第十七考 魔術学校
学者たちが学校を建て始めたのを見て、アルバも魔術学校をいそいそと作り始めた。場所は堂々と帝都内に建設した。寄宿舎付きで、全国各地から通うことができる立派な建物だ。
開校当時は、大陸各地から積極的にマナの多量保持者を見つけだして通わせたが、現代では積極的にスカウトは行っておらず、アルバ家系の子弟がほとんどを占めている。始まった当初は20人ほどの生徒数だったが、今は学年ごとに130名で推移している。
彼らは13歳から17歳まで5年間、アルバになるべく魔術と勉学に励む。なぜ13歳からかというと、学者たちの作る学校と足並みを揃えなかったからである。魔術と呪学の他に、数学、医学、物理学、化学、薬学、歴史学、地学、天文学……ありとあらゆる分野を学ぶ。呪文を打つには、厳密なマナ計算や物理法則、人体構造、歴史的経緯などを把握しないとできないため、多くの知識が叩き込まれた。
卒業時にはアルバの認定試験がある。
合格基準は厳しく設定され、生徒全員が自動的にアルバになれる訳ではない。試験は卒業後も何年か受けられるものの、アルバになれなかった者は、別の道に引導を渡されるか、アルバではない魔術師──ビルダとなる。
ビルダとは「Builder」。マナに頼らず魔術を築きあげる者の意である。野良魔術師にとっては誉ある呼び名だが、魔術学校に通いアルバになれなかった者にとっては屈辱的な言葉だった。過去にビルダが暗躍し、数奇で奇怪な事件も起こっているが……またの機会に話そう。





