表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/5

4.登校途中での発見

 家紋入の馬車に乗り、学園へ向かう。


 天気が良かったので、馬車のカーテンを開けて窓の外を眺めた。


 これからどうしよう。


 夢の出来事が衝撃的過ぎたこともあるが、リリアーナだけでなく、フレデリック殿下や家族に対しての嫌悪感が拭えない。


 もやもやした気持ちを抱えながら、学園に行きたくないなと考えていると、市場に差し掛かった所で私は大声を出した。


「止まりなさい!」


「はいぃぃ!!」


 御者は驚きながらも馬車を静止させ、急いで扉を開けて降りる。


「お、お嬢様?!」


 貴族令嬢らしからぬ行動に驚く御者の声を無視して、私は一目散に走った。


「シスター!」


 買い物かごを片腕に下げて歩いているシスターの後ろ姿に、私は声をかける。シスターは立ち止まって振り返った。私よりは年上だが、若いシスターだった。息を切らしながら私が追いつくと、シスターは心配そうな声を出す。


「お嬢様、どうかなさいましたか?」


 ゼェゼェと粗く息をしながら、私はシスターを見つめた。


「私も……神に仕えたいのです!」


 シスターは一瞬目を丸くし、そして微笑んだ。寒い冬の日の暖かな日差しのような笑みに、思わず泣き出しそうになる。


「えぇ。神はお許しになられますよ」


 優しくそう言って、シスターは白いバラが刺繍されたハンカチを差し出した。私はポロポロと涙を流しながら、そのハンカチを受け取った。

お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ