第八十三話 抗牟と宝蘭
清宗坊、堂刹、ぬらりひょんも初めは戦いあぐねていた!
第八十三話 抗牟と宝蘭
清宗坊は水属性の青頭と闘っていた。
「天狗など俺様の敵ではないわ!」
青頭は勢いよく水を飛ばすことで、水刀となって清宗坊を襲う。
しかし清宗坊も負けてはいなかった。
風を勢いよく回転させることで、刃のようになる。 水刀には刀から繰り出す風の刃を当てて相殺し、天狗の団扇から繰り出す風の刃で青頭の皮膚を切り裂く。
そして隙あらば近づいて刀で斬りつけていった。
しかしどれも致命傷どころか、かすり傷程度にしかならない。
「クッ···いかにすれば······」
戦いあぐねていた時、ギンが急所の左顎に赤い印を入れた。
「もらった!!」
清宗坊は天狗の団扇で姿を消した。
「天狗はどこに行った?!!」
青頭がそう思った瞬間には左顎の赤い印に清宗坊の刀が深く突き刺さっていた。
◇◇◇◇
堂刹は氷属性の白頭と闘っていた。
「酒呑童子! 本当にそっちについたのか?! 奴らを騙して内部から崩すつもりだったんじゃなかったのか?!」
「何をどう聞いたのかは知らんが、余は一度も貴様等の側に付いた覚えなどない!」
「慶臥の奴! 裏切っていたのかぁ!!」
堂刹は小さな黒雷を歯ぎしりする白頭にズン!とお見舞いした。 もちろんそれが有効な攻撃になるとは思っていない。 目眩ましのためだ。
黒雷を放つと同時に白頭のところに飛んでいき、斬りつける。 しかしこれもまたかすり傷程度しか傷つけることができないうえ、刃となった鋭い氷が飛んでくる。
それを刀で叩き落しながら距離をとる。 それの繰り返しだ。
···くそう!! 勝てる気がしない!!······
その時、ギンが白頭の顎下に印を入れた。
···またそんな攻撃しにくい場所に!!···
とりあえず同じようなヒットエンドランを繰り返していると、隣の黒頭を白鈴と共に攻撃していた白狼が、幽鬼を追いかけて白頭のすぐ近くを通過した。
ほんの一瞬白頭の視線が逸れた時を見逃さなかった。
堂刹はその一瞬に顔の前まで飛んでいき、下から顎を思いきり蹴り上げた。 そして一回転するとそのまま顎下の赤い印めがけて刀を突き刺した。
◇◇◇◇
ぬらりひょんは風属性の緑頭と闘っていた。
思った以上に苦戦している。 緑頭が繰り出す風が、見えない刃となってぬらりひょんに襲い掛かってくる。
攻撃が来る前に八人衆に影響ない程度の爆発を起こして風の刃を無効にしていくのだが、集中しないと緑頭が繰り出す風の刃の軌跡が見えない。 しかし集中しすぎると今度は周りが見えなくなるのだ。
すぐ近くで敬之丞と闘っている毒属性の紫頭が、ついでのようにぬらりひょんに向かって毒を吐いてくるし、上から飛んでくる鋭い氷の刃も避けなければならない。
そんな時、ギンが緑頭の右頬に赤い印を入れた。
緑頭はぬらりひょんが放った爆発の方に、ほんの一瞬だが必ず視線を向ける。 それをぬらりひょんは見逃さなかった。
顔の横で爆発を起こした時に緑頭がそちらに視線を向けるタイミングを見計らう。
右頬の横で二回、左頬の横で三回爆発を起こすと、右を見てから少し大きめに左側を見て、右頬の印を手前に見せる。
ぬらりひょんは囮の爆発と同時に飛んでいき、右頬の赤い印に刀を突き刺した。
◇◇◇◇
抗牟は負けない自信があった。 自分と相対するのが雷を持つ黄頭だったからだ。
鵺には「雷獣」という異名がある。 その事で分かるように、彼には雷攻撃が利かないのだ。
ただ、雷を扱えるようになったのは鵺王になってからで、殆ど練習らしきものはしていなかった。
しかしいくら八岐大蛇の黄頭といえど、自分に雷攻撃が効かない以上負けることはないだろうと思っていた。
「雷獣? 珍しいな。 しかし、この攻撃を避けることはできるかな?」
黄頭が薄ら笑いをしながらそう言うと、すぐ横を稲妻が走り、痛みが走った。
「うっ!」
見ると、左腕から血が出ている。
「なぜ!」
次々に稲妻が向かってくるので、慌てて避ける。 抗牟から外れた稲妻が洞窟の壁に当たり、ドン!ドン!と爆発して砕け散った。
雷に耐性があるにも関わらず、攻撃で傷つく。 どういうことか分からず、横で戦っている宝蘭に教えを乞う。
『宝蘭! 私に雷攻撃が効くんだ! どういうことかわかるか?』
『ただの雷じゃなくて、雷剣だからよ』
『雷剣?』
『いくら雷攻撃が効かない貴方や私でも関係なく攻撃を受けるわ』
『教えておいてくれよ』
『知っていると思っていたわ。 私が翔鬼さんにしていた攻撃を見ていなかったの?』
『私は攻撃を受けていないから分からなかった。 どうすればいい?』
『知らないわよ! 岩でもぶつければ?···私も忙しいのよ』
「その手があったか」
雷剣が飛んでくる前に足場の岩を目の前に出すとそれにぶつかって爆発した。
抗牟は鵺王の姿で雷剣をよけながら、岩を飛ばす。 そして隙があれば見つかりにくい狒々の姿になって近づいては攻撃を繰り返した。
横では宝蘭が岩属性の茶頭に様々な属性の攻撃を試みている。 硬い頭になかなか攻撃が効かないのだが、氷刀が一番効くようだ。
しかしそれもかすり傷ほどにしかならず、宝蘭は苛立っていた。
「天下の宝蘭様の攻撃を物ともしないとは、なんて生意気なの!」
氷刀が一番効果があるとわかると、大きな氷刀や、小さな氷刀、曲がって飛ぶ氷刀などを試していた。
それに茶頭からは鋭く尖った刀のような岩刀が飛んでくる。 これは硬く強力で、直撃を受けると防御結界を突き抜けてしまうので、数か所にケガを負っていた。
『宝蘭、飛び道具だけでなく直接攻撃をしたほうが効き目は高いぞ!』
『簡単に行ってくれるわね!! 自分の黄頭に集中しなさい』
その時ギンが赤い印をつけてくれた。
「楽勝ね! 一発で仕留めてあげるわ」
茶頭の急所は喉だ。 一番見えやすい場所なので簡単に倒せると思った。
宝蘭は一番効き目があった氷刀を喉めがけて飛ばしたが、茶頭もわかっているのか既の所で避けられる。
何度も赤い印をめがけて氷刀を飛ばすが、小さな的に当てるのは至難の業だった。
抗牟が相手する黄頭の弱点は額だ。 雷剣を飛ばしてくる一番危険な角の間に印をつけられた。
先ほどから何度も鵺王の姿になったり狒々の姿になったりして目眩ましをしながら攻撃していた。 近づくには一番有効な方法だからだ。
しかしその目眩ましに黄頭も慣れてきてしまったようで、なかなか近づけなくなってきてしまっていた。
「そうだ···翔鬼様が敬之丞殿に注意をされていたのを聞いていたのに···」
《本番ではいざという時にだけするようにしないと相手も慣れてしまって、ここぞという時には効かないぞ》
「···ちゃんと聞いていたのに···なんとも不甲斐ない···」
抗牟と宝蘭は、どうやって急所を刺すのか?!
(゜_゜;)




