『後一条天皇誕生後、諸人伊周邸で速記練習せざること』速記談1038
後一条天皇がお生まれにならないうちは、夜になると公卿のみならず、多くの人が藤原伊周公の屋敷に集まって、速記の練習をしたりしていた。伊周公が中宮定子がお生みになった一宮の伯父に当たるからである。もっと言えば、この一宮が即位すれば、伊周公が関白になることは明らかで、今のうちに懇意にしたいということである。しかし、中宮彰子が後一条天皇をお生みになってからは、伊周公のもとを訪れる者はなくなったという。
教訓:時の大臣や摂関になれたとしても、外祖父や外伯父になれないと、すぐに権力が移ってしまうことを伺わせる話である。