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林檎の容姿にレモンな彼女  作者: 柳葉 ひなた
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清楚系女子の正体

しかし、俺たちは間もなくその外装が所詮、中身を繕う為のアクセサリーでしかなかったと気がつくこととなる。


「うっせぇ、黙れ。アンタらみたいな分際で軽々しく話しかけて来んな。」


彼女のドスの効いた声に俺らは子鹿のように怯んでいた。2月の夜風が部屋を駆ける。


「矢部くん、僕は満里奈ちゃん狙いだったよね?」

谷崎の耳打ちに言葉を失った俺は勢いよく右側にいた彼を見た。都合が悪くなると即座に寝返るのも谷崎の悪い癖だ。


「ほら、自己紹介して?」

満里奈さんに諭された彼女はぶっきらぼうに吐き捨てた。

「はぁ、アタイは木戸あずさ。ったく、満里奈に連れられて来てみりゃ気色悪いオッサンとヒョロ太しか居ねぇのか?」

「ひょ、ヒョロ太?それに気味悪いオッサンって…」

隣には石化した谷崎がすっかり魂を吸い取られて鎮座していた。生ビールの泡も跡形もなく消えている。


「俺は矢部弓弦やべ ゆづるです。隣にいる谷崎の同僚です。」

そう言って閻魔大王に引き摺り込まれた谷崎を指差した。無論、此奴に聞こえている筈もない。


「ふぅーん。ま、いいや。」

声色は随分と顔面と一致するようになってきたのは性格が穏やかになったというより、寧ろ興味が無いことの現れという方が近いのかもしれない。


やはり俺は変わり者なのだろうか。

気がつけば木戸さんを目で追ってしまっていた。

酎ハイに口をつける姿も、隣の満里奈さんにちょっかいを出す様子も、こちらを睨みつける眼光も…。

心臓を掴まれるような不思議な感覚だった。

どうやらあの時の怯みの本意は谷崎と正反対だったらしい。


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