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47話「エピローグ〜懐かしさを感じる絵を探す旅へ」最終話

 37話〜47話を改稿しました。

 改稿した部分

・テオドリック王太子の性格

・40話〜43話シリアス展開に変更

・最終話、子供のクヴェルから大人のクヴェルに変更





旧トリヴァイン王国でのあれこれを終えた私達は、リスベルン王国に帰ってきた。


マルタさんやギルド長さんに別れを告げ、私達は北の街道から北の端にある港を目指し旅立った。


旅立つとき、餞別に食べ物を沢山いただいた。


有名になりすぎて食べ歩きは出来なかったけど、美味しいものが色々もらえて幸せだ。


それから王都で馬車を購入した。


これで移動が楽になると思う。


クヴェルの背に乗って旅するのが一番早いけど、それでは味気ない。


クヴェルと壮麗な景色を眺めながら、ちょっとしたトラブルを乗り越えて、ゆっくりと旅するから楽しいんだもん。




◇◇◇◇◇




――数日後――




「アデリナ、馬車に乗らないの?」


クヴェルが御者席から尋ねてくる。


私は馬車の横を歩いている。


「……いいの、歩くから」


「どうして?」


「だって……クヴェルが……。

 ふっ、太ったって言うから……」


ここ数日、馬車の移動中に餞別にいただいたお菓子や干し肉を食べていた。


昨日、クヴェルに「アデリナ、少し太った?」と言われてしまったのだ。


く、屈辱だわ……!


「あの言葉を気にしてたの?

 大丈夫だよ、アデリナはもともと細いんだから、少しぐらいお肉がついた方が……」


「駄目ーー!

 男の子の言う『ぽっちゃり』ってめちゃくちゃ細い子を指すの知ってるんだから!

『美味しそうに食べる君が好き』とか信じないんだから!」


このままぷくぷくに太ったらクヴェルに捨てられてしまう!


ダイエットしなくては……!


運動して体型を引き締めないと……!


まずはウォーキングから!


「僕はそんなつもりは……」


「とにかく、私は港まで歩くから!

 クヴェルは気にしないで馬車に乗って!」


「やれやれ、アデリナは変なところで頑固だからな」


クヴェルは馬車を止めると、御者席から下りた。


「クヴェルは歩かなくてもいいいんだよ」


「君が歩いてるのに、僕だけ馬車で移動するわけにはいかないよ」


クヴェルは馬を引きながらゆっくりと歩を進めた。


「馬車を買った意味がなくなっちゃったね」


私は彼の隣に並び、彼の歩幅に合わせてのんびりと歩いた。


「そうかもね。

 でも馬って癒やしになるよ」


クヴェルが鼻先を撫でると、馬が嬉しそうに嘶いた。


「そうね」


そろそろ馬の名前を考えてあげないとね。彼も私達の仲間なんだから。


「そう言えば、船に馬車って乗せられるの?」


「大きな帆船なら大丈夫だよ。

 トリヴァイン王国とリスベルン王国の渡し船にも馬車を乗せられただろ?」


そう言えばそうだったわ。


「もし、駄目って言われたらアイテムボックスに入れるから大丈夫だよ」


その手があったわね。生物も入れられるアイテムボックスって凄く便利。


「目的のない旅だし、ゆっくり行こうよ」


「うん」


クヴェルの手を握ると、彼は私の手を握り返してくれた。


「そう言えば、僕はもう子供の姿で旅する必要ないんだった。

 大人の姿で旅してもいいかな?」


「ええっ……!!

 なんで!!」


「なんでって、もちろん虫除けだよ!」


「虫除け?」


「大人の姿ならアデリナに歩幅を合わせやすいし、アデリナを守りやすいし、アデリナの側にいても弟や従者に間違えられることもない!

 アデリナの婚約者だって周りにアピールできる!」


「そうだけど……」


子供のクヴェルはキュートで癒やされるのに!


「それに、こうして歩きながら髪にキスも出来るしね!」


クヴェルは大人の姿に戻ると、私の頭に口づけを落とした。


「クヴェル……!」


不意打ちのキスなんてずるい!!


顔を上げると、クヴェルは嬉しそうに口角を上げるクヴェルと目が合った。


大人の姿のクヴェルは、色気があって何度見てもかっこいい!!


「顔を真っ赤にして可愛い。

 口にキスしたらどうなっちゃうのかな?」


「ちょっとした……!

 クヴェル、ここ外……!」


クヴェルに唇を塞がれてしまう。




――十分後――



「クヴェル!

 大人になってから節操なさすぎ!」


人が通ったらどうするのよ!


「ごめんね。

 アデリナの反応が可愛かったからつい」


クヴェルはいたずらっ子のように笑う。


イケメンはずるい。


そんな顔をされると、怒れなくなってしまう。


「大人のクヴェルとの旅だと、色々と心配だわ」


身の危険を感じ、半歩距離を取る。


クヴェルはすぐに距離を詰め、私の肩に手を回した。


こういう動作を自然にできるのはずるい。


「大丈夫だよ。

 初めてはちゃんと宿でするから」


クヴェルがふわりと笑う。


初めて……? 宿……?


その意味に気づいたとき、顔に熱が集まってきた。


「クヴェルのスケベ!!」


「その前に式を上げないとね。

 次の国で大聖堂を貸し切りにしようか?」


クヴェルはニコニコと笑い、ウェディングドレスの話をはじめた。


ずっとクヴェルのペースだわ。


結婚式を挙げられるのは、嬉しいけど、その後のことを考えると緊張してしまう。


これがマリッジブルーというやつなのかしら?




◇◇◇◇◇◇





徒歩と時々馬車で街道を移動すること約一カ月。


大陸の北の端にある港についた。


馬車は街に入るとき、馬と一緒にアイテムボックスにしまった。(ごめんね)


潮の香りが心地よく、漁師や、船に積み荷を積む人足や、市場の商人の声が響くにぎやかで活気のある街だった。


遠くからかもめの声が響いてくる。


「ここが港町ね!

 潮の香りがするわ!」


屋台から貝や魚の焼ける香ばしい匂いが漂ってくる。


魚介入りのスープや、フルーツなどを売ってるお店もあるみたい。


「クヴェル、あっちのお店に行ってみようよ」


クヴェルの手を引っ張ると、彼は怖い顔で周囲を睨みつけていた。


「クヴェル、何かあった?」


「アデリナに横恋慕してくる奴が出ないように威嚇してる」


「えっ?」


そんな人いるの?


「アデリナは美人だから、すぐに悪い虫が寄ってくる」


クヴェルが私の体を後ろから抱きしめた。


「っ……!

 クヴェル、人が見てるよ!」


町中でバックハグされたから目立つ。

周囲の人がちらちらこちらを見ている。


「大人の姿になって良かった。

 アデリナを僕のものだって主張できる」


背後から聞こえてくるクヴェルの声は、嬉しそうだった。


「私より、クヴェルの方が人気だよ」


若い女の子がクヴェルを見て、目をハートにしている。


「アデリナ、やきもち?」


「違う……!

 ……ううん、そうかも」


大人のクヴェルが「キャーキャー」言われて悪い気はしない。


だけど、ちょっともやもやする。


「僕がアデリナのものだって主張していいんだよ。

 例えば、アデリナから僕にキスするとか?」


「こ、こんなところでできるわけないでしょ!」


町中でキスしてたらバカップルじゃない!


「僕はしたい」


「へっ?」


くるっと体を回転させられ、クヴェルに唇にキスされた。


しかもがっつりされた。


「……!

 クヴェル……!」


きっと私の顔は今真っ赤だわ。


周囲に野次馬が集まってるじゃない!

クヴェルのバカ!


「アデリナは僕のもので、僕はアデリナのものだってみんなに分かってもらえたね」


この状況でなんで笑っていられるのよ!


「ひゅーー! ひゅーー! お熱いね!

 新婚かい?」


「それはまだ。

 これから行く大陸で式を挙げるつもりです」


「婚約期間中かい?

 いいね! 人生で一番幸せなときだ!」


「はい、僕は今とっても幸せです!」


クヴェルは野次馬の一人と楽しそうに話していた。


「もう!

 こんなところ恥ずかしくていられない!

 行こうクヴェル!!」


私はクヴェルの手を引っ張り、別の場所に移動した。


大人のクヴェルは、はっちゃけ過ぎだわ!




◆




街の奥にあるとあるレストランに入った。


「もう、すっごく恥ずかしかったんだから!」


「ごめんね」


にっこり微笑まれて、許してしまう私も大概だ。


クヴェルとのキスは嫌じゃないし、むしろ好きだけど……出来れば、二人きりの時に屋内で……。


クヴェルとだったらその先も……って、何を考えてるのよ私は!


「アデリナ、こっち来て!」


「へっ……?」

 

クヴェルが私の手を引き、店の奥に進む。


レストランの二階は宿屋になってるみたいだけど、まだ昼間だよ!


それに、式も上げてないし心の準備が……!


「見て、この絵!」


クヴェルが壁を指さした。

そこには大きな絵が二枚飾られていた。


一枚は、夕日に染まる街道を歩く一人の女性の絵。

もう一枚は、夕日をバックに微笑む淑女が描かれていた。


絵の中の女性には、見覚えがあった。


右下に画家のサインがあり「Franz」と記されていた。


絵のタイトルは「我が最愛の妻オリガ」


オリガの結婚相手は画家で、名前はFranz(フランツ)!


間違いない! この絵のモデルは私の知っているオリガだわ!


オリガも私と同じ道を旅し、この港町に滞在していたのね。


懐かしい人に再会したような気分になり、温かい気持ちが胸の奥からこみ上げてきた。


「クヴェル、ありがとう!

 この絵を見つけてくれて!」


私は涙を拭い、クヴェルに微笑みかけた。


旅の楽しみが一つ増えたわ。

また、次の街でフランツさんの描いたオリガの絵を見られるかもしれない。


「二人がこの港から、どこの街に向かったのか調べようか?」


「ううん、大丈夫。

 二人にはまた会える気がするから」


その時は、沢山オリガとお話をしよう。

今とっても幸せだって。

愛する人が出来て、大切にされてるって。


クヴェルとの、のどかで幸せな旅はこれからも続いていく。





――終わり――






最後まで読んで下さりありがとうございます。

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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


子供のクヴェルと結ばれる展開が不評だったので、改稿しました。



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― 新着の感想 ―
完結!お疲れ様でした! 短編版の続きが気になる作品だったので、連載中は更新が楽しみでした。 1つ残念なのは、アデリナの食いしん坊とショタ萌えが治らなかったことですね~(たぶん無理) クヴェルも、子供…
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