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第14話 浄化の儀式

それにしても、お使いイベントってのは……連鎖的にイベントが増えちゃってキリが無いな。

さっさと解決して、フィオナの村にいかないといかんのに。


とっことっことっこと牛の背に揺られながら、フィオナとオレが砂漠の中を進んでいく。この辺りはいわゆる秘密の場所になるらしく、残念ながらリアムはお留守番となってしまった。


「……領主様。(めつ)()なことはないかと思いますが。くれぐれもご用心を」


なんて言い置く辺り、なんだかんだで心配性だ。


まあ、気持ちはわかる。


フィオナ、()(わい)いしな。


何よりも、なんていうか、アレだ。


助けなきゃいかんオーラを振りまいてる。こう、頑張ってるってわかるから応援したくなる気持ち? あれの(すご)い版。


それがフィオナにはある。


元々、上に立つものの器量が備わってるんだろうな。血筋かフィオナだけの生まれ持った能力かはわからんけど。


それが本人の行いでぐっと倍増されている。


さて、そろそろ()(わい)い子孫をベタ褒めにするのはこれぐらいにしようか。どうやら、目的地についたみたいだし。


砂漠の水場……というから、てっきりオアシスみたいな場所を考えていたオレは想像以上に荒涼とした景色の水場に少し驚いていた。


岩山の麓にざっと直径で20メートルほどの大きな縦穴がくり抜かれている。

水面までの高さは100メートルぐらいあるんじゃなかろうか。


その巨大な円形のプールに透明度抜群の水が(たた)えられている。水深はみただけではちょっと見当がつかないが10メートルやそこらではなさそうだ。

スキューバーダイビングの練習用プールみたいな深さに見える。


「さ。ここになります」


「ん」


で、浄化って言われても……見た感じは()(れい)に見えるが。


それとも、()(れい)に見えるからヤバイんだろうか。


毒で汚染されてるので生物が一切存在出来ず、それゆえに()(れい)に見えるってパターン。こういう場所の場合は鉱物毒がしみ出したりすると、そういうことになる。


この場合はちょっと厄介だ。


水を()(れい)にするだけではなくて、土壌化以前までやらないと問題が解決しない。

さすがにそこまでの操作が可能かどうかは、やってみないとわからないな。


ただ、オレたちはあくまでもピンチヒッターだからな。


そこまで厄介な話というのはちょっと考えづらい。


いずれにしても、水場はナノマシンの精密操作圏外になるので水面まで降りる必要がある。


(フィオナ)


(ん。わかってる)


 とひとつうなずいて、長老に向き直るフィオナ。


「それで、何を精霊様にお願いすればいい? 浄化……するほど汚れているようには見えない」


「はい。お願いしたいのは……水そのもの浄化では無く、水場に住む神の魚。この魚から毒袋を取り除いていただきたいのです」


 ふむ。


 手術系か。


 オレとフィオナ、それから数人の白衣を(まと)った男たちを乗せた小舟が水面に下ろされる。

 

 深い穴の下にあるせいで風が入り込まないせいだろう。水面はまるで凍り付いたように静かにオレたちの姿を映し出していた。


「それで、これからどうすれば?」


「は。私めが神魚様をお呼び出しいたします。すると神魚様が水面に現れまする」


 と1人目の男。2人目が言葉を引き取る。


「次に私めが神魚様を包み込む水球を創りだし宙に浮かべまする」


 そして、3人目が


「さすれば私めが神魚様の毒袋を切り取りまする。以上で浄化の儀式は完了でございます」


 ふむ。


 フグみたいな感じに自分の体内に毒をためこむ魚なんだな。だから、こいつが水場を浄化することが出来るわけか。


 それにしても魚を水ごとダイナミックに浮かべて手術とは……あれ?


 オレたちのやることなくね? 魚を呼んで、水ごと浮かべて、でもって毒を切除だろ? 全部終わってるじゃん。


「それで、精霊様には何をお願いすれば?」


「はっ。切除の間、神魚様を安らかにさせていただきたいのです。毒を切除すれば……痛みまする。痛めば暴れまする。さすれば毒袋が破けて泉に毒が流れ込み……この水場は死にまする」


 なるほどね。麻酔係か。


 そういう魔法を使えたのがあの人だけだったんだろうな。


 こりゃ責任重大だ。

 

(タスク、出来る?)


(もちろん。ただ、もっと楽な方法がある。なにか適当な石でもなんでもいいから、それをもったいぶってあいつらに渡してくれない?)


 フィオナはオレにうなずくと、いかにも精霊様と交信しています……という雰囲気で瞳を閉じてブツブツと独り言を言い始めた。


 言葉には特に意味は無いが、演出だ演出。


 やがて、そっと両手を天に差し出して何かを受け止めるような仕草を行う。かすかにフィオナの手が光り、そこには小さな宝石のような透明感のある小指の先ほどの物体が現れていた。


 かすかに例によって探知不能のエネルギーを感じたので、たぶん物質移動か何かの魔法を使ったんだろう。


 物質を解析するとなんとアクアマリン。つまり宝石だった。


 ……もったいなくね?


(これでいい?)


(いいっていうか、本当にただの石でよかったんだけど)


(必要経費。あとでちゃんと払って(もら)う)


 ちゃっかりしてらあ。


 思わず苦笑していると、フィオナを驚いたような目で舟の一行が見つめていた。


「その……それは?」


「わからない。精霊様が授けてくれた。何かはわからないけど、きっと貴方(あなた)たちの想像を超える何かが起こる」


 さ。


 お膳立ては整いましたってところだな。


続きが少しでも気になったり、ちょっとでも続きを読みたいなと思われた場合はブックマークをしていただけると励みになります!


また、評価もしていただけますと今後の展開などの参考とさせていただきますのでよろしくお願いいたします。

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