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第7話 大陸暦1211年5月 

「なっ? 何だよ…」


 あのとき…キスをされたとき、俺の顔は真っ赤になっていたんだろうな。


「アルナウトの事が好き。だから無視しないで!!」


 何故か、そんな記憶が頭に蘇ってきた。多分、俺…死ぬってわかっちゃったからかな? 


 ◇


 ここは大陸南東部にあるイーヴァリ王国のとある島に建設された海底神殿らしい。そこで俺たち三人は、国境を超えた騎士団(パラディン)の真実を知らされた。


 人がどれだけ鍛錬しようとも、魔の物に対抗することなど出来ない。言われてみれば、各国の騎士団が魔の物と戦った話しなど聞いたことがない。


 ならばどうするか? 人も魔の物と同等の力を得ればよい。それを元に研究を始めたのが、イーヴァリ王国である。その研究は偶然に魔の物の血を飲んでしまった研究者によって成果をあげた。それから数百人の犠牲の果に、魔の物の力を得るためには、魔の物の血を飲むことが立証された。


 そして俺達の目の前には、20体程の魔の物の幼体がいる。


「己の直感を信じ、魔の物を殺し、生き血を啜るが良い」


 国境を超えた騎士団(パラディン)の本部団長であるアーヴァインの声が大広間内に響く。


 生き血を啜った者の65%は拒絶反応で死亡する。20%は魔の物に姿を変えてしまう。そして残り10%は何か力を得る事が出来る。さらに5%は複数の力を得るらしい。


 9割近くが死ぬんじゃねーか!! 


 逃げようにも抜剣した40名ほどの国境を超えた騎士団(パラディン)に囲まれている。本部団長であるアーヴァイン曰く、儀式を受けない者は、この場で殺すと。


 俺、まだ童貞なんだけど…。あれ以降、ナターリエとは一度もキスしてないし…。


 ナターリエを見ると躊躇なく魔の物に近付く。ナターリエが近付いた魔の物は、並んだ中でも最も凶暴、凶悪、醜悪であり、悪魔と言っても過言ではない魔の物だった。


 ナターリエは剣を抜き天井に掲げ口上を述べる。


「お前は、ナターリエの血となれること!! 国境を超えた騎士団(パラディン)の礎となれることを喜び!! 誇りに思って死ぬが良い!!!」


 ナターリエは清流の様な剣筋で、悪魔の首を刎ね飛ばし、噴水の様に吹き出す首に顔を埋め、一心不乱に血を飲み続けた。


 ナターリエと同時に血を啜ったハンプスは、既に変化が現れていた。拒絶反応なのか? 体が膨張して、血管が破裂し、目玉が飛び出す。


 俺は恐怖のあまり…失禁してしまい。出口を探して走り出した。


 グサッ!? グサッ!! グサッ!! グサッ!! グサッ!!

 体中が熱い!?


「脆弱な者も、卑怯者も、愚か者も、国境を超えた騎士団(パラディン)には不要だ!!」


 容赦なくアルナウトの体を貫く剣。真っ赤に染まる床。


 俺は…何処で間違っちまったんだ…?

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