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第21話 村の改造計画 ⑥ ~発見された太古の遺跡(マッチポンプ)に米バカ先生興奮す~

 そんな風に米バカ先生から、いろいろなことを教わりながら土壌改善のプランを練っているうちにはや村が見えてきた。


「……なんだい。妙に騒がしいじゃ無いか」


 確かに先生の言うように村の方が妙に騒がしい。


 はて……何があったのかな? 


「姫さま! 姫さま! お待ちしておりましたぞ!」


 1人のご老人がよろめきながら猛烈な勢いでこちらへ向かって突っ走ってくる。


 ……なんだろう。妙に血相を変えていて、ちょっとホラーだ。


 なんていうか、()きの良いゾンビみたいな? そんな感じのすごい形相だった。どれぐらい(すご)かったかというと、傍らのカレンが思わずフィオナの前に立ちはだかったぐらいに(すご)かった。


「お、おい。どうした。何があった!?」


「い、井街が! 戸が!」


「?」


「違うって、(じい)さん。そうじゃない。井戸に街だ」


「ば、ばかもの。井戸に街がはいるか! 街に井戸ぢゃ!」


 (じい)さんの後を追ってきた中年のおっさんが、さらに言い間違えて(じい)さんがあわあわと訂正する。


 それでようやく、オレは原因に思い至ることが出来た。


(あ)


(ん。先に発見されたみたい)


 予定ではリックスあたりに「わー。こんなところに大昔のまちがー()れた井戸もあるぞー」みたいな感じで発見して(もら)ってお()()()する予定だったんだけど、どうやら先に発見されてしまったらしい。


 手間が省けたといえば省けたけど、お()()()の瞬間をちょっと楽しみにしていたので残念といや残念かも。


「そ、そうか。(わか)った。今、行く……」


 マッチポンプ計画を知っているリアムがオレと同じく複雑そうな表情でこっちを見てくる。段取りが狂ってしまったので、どうしようか? という感じだった。


(まあ、見つかっちゃったなら仕方ないから、うまく合わせてよ)


(了解だ)


 心話にやっと慣れてきたリアムがうなずいて、今度は二人して()きの良いゾンビになったおっさんと(じい)ちゃんの後について歩く。


 わけが(わか)らないというか……そもそも興味が無いという感じの米バカ先生は足下の土をすくってこねくり回したりなめ回したりしていた。


 ……本当に農業のことしか頭にないんだな。頼もしいけど。


「思ったより、わるかないじゃないか。さすがに乾ききってるが、いうほど貧しい土じゃ無いね」


「そうなの?」


「ああ。さすがに塩気は出てるし乾ききってもいるけどね。思ったよりも塩分は表層に上がってないね。もしかすると、ちょいと土を(さら)うだけで、いいかもしれないよ」


 あ、そうだ。


 さっそく、ナノマシンをフル回転させとかないと。


 まずは塩分の除去だな。それと並行して土の細密化とそれから……酸性度合いの均質化と最適化。あとは適当にミネラルをまぜておいて、米バカ先生の判定待ちかな。


 オレはナノマシンにコマンドを与えるコマンドを組み上げると、司令ナノマシンを散布した。


 帰り道に気がついたんだけど、オレが直接操作できるナノマシンはまだまだ量も少ないし範囲も狭い。


 だけど、情報の収集だとかそういう自動的な工程はかなり広範囲でも行えるし、街をこっそりオートで作らせたように(あらかじ)め指示を出しておけば、ナノマシンはオレがいなくてもちゃんと仕事をしてくれる。


 ということは、オレの代わりに指示を出すナノマシンを散布してしまえばオレの操作圏外の場所のナノマシンも間接的に操作できるんだよね。


 命令を変更したり中止したりする場合は中止命令や変更命令を指示したナノマシンを散布して、上書きさせる。


 ……うっかり、圏外で延々と命令を実行し続けてとんでもないことになると困るのでコマンダーナノマシンには寿命を設定する。とりあえず、1週間でいいかな。


 これで米バカ先生に先回りして、恥ずかしくない土を見せられるはず。


 あとは作業完了まで、ちょっと時間を稼がないとね。


 とりあえず、実験農場の場所決めかな。


 街には井戸を作ったから、そこから水を引くかどうか。もし、魔獣も水を求めてくる水場から水を引きたいなんて言い出されたら、ちょっと本格的な討伐って話になってしまう。


 なんて、オレがブツブツと考え込んでいるうちに村の広場に到着。


 少し離れた岩山の葉面が崩れて、そこにぽっかりと洞窟のような穴が穿(うが)たれているのが見えた。


 いや、オレが作ったんだけどね。


「あれか」


「ありゃ、なんだい?」


 米バカ先生が不思議そうな顔つきで、岩山の穴に目を向ける。

 そりゃあ、わかんないよね。


「それで、なにがあったのか説明して?」


 結構、役者なフィオナが(わか)ってるのにそういうことを村の1人に尋ねる。


「へ、へえ。子供らがあのあたりで遊んでいたら……いきなり壁が崩れちまいまして。そうしたら、そこに穴があきまして……」


「それで?」


「へえ。子供らに呼ばれて、おっかなびっくり中に入ったら、その、街みたいな洞窟になってまして………村の年寄りが言うには、大昔の街の痕じゃねえかって」


「そう」


 うん。そう見えるように作ったからね。


「どれぐらいの広さ?」


「ま、まだ全部は見れてねえですが……。村の全員は余裕で住めるぐらいの広さは。もしかすると、今の10倍ぐらいも……へえ」


「わかった。案内して」


 ……この様子だと、井戸は見つかってないっぽいな。それはこっちで《《発見》》しなきゃ駄目か。


(リックス)


(井戸だろ? 任せとけって……で、どの辺に作ったんだ?)


 リックスと心話で井戸の発見について打ち合わせ。井戸を掘った位置を教えて準備(ばん)(たん)といったところで、いよいよ新築ピカピカの我が家に到着した。


「…………こ、こりゃあ…………驚いたね」


「これは確かに……街だな」


 あらかじめ、概要を知らせてあるにも関わらずリアムとカレンがあんぐりと口をあける。

 何気に岩山を利用して換気口と採光窓もつくってあるから、地下街なのにほんのりと明るいのがポイントだ。


「なるほどね……どうも土が熟れてると思ったら、こんなものが隠れてたのかい。あんたたち、本当についてるね」


 オレの自作自演とも知らずに米バカ先生が腕を組んで、うんうんとうなずいている。これは米バカ先生に任せた方が、それっぽい感じになりそうだな。


「たぶん、ここは昔、国か集落かまでは知らないがかなりの人が住んでたんだろうさね。土も1度、人の手が入った感じがあったしね。地下水脈があるってなら、理解出来る話だ」


「へえ……そんなことまでわかんのかよ?」


「土いじりに関しちゃ、これでも自信があるからね」


 あれ? あの辺の土はオレ、特に(いじ)ってないんだけどな。


 本当にもしかしたら、ここは大昔はちょっとした穀倉地帯だったのかも。


 なんて、思わずオレが思ってしまうほどに米バカ先生の話には説得力があった。


「あとは水、だね。これだけの街が埋まってたとなると井戸の1つや2つも絶対にあるはずだよ。探しな」


「へ、へえ!」


 見ず知らずのオバさんに指図されて、村の民ながらワラワラと地下の街に散っていく。


 ……すごいね、この人。


 ややあって、見つけました! という声が響いた。


「でかした! どこだい!」


 と米バカ先生がフルスピードで駆けつける。


 もう、オレもリックスもまったく出番が無かった。


 オレの作った街なのに………。なんだろう、この疎外感。


(タスク)


「みゃお」


 などとフィオナに慰めて(もら)っていると、米バカ先生が猛スピードで戻ってきてフィオナに開口一番こう叫んだのだった。


「すぐに試験用の畑を作るよ! まさか、こんなに良い水が流れてるなんざ思ってもみなかった……これは、本当にひょっとするとひょっとするよ!」


 お、おう。


 オレたちが()()されながらうなずいたのは言うまでも無かった。

 

米バカ先生、村に到着です。

そして、村では遺跡が見つかりちょっとしたパニックになっていました。

もちろん、タスクのマッチポンプです。


そして、想定外に米バカ先生が大興奮です。

ここを拠点に村が大きく動きます。



続きが少しでも気になったり、ちょっとでも続きを読みたいなと思われた場合はブックマークをしていただけると励みになります!




また、評価もしていただけますと今後の展開などの参考とさせていただきますのでよろしくお願いいたします。

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