第11話 なんと、レベルが上がりました
砂漠の旅はなかなか過酷だ。
昼はカンカン照りで日陰らしい日陰もなく、貴重な水を舐めるように飲んで乾きを癒やす。
夜は針のような星空の下で、凍えながら焚き火のぬくもりだけが命綱。
昼夜の気温差はおよそ40度以上。
真冬と真夏が1日にやってくるようなもので、もうこれだけで生身のオレならギブアップだろう。
もちろん、それはフィオナとリアムにとっても同じ事だ。オレよりもずっと過酷な環境には慣れているのだろうが、それでも身体に負担がないわけではない。
そんな2人を守るためにナノマシンをフルドライブさせて、大気を操作し水場を要所要所に配置し寒暖の差を和らげてとしていると…………
レベルが上がりました!
なんのというと、もちろんナノマシン操作権限の。
あと、オマケで身体能力も上昇しています。
なるほど。機能制限がアンロックされると、ナノマシンで構成されているこの身体の性能のリミッタも解除されるんだな。
確かにいきなり、ターミネーターみたいな力を持たされても持て余すのは確実だからな。なかなか粋な計らいと言える。
でもって、それを可視化させると次のような感じになる。
【ナノボディ機能制限解除】
力 10→15
防御 10→19
魔力 0→0
速度 10→38
思考 10→46
【ナノマシン操作権限】
操作可能エリア:半径10m→半径15m
操作可能質量:60kg(身体含む)→+50g
たったの50gかよと侮るなかれ。
ナノマシンは恐ろしく小さくて軽いから、こうなっちゃうだけで。
個数で言うと……数字のケタが足りなくなるのでパスという感じになってしまう量になる。
10の後ろに0が15、6個ぐらいつく数だ。もうちょっと多いかも。
【解除スキル】
ナノマシンによる分子操作 ランク2
ナノマシンによる生命維持系操作 ランク2
ナノマシンによる情報収集 ランク1
→新【ナノマシンによる残留思念収集 ランク1】
ん? 残留思念の収集? なんだ、これ?
チュートリアルはないかいな……あった。
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ナノマシンによる残留思念収集
生命体が死亡した際の脳波を近傍のナノマシンが収集維持していた情報の読み取り権限。および言語化。
ランク1 死の間際の強い思いを収集可能
ランク2 故体の記憶の再現
ランク3 故体の人格の再現
ランク4 故体の人格の再現および身体の限定的な再現
ランク5 閲覧資格がありません
ランク6 閲覧資格がありません
ランク7 閲覧資格がありません
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なる。死んじゃった人間の意思とか記憶をナノマシンは収集して保管してるのか。
それをある程度まで読み出せると。
ランク4すごいな。
もう、ある意味では蘇生じゃね?
ランク5以上とか、どんなのだよ……
見れるようになるのが楽しみでもあり、怖い気もする。
「タスク?」
剥製みたいな格好でじっとレベルアップの内容を確認していたオレの毛をフィオナがそっとなでてきた。
「にゃお(ああ、ゴメン。ちょっと出来ることが増えてたから、その確認)」
「そう。良かった。急に動かなくなったから、心配した」
む。
これからは出来るだけ、事前に声をかけてからレベルアップの際は精査することにしよう。
あと、スキルに目を奪われていたが身体能力もちょっと向上した。
力と防御? 頑丈さかな? は微増だけど、速度と思考の伸びがヤバいな。
おそらく、ナノマシンの制御をずっとやっていたおかげで脳のクロックみたいなものが上がったというか解放されたんだろう。
猫の身体ではあまり恩恵はなさそうだが、人間の身体ではそこそこ助かるかもしれない。
……いつ戻れるかわからないが。
それにしても。
街であった、あの野郎。
ああいうのがフィオナの敵なのか。
実にイヤな目をしたヤツだった。
典型的な虎の威を借る狐ってやつだ。
正直、村の生活環境を安定させても、そこから先が面倒なことになりそうだな。
何か出来ることを考えておいた方がいいのかもしれない。
自警団用の武器を作るとか。
そんなことを考えているうちにオレはいつの間にか眠りに落ちていた。
フィオナの腕の中で。
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