り着く、そこは高級そうな和食の店だった。
「ここですか?結構高級そうなんですが…」
「まあ、少しね相談あるって言ってたし仕事のことでしょ?ここなら個室あるから話しやすいかなって、それにここは僕が出すからさ」
「え、そんな配慮までしてもらって悪いですよ」
申し訳なさそうにする真壁、しかし佐藤も山田にデートと啖呵を切ってしまったので引くわけにもいかない
「気にしないで、ほら、山田のやつに応急処置してくれたらしいじゃん、それのお礼だと思ってさ」
「助けてもらったのでせめて応急処置はと思ってやっただけですよ、でもそんなに言ってもらえるなら遠慮なく、ご馳走になります!」
真壁の対応に心の中で感動し二人は店に入り個室に通されて席に着く、少し悩んでから注文をし待ち時間に雑談をし、来た料理を食べ終えたあたりで佐藤が切り出す
「それで、相談ってどんなこと?」
真壁は座り直して姿勢をよくして答える
「えっと、私一応ハンターなんですけど、なんか想像してたようなハンターになれてないなって思ってですね、依頼も誰かにくっついていくだけですし、昨日も山田さんに助けてもらってなかったら死んじゃってましたし、2年やってるんですけど成長してる気がしないんですよね」
真壁は己の力不足について悩んでいると言うことだった。
佐藤は少し悩んでから答える
「真壁ちゃんの理想のハンターってどんな感じなの?」
「それはもう、悪い幻想生物を頑張って倒して、人を助けるかっこいいヒーローみたいな人です!昨日の山田さんみたいに私を助けて、自分がボロボロになりながらも敵を倒すみたいな!」
キラキラした目で語る真壁、そこで佐藤は真壁が山田を気にする理由に納得する。
話を聞く限り、昨日の山田は、真壁の理想のムーブを無自覚にしていたと言うことだろう。
「なるほどね、でもさ、真壁ちゃん星2ってことは異能は持ってないんでしょ?」
「はい、欲しかったんですけどね」
「まあ、それはしょうがないよ、異能力を持ってないハンターは基本的にそんな派手な仕事が多いわけじゃないし、警備とか調査、なんなら巡回とか、幻想省から雑用押し付けられてるみたいな仕事が多いしね」
異能力を持っていないハンターは余程の実績と自信がない限り幻想生物を討伐することは少なく、治安維持や強いハンターのサポートをすることが多い
「それはここ2年で感じてます、でも山田さんも異能力持ってないんですよね?それなのに星6ハンターが受けた依頼の幻想生物を倒すこともできてるじゃないですか」
佐藤は危険に突っ込もうとする真壁にやんわりとやめた方がいいと伝える為に、討伐以外の道もあると示そうとしたが、山田というイレギュラーがそれを邪魔する
「あいつはねー、まあ、強いことは認めるけど憧れない方がいいよ、常人には真似出来ないというかしたくないというか、イカれてるんだよね」
「イカれてるんですか?ああ、でも痛みには強そうでした」
イカれてるという発言に一瞬違和感を覚えたが左腕がえぐれてても冷静だった山田を思い出した真壁
「痛みに強いというか、我慢強いのかな、痛みとかで怯まないんだよね、それであいつめっちゃ武器を携帯してるじゃん?」
「そうですね、リングみたいなメリケンサックとか爆弾とか、ライターもでしたね」
「そうそう、それ以外にもいっぱいあって、それを全部把握して、ここでどれを使うかって選択ができるんだよ、情報処理能力が高いっていうのかな?」
戦闘中山田はずっと思考を巡らせていて、自分の持っている手札を最大限まで利用して戦う
佐藤はそれが山田の強みだと思っている
しかしピンと来ていない顔をしている真壁
「つまり、どういうことですか?」
「んーと、たとえば剣と銃を持ってるとするじゃん、同時や交互に使ったりするのは慣れれば強いかもしれないけど、選択肢が増えて使いづらいじゃん」
「そうですね、私も銃撃ちながら切るとか出来ません」
「でもあいつは出来るんだよ、さらに言えば剣と銃以外にも、ナイフ、拳、爆弾、持ってる武器全部把握して、最善のものを一瞬で選べる、正直、僕もあいつがどれだけ武器持ち歩いてるのかわからないけどね」
佐藤の発言で山田の強さの一端を理解して真壁は驚愕する
「だからあんなに強いんですね!すごいなぁ山田さん」
「真似出来ないでしょ?それに異能がないから武器で誤魔化してるって本人は言ってるし、実際ここまで色々武器装備しても、異能力っていう超常現象一つ用意されたら対抗できなくなるし、元も子もない話、異能力持ってないならハンターに向いてないまである」
実際に異能力を持っていないハンターの殉職率はかなり高く、生き残っている星3以下のハンターは討伐など危ない任務は受けないものが多かった。
「それでも、佐藤さんもハンター続けてるんですよね、それに山田さんが紹介してくれるってことは同じくらい強いってことですよね?」
「まあ、僕も異能力ないのに続けてるのは反抗期みたいなものだから偉そうな事は言えないんだけど…」
できれば可愛い女の子には死んでほしくないと思ってる佐藤は真壁を幻想省を辞めさせないにしろ討伐課ではなく別の課に移動した方がいいと思っていたが、ブーメランが飛んでくるので強く言えなくなってしまう。
佐藤はため息を吐きながら答える
「とりあえずさ、強くなりたいってことなら山田は参考にしない方が絶対いい、僕から言えるアドバイスはやっぱり遠距離武器かな?銃火器とか得意?」
「いえ、持っててハンドガンくらいです」
「それなら、色々扱ってみたらいいよ、遠距離から攻撃できるってことは考える時間が増えるってことで何より安全だしね、この後時間あるなら武器とか見に行く?」
佐藤も山田と遜色ないほどに戦闘力が高く、近接武器が得意な山田と対照的に、佐藤は遠距離からの銃火器の扱いが山田よりも得意で、ハンター向けの武器を売っている店にも詳しかった。
そんな佐藤の提案に前のめりで食いつく真壁
「え!いいんですか?ぜひ!」
「とりあえず、いろんな武器試して、練習あるのみだよ?」
「はい!」
その後真壁は佐藤のアドバイスの元、時間をかけて武器を選び満足気に帰宅した。
佐藤も元々武器を見るのが好きで、時間を忘れて楽しみ、真壁と別れた後も軽く武器を見ていて帰宅する頃には夜になっていた。
家に入ると山田はソファで寝っ転がりながらスマホを見ていた。
「ただいま」
「ん、おかえり」
佐藤の声で山田はスマホを置いて座る、佐藤は上着を脱ぎ手を洗いながら話す
「真壁ちゃん、めっちゃいい子だったじゃん、ほんと行かなくて勿体無いわー」
「いいんだよ、めんどくさいことはお前担当だから」
自分が楽しかったことをめんどくさいことと片付けられ、さらにそれを悪びれもせずに押し付けるような発言に佐藤は少し苛立つ
「お前のそれさ、自分のやりたくないことを僕だけに押し付けてるみたいなんだけど?そもそもお前が巻いた種じゃん」
佐藤の強めの発言に山田も少し苛立ち始める
「知らねーよ、勝手に相手が俺に関わろうとすんのが悪いんだろ、最初からこっちは扉閉めてんのに、無理やり入ってこられたら嫌だわ、それにお前はそういうの好きじゃん」
「は、勝手に決めつけないでもらえる?いい加減、扉閉め切るのやめろよ僕に迷惑かかるならいいけど、他の人を不快にさせるのは違うでしょ、一応社会人として当然じゃない?最低限愛想よくするのはさ」
お互いの意見がぶつかり合い苛立ちが高まり、喧嘩に発展していく
「なんで、関わりたくないのに愛想よくしなきゃいけねーんだよ、そうやって近づいてきた馬鹿に気を遣って疲れてくんだろ、だったら下手に愛想よくしないで最初っからシャットアウトするのが俺なりの優しさだわ」
「逃げてるだけでしょ?人と向き合うのが怖くて、いつまでトラウマ引き摺ってんの?」
佐藤の発言を聞き山田は舌打ちをしながらタバコに火をつける
「トラウマじゃねーよ、学びだ、人に愛想よくしても碌なことねーってな、くそ、こんなことなら助けなきゃよかったわ」
山田の発言で佐藤の頭に血が昇り、キッチンのシンクを強く叩く
「それは言ったらダメだろ⁉︎碌なことしてない奴が何言ってんだよ!そんなだから殺すとか死んでおけばとかって選択肢が出てくるんだろ⁉︎言っておくけどね、あの子はお前に助けてもらって、お前が戦ってくれて嬉しかったんだぞ!そんな真壁ちゃんの想いを踏み躙る発言するお前はそんなに偉いのか⁉︎人の生き死にを決めれるぐらい偉いのか⁉︎」
怒鳴る佐藤とは対照的に山田は座ったままタバコを吸い続ける
「でけえ声出すなガキかよ、全部感情論じゃねーか、俺の一挙手一投足で決められる程度の命なのが悪いんだ、俺は一貫して関わりたくねーんだよ」
声は荒げないが発言の節々の棘で山田もかなりイラついているのがわかる
その発言で佐藤は山田を睨みながら静かに問う
「お前ってそんなクズだったか?」
「見る目ないんだろ?お前も無理して人に興味あるふりすんのやめろよ、見てて寒いんだよ」
山田はそう言い捨て、たばこの火を消して部屋に戻って行った
残された佐藤はソファを蹴り、タバコに火をつけて吐き出ししゃがみ込む
「ああああああ!くそっ」
部屋に戻った山田もベットに座りタバコに火をつける
「ちっ!くそっ」
山田はそのまま眠りにつき昔の夢を見た
それは山田が高校卒業したばかりの頃、師匠と離れて事務所に所属してた時の夢だ
複数の男女が山田に近づいてくる
「いやー、山田くんは仕事が早いね!」
「そうそう、あの人が弟子って言うだけあるわ!」
「基礎がしっかりしてる強さがあるよね!」
肯定的な発言に満更でもなく照れる過去の山田を俯瞰してみていた
「俺に任せてくださいよ!早く終わったらこれもやりますんで!」
笑顔を浮かべながら仕事をしていく過去の山田
それをみながらこの時は充実してたなと思い返す。しかしまた複数の男女が過去の山田に近づいてくる
「これとこれも、よろしく」
「あ、終わったならこれの討伐行ってきて」
「何休んでんの?山田くんならこれも終わるでしょ?」
過去の山田は先ほどと違い顔に焦りが見え始める
「ちょっと待ってくださいね、今終わりますんで!」
しかし笑顔を浮かべながら仕事をこなしていく
そして場所が変わり怪我でボロボロの山田が足を引き摺りながらデスクに座った、そのデスクの上には大量の報告書の山、それには付箋で後よろしくと書いてある
それをみた過去の山田は血が垂れないように包帯だけ巻き、入力を始める
また場所が変わり山田は幻想生物と対峙して倒した直後だった、肩で息をしながら立ち尽くしていると背後から男が歩いてくる
「おつかれー山田くん、これぐらいじゃへばらないでしょ?この討伐も俺の代わりに行ってきて」
「……ま、任せてくださいよ、余裕です」
その当時山田は2日は家に帰っておらずほとんど寝てもいなかった。
しかし山田に討伐を押し付けた男は怪我もしておらず元気そうにしていた
山田が振り返ると一般人が怪我をして蹲っているのが見えそれに駆け寄る
「大丈夫ですか⁉︎今処理班を」
処理班を呼ぼうと携帯を取り出す山田に背後にいた男はそれを止める
「まってまって、山田くんこいつみたところ意識なさそうだしそのまま放置で、時間食うだけだしさ」
意識がないだけで生きているしかし怪我をしている、そんな状態の人を見られてないから怪我をほっといて放置しろと言う男に山田は反抗する
「それは違うでしょ!見られてなくても怪我してるんすよ!」
山田は男の静止を振り切り処理班に電話する
男はその様子をおもろしくなさそうに見ている
場面が変わり山田は事務所のリーダーに呼び出されていた
「山田くんさ、時は金なりなんだよ?君が怪我人助ける正義感持ってるのは構わないけどさ、その働いてない分の損失はどうすんの?」
「損失?金より命じゃないんですか⁉︎」
「はぁぁ、そうやってサボるのね、君その時間代わりに君の仕事をやった人に迷惑かけてるんだからね?」
「……わかりました、全部やってやりますよ!」
その後山田は人を助けながら、仕事をしていき人を助ける余裕を持てるように事前に仕事をするように、さらには休日にも仕事をするようになった。
「大丈夫だ、間違ったことはしてない、大丈夫」
怪我人を見捨て、処理班を呼ばずに幻想生物の死体をトランクに詰めている事務所の先輩を横目で見た、しかしすぐに仕事に戻る
「大丈夫、まだいける」
そんなある日、日付が変わる時間に仕事をしているとメールが届き見ると、山田が師匠と慕った人物からだった
その文面は
「誕生日おめでとう、成人祝いに飲みに連れてってやる、お前が喜ぶプレゼントも用意してやったぜ、時間あったらいつでも来いよ」
それを見て自分の誕生日を思い出した、しかし山田は仕事が山積みで暫く休みを取れない、自分が休んでる間この事務所の人間が怪我人を見捨てて死人が出るかもしれない、そう思うと師匠に会いにいけなかった。
約束が果たせないまま半年が経ってしまった。
相変わらず山田は傷だらけで最低限の処置しかしないまま報告書を書いていた。
すると今度は電話が来た、名前を見ると武田からだった、山田は電話に出ると慌てた声の武田が出た
「ど、どうしたんすか?そんなに慌てて、え、師匠が?」
武田から聞かされたのは任務中に師匠が死んだと言うことだった、それを聞いた山田はスマホを落としてしゃがみ込む
「は、俺、何やってた?師匠が死にそうな時、何を守ってる気でいた?何が、大切なんだ、俺は今何してるんだ?」
誰もいない夜中の事務所で嗚咽しながら床を殴る、巻いていた包帯が解け血が流れ落ちても気にせずに床を殴る
「約束、一つも守ってねーよ…」
場面が変わり葬式場にいた
棺桶の前で立ち尽くしていると女性が話しかけてきた
「山田くんだよね?主人がいつも話してました、弟のように可愛がっていたって」
「あなたは師匠の」
「妻です、君のことが気がかりだったみたいで今日会えたら渡そうと思ってたの、これ誕生日プレゼントだって、センスないわよね」
そう言って渡されたのは大量のタバコとジッポライターだった
それを渡された瞬間に以前に師匠とした会話が脳裏によぎる
「師匠、タバコってカッケーよな」
「なんだよ、俺がかっこいいって」
タバコを吸いながらニヤリと笑って答える師匠
「ちげーよ、師匠みたいな冴えないおっさんでもタバコ吸ってたらカッケーって話だよ」
「んだとクソガキ、まあ、てめーには一万年早いな」
「一万年って俺後数年で吸えるんだけど」
「おうおう、俺に憧れて吸いやがれ、そんで肺が黒くなれ」
「大人げねー」
そんな笑いあった記憶、今まで山田は忘れていたが師匠は覚えていて成人祝いに送ってくれたんだろう、それを山田は受け取る
「あ、ありがとうございます…ごめんなさい、俺師匠に合わせるツラがない」
そう言って立ち去ろうとする山田に師匠の妻は声をかける
「あの人は君のこと心配してたけど、それと同時に私にいつも自慢してたの、立派なハンターを育てきったって、だからまたいつでも会いにきて」
山田は振り返らずに頷く
外に出て初めてタバコに火をつけ吸うと盛大にむせる
「ゲホッ!ゴホッ!クソっ、咽せるじゃねーか」
涙目になった山田は目を擦る
そしてその目は何かを決めてような冷たい目になっていた
また場面が変わり
山田は武装して事務所の中を進んでいた、山田の後ろには死体が転がっていた
歩みを止めずに事務所の人間を斬って、殴って、撃って、爆破して、突き落として、殺していった
最後に満身創痍で血まみれになりながら山田は床に転がりボロ切れのようになった事務所のリーダーにナタを向けていた
「お、おれが、な、んで…」
「はぁ、はぁ、個人的な恨みだ、ボケ」
ナタを振り下ろし血飛沫が舞い散る
山田は死体に腰を下ろしタバコに火をつけ、横に視線を向けるとガラスに反射して血塗れの自身が映る
「はっ、ただの人殺しじゃねーか」
そこで山田は目を覚ます
服が張り付くほど汗をかき、無駄に息が上がっていた
「はぁ、はぁ、ちっ!目覚め悪過ぎだろ」
悪態をつきながらタバコに火をつける、するとタイミングよくスマホが鳴り電話に出る
「もしもし…ああ、やっぱりか、別になんでもねーよ、ありがとな」
短時間で電話を切り山田はある人物に嫌そうな顔でメールを送る
それから2週間が経った
佐藤は定期的に真壁と会うようになっていた
真壁と遊んで別れ、家に着くと誰もいなかった、あの日から山田と口を聞いていない、謝ろうとも思ったが、山田はよく出かけるようになり、暫く会っていない
佐藤は電気をつけてソファに座りテレビをつける、するとテレビで映画がやっていた
先週も今日も二人で映画を見ていない、佐藤は金曜日の夜は映画が見れるような時間に家にいるようにしていたが、山田がソファに座ることはなかった
佐藤はすぐにテレビを消してしまった。
「はぁぁぁ、なにやってんだよ」
そう呟くと通知が鳴りスマホを確認すると真壁からだった、大事な話があるから明日会いたいと言う内容だ
予定もない佐藤は了承の返事を送りその日は眠った
次の日
昼頃に真壁と合流すると真壁の案内でファミレスに連れて行かれた
二人は席につき佐藤は早速話を切り出す
「大事な話って?」
「私、佐藤さんと仲良くなれたと思ってるんです、仕事の話をしなくても楽しいですし、それに頼りになるなって」
顔を赤ながらそう答える真壁に佐藤は身構える
「ありがとう、僕も真壁ちゃんといると楽しいよ」
「嬉しい!それでもっと私のことを知って欲しくて…」
その発言で佐藤の胸も高鳴り始める
真壁は意を決したように口を開く
「佐藤さん、私…」
佐藤は告白だと思い、舞い上がる、しかし山田の顔が浮かぶが、山田自身が望んでないことに後ろ暗い感情を持つ必要がないと真壁の次の発言を待つ
「この世界は間違ってると思うんです」
「僕もだよ、君のこと、え?」
佐藤は予想外の言葉に最初は理解できずに返すが違和感を覚えて固まる
しかし真壁は佐藤の最初の発言を聞き興奮気味に話す
「佐藤さんならわかってくれると思ってました!幻想生物が生まれる中、私たちは身を粉にして一般人の生活を守っていると言うのに!なにも知らないって免罪符を持って横柄な態度を取る人たちにうんざりしてるんです!平和に暮らしている裏でハンターが死んでいく、その死は!いったい何の意味があるのでしょう!いたずらに増える都市伝説もそうです!そんな世界を変えるために!我々「人工神の教会」は文字通り我々に都合のいい神を幻想生物として顕現させて世界をリセットするのです!そうすれば世界はきっとより良くなります!今日佐藤さんをお呼びしたのは我々に加わっていただけないかと言う勧誘だったのですが、そう言ってくれるなら話が早いです!」
早口で捲し立てられて固まったままの佐藤は動けずにいた、しかしやばい宗教勧誘だと気がつき慌ててその場を去る言い訳を考える
「あー、とね、うん、人それぞれ思想を持っていいと思うんだ、僕はうん、ちょっと考えたいから一人になるね」
立ち上がりその場をさろうとすると佐藤
それを見た真壁は指を鳴らす、すると座っていた客が立ち上がり佐藤を向いていた、さらに店員までも出口を塞ぐように立ち佐藤を見つめる
それを見て佐藤が止まる
「佐藤さん、座ってください」
「はい」
佐藤が座ると客も全員座る
佐藤は冷や汗を垂らし、店内を見回す
「ごめんなさい、このまま帰すわけにはいかないんです、今ここで決めてもらわないと」
悪いことをしている自覚があるのか、佐藤を逃す気はないらしい、集められている客は真壁の仲間達であろう、仲間なのなら幻想省に関わりがあるものおそらく全員がハンターだ。
そうなると丸腰で来てしまった佐藤が逃げることは叶わない、どうするかと考えているとスマホが鳴った
それは山田からのメールでただ一言
「正座しろ」
それのみが送られてきて、佐藤はすぐにソファ席の上で正座をする
すると店内に爆発音が響き渡りソファが浮く衝撃を感じて佐藤は床に転がり落ちた
「なになに!いたい!」
慌てて立ち上がると真壁を含めて客全員の足が爆破によりボロボロになって地面に転がっていた
「くぅ!いた!なにが…!」
店内全員が状況を理解していない中座っていなかった店員が駆け寄ってくると店の扉が勢いよく開け放たれる
「やってる?」
勢いよく入ってきたのは山田だった
「お、お前はハンター殺し!」
「作戦がバレてたのか!クソッ!」
店員が二人山田に向かって走り二人ともナイフを持って山田に襲いかかる
山田は一人のナイフを避けて腕を掴みもう一人に投げて二人を地面に転がすとナタで頭をかち割っていく
「よお、助けに来たぜ」




