第20話 村の改造計画 ⑤ ~米バカ先生、土を語る~
白金貨10枚、お買い上げアリガトウゴザイマシタ。
……わずか、数時間で村の住人100人近くが5年ぐらいなんとか生活出来てしまう金額があっという間に消え去ってしまったのでした。
使ったのはもちろん、麦バカ先生改め米バカ先生。
……半端じゃないわ、この人。
そりゃ、クビにもなるよ!試験農場ひとつ作るのにどんだけ金銭を使うつもりなんだよ!
と怒鳴り散らしたいところだったが、オレはぐっと我慢した。
というか、人ならぬネコの身であってはそれもままならないというべきか……
ただし、リックスはさすがにこの散在には一言文句を言わなきゃ気が済まなかったようで、さっそく米バカ先生に食ってかかってる。
「先生さん、いくらなんでも金を使いすぎだろ?」
「あん? バカ言ってんじゃないよ。あんた、本格的に動き出したらこんな端金じゃすまないよ。なんせ、万を100年1000年養おうってんだ。白金貨10枚どころか1000枚あったって足りゃしないよ」
……おうふ。
今、さらっととんでもないこと言ったぞ、このおばちゃん。
10枚で100人が5年。
100枚で50年。
1000枚で500年。
500年だよ、500年!
世代が変わるどころか、時代が変わるって!
21世紀から逆算したら、まだ江戸時代も始まってないっての!
(……先生の言うことは、そんなに大げさでも無い)
一行の中で唯一、このレベルの金銭感覚が身についているフィオナがしれっとそうのたまった。
(嘘でしょ?)
(ん。白金貨10枚で500人が1年。100枚で5000人が1年。1000枚で5万人が1年。そう考えたら、むしろ安い方)
……数の暴力って、マジ怖い。
ちょっとした都市の人口をかつかつ1年養おうとしたら、こんなにとんでもない金額がかかるのか……
ともあれ、その10枚の白金貨で先生が買い込んだのは苗だとか農耕機具だとか、その他よくわからない専門的な器具だった。
なんでも土や水を作るのに必要なんだそうな。
ん? 水はともかく、土壌改善ならナノマシンで出来なく無いか?
オレはさっそくライブラリから土壌改善とナノマシンで出来ることをつきあわせることにした。
そのためには米バカ先生の知識とフィオナの協力が必要だ。
「……先生。村に戻る前に先に聞いておきたいことがあるの」
「なんだい?」
「ん。米を作る土地の条件。聞いておけば場所の選定の時間が省ける」
「ああ。そいつは良い心がけだね。確かにさきにアタリをつけておくに越したことは無いよ。そうだね……まずは土の細かさと粘り気だね。麦と違って米は畑に水を張るからね。水はけが良すぎてもだめだし、悪すぎてもダメだ。稲が根を張れるだけの柔らかさと粘り気、それでいて水が逃げない締まりがいる」
おお、こまっけー
「ん。具体的には?」
「まず、細かさだけどね。そうだね。指で軽く砕いて少し残るぐらいだね。粘土みたいになっちゃ細かすぎだ。あとは粘り気だけど、練れないが散らばらないって感じかね。軽く握ってばらけない程度だね。水を含まない状態で」
なるほどね。
まあ、オレも日本人だからね。田んぼの土の細かさぐらいはもちろん、感覚的に理解出来る。子供の頃に体験農業もやってるし。
(了解。次の条件をお願い)
「他には?」
「そうさね。水質に関係するんだがね……溶かすと酸っぱいつってもわかんないかね? 買い込んできた試薬で調べるんだがね。まあ、酢に寄ってる感じにするのさ。そこまでやっちゃやりすぎだけどね」
……酸性とかアルカリ性のことかな?
ライブラリで調べて見よう……おお、さすがはクラウド辞書。あっという間に出てきた。ペーハーのことっぽいな、先生が言ってるのは。へえ。米の苗って酸性の方が育つのか。
ふむふむと1つ賢くなった気がしつつ、必要なことを次か次へと聞いて貰う。
そしてオレは、米バカ先生の理想の土を前もって、ナノマシンで作り込むことにしたのだった。といっても、条件がわかっただけでもっと近づかないとナノマシンを操作できないから、これは村に帰ってからだね。
米バカ先生、語ります。
よっぽど米が作りたかったみたいです。
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