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第四十七話 堂刹の楽しみ

中の津の住人を助けに行くのに堂刹もついてきた。

堂刹は楽しそうだ!!


 第四十七話 堂刹の楽しみ



 三大鬼神に見送られて江の坂町を出発した。


 江の坂の近くで石にされた者から助けていくが思ったより数が多い。

 中の津村の者はいいのだが、江の坂町や他の町から来た者も思った以上に多かった。


 そこで江の坂町に戻る事を希望する者は堂刹と白鈴が交代で希望者を抱いて飛んで戻る事にした。




 今は白鈴が唐傘を抱いて江の坂洞窟に向かっている。


「翔鬼様、あそこに石が!」


 与作が先行して石になった者を探してくれる。 そして元に戻った者を白狼が護って歩く。


「アブラカダブラサッカーバドミントン! 元の姿に戻れ!!」


 面倒だが、周りの目があるので丁寧(ていねい)に呪文を唱えて助けて回る。


 その時、空気が冷たくなってきた。 幽鬼が近付いてきたのだ。 太陽が頭を出しているので幽鬼には黒雲が必要になっている。


 遠くの方に黒雲が見えた。


「余が行ってくる」


 堂刹が凄い勢いで飛んでいき、幽鬼を退治してとっとと戻ってきた。


「お疲れ!」


 幽鬼を退治した事をねぎらうと「翔鬼の方がお疲れだろう」と言って、ハハハハハ!と笑う。



 本当に明るい人だ。



「そうだ翔鬼。 前に言った防御結界を体に沿わせる訓練をやっているか?」

「お···おう、もちろん」



···何もやっていない。 すっかり忘れてた···



「やってみろ」



···やばい···



 出来るだけ体ギリギリで結界を張ってみた。

 堂刹が翔鬼の背中を叩く。 かなり手前で叩いた手が結界に弾き飛ばされる。


「お前、全然できてないじゃないか」

「やっぱり?···」

「もっと体に沿わせるように···服を着るつもりで···着物じゃなくて中に来ている肌着を着る感じでやってみろ」



···肌着? シャツの事だな···シャツのように···



「おっ! 少し肌に近づいたぞ。 もう少し頑張れ」


 堂刹は翔鬼の背中をバッシ~ン!!と、思いっきり叩いた。 しかし防御結界のおかげで少しも痛くない。



···おぉ···この感じだな···シャツ···シャツ···


 


 ブツブツ言いながら防御結界を張っている翔鬼を見てニッコリ笑ってから、白狼の方に振り返る。


「お前もやってないだろう?」

「えっ?···あっ···おう···えっ?」


 白狼がしどろもどろになっている。


塞心術(そくしんじゅつ)をやってみろ」

『やってみろと言われても···』

「ハハハハハ、やり方が分からんか。 心を読まれないように(ふた)をするんだ」

(ふた)って言われても···』


「息を止めるような感じで···」

『···こんな感じか?···』

「今、ほんの少し出来ていたぞ」

「そうか?」


 白狼は嬉しくて尻尾をブンブン振っている。


「お前は心を読まなくても尾っぽを見れば何を考えているか丸わかりだなぁ」


 白狼はギュッと力を入れて尻尾の動きを止めた。 変に力を入れるから今度は歩き方がカクカクとしたおかしな歩き方になっている。


 ハ~ッハハッハハハッ! 白狼を見て堂刹は腹を抱えて大笑いをする。 そこにまた幽鬼が現われたので、笑いながら飛んでいった。



「堂刹って本当にいい奴だな」


 翔鬼が白狼の横に来て、飛んでいった堂刹を見てしみじみと言う。


「同感だ」


 二人並んで進行方向の左側に現れた黒雲の方を見つめながら歩いた。



「そうだ白狼、塞心術(そくしんじゅつ)だけど、かくれんぼの要領で心を閉じれないか?」

「翔鬼が気孔を閉じた時のようにか?」

「おう、そうだ。 白狼がよく(ふすま)の陰に隠れて、俺が近付くと飛びついて、押し倒した俺の顔を()(まく)っただろう? あの時の隠れる感覚で···」


『獲物を狙う時の気配を消す感じだな······』


 白狼は嬉しそうに尻尾を振っているが途中から心が()えなくなった。


「できてるぞ! その調子だ!」

「そうか! できていたか!」



 そこへ幽鬼を倒した堂刹が戻ってきた。


「今、出来ているみたいじゃないか? 白狼」

「翔鬼にコツを教えてもらった」

「そうか、それは良かったな···()は生まれ出た時から塞心術が出来ていたから、実はどう教えればいいかよく分からんのだ。 教える相手もいなかったからな、ハハハハハ」


 堂刹は陽気に笑う。


 翔鬼は自分も初めから塞心術が出来ていたから教えるのは初めてなんだけど、と思ったが黙っている事にした。 なんだか堂刹がとても楽しそうだったからだ。




 そこ白鈴が戻ってきた。


「なに? 楽しそうね」

「堂刹に色々教えてもらっていたんだ」


 それを聞いた堂刹はフフンと自慢げな顔をしている。



···子供みたいで可愛い···




「翔鬼様!」

 また与作が石を見つけたようだ。 二つ寄り添うように石が並んでいる。 元に戻してあげると、二人の小鬼だった。


「「ありがとうございます」」

「ここの皆は中の津村に行くのだけど、江の坂の町の方が良ければ送るがどうする?」


 二人は顔を見合わせてから「江の坂の町にお願いしたいです」と答えた。


 すると突然後ろから堂刹(どうせつ)に抱きかかえられた小鬼たちは「「ヒヤァ~~~ッ!!」」と驚いて叫び、逃げようとする。


 二人を抱きかかえたままの堂刹(どうせつ)が「()が送ってやろう」と嬉しそうに言うと、その声に後ろを見た小鬼たちが再び「「ひえぇぇぇ~~~っ!!」」と叫んだ。


「では行ってくる。 ハァ~~ッハッハッハッ!」「ひえぇぇぇ~~···」


 二人を抱えたまま飛んでいった。


「毎回必ずあれをするのが楽しみみたいだな」


 翔鬼はちょっと呆れたように飛んでいく堂刹を見送る。


「そりゃあ、普通は酒呑童子に抱えられたら生きた心地はしないでしょうね」


 白鈴も同じように呆れている。



···やっぱりガキだな···



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 堂刹は二人の小鬼たちを抱えて飛んでいた。


「しゅ···酒呑童子様、 我々をわざわざ運んでいただいて、申し訳ありません」

「ハハハハハ! たやすい事よ。 しかし礼ならお前達を助けた鬼神の翔鬼殿に言うんだな。 余は奴の手伝いをしているまで。 好きでしているから気にするな」


「あの御方は翔鬼様と仰るのですか。 いつかまた御会いする事があれば必ず恩返しをさせていただきます」

「そうか。 そうしてやってくれ···ん?」


 堂刹が突然止まった。


 視覚(みおぼえ)えのある気配を一瞬感じた。 頭を出した朝日が高い木々の上をかすめるように優しい光を投げかけている森の中からだ。


 堂刹は向きを変え、猛スピードで森に向かったが、急加速に小鬼たちは耐えきれずに声を漏らす。


「「ヒィィィィ···」」

「あっ! すまん」


 小鬼には負担が大きすぎるので慌てて止まった。 二人共堂刹(どうせつ)の腕の中でダランとして気を失ってしまっていた。


「確かにあの森から感じたのだが···」


 (すで)に気配はなくなっている。




 堂刹はその森を一瞥(いちべつ)してから、気を失ったままダランとした小鬼たちを抱えて江の坂町に向かって飛んでいった。







視覚えのある気配だ!

見張られていたのか!!

(;゜0゜)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 完璧です。 [一言] 文句のつけようがない、perfectな出来映えです。 誤字がない。読みやすい。面白い。 三拍子そろってます。
2020/06/15 20:27 退会済み
管理
[良い点] 完璧です。 [気になる点] 冒頭の5行にわたる部分ですが、短くまとめて、まとまらなければむしろ 「。」である程度細かく区切った方がいいと思うのは私だけでしょうか? 「、」だけでは長いと思う…
2020/06/15 19:46 退会済み
管理
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