第十九考 生と死と誕生日
最後にひとつ大事なことを忘れていた。子どもといえば誕生日である。
ルドモンドには七曜神の他にもう一つ「大四神」という信仰があり、七曜神では入らなかった重要な概念を扱っている。生と死を司る「デズ」、闇と願望を司る「モルグ」、海と酔狂を司る「ラム・ラジュラ」、戦争と鏡を司る「オオン・サンドラ」……この中で、生死を象徴するデズと、願いを叶えるモルグが、誕生日と葬式に礼拝される神である。
臨月の夜、子供が無事に生まれるよう、デズとモルグの祭壇を作り、祈りと願いを込めて捧げる。無事に生まれたら、祭壇の前に子供が入ったゆりかごを置き、デズを表す白色と、モルグを表す黒色の布で、赤ん坊をくるんで感謝する。
その赤ん坊が成長し、大人になり、老人となり、葬式を迎えた日には、デズに守ってもらえるよう、モルグに願いながら出発の準備をする。デズに守られた魂とマナは、いずれ同胞の命に宿り、また新たに赤ん坊として生まれていくるのだ。
章の最後は、年齢の数え方を教えて話を終えよう。ルドモンドでは年を跨いだ時に一歳年を取る方法を採っている。そのため、毎年誕生日を祝ったりプレゼントを贈る文化がなく、己の誕生日を認識している者も少ない。ただし占い好きは話が別だ。自分と気になる人との誕生日を調べて計算し、相性をうらなう恋占いは、いつの時代もどんな民族でも、盛んなのである。





