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第十六話 新たな目標

飛翔術を取得できた翔鬼は飛んでみる!

 第十六話 新たな目標




 その時、不意にパチパチパチパチ! と、拍手が聞こえてきた。


「よくできたわね。ギリギリだったけど」


 振り返ると、白鈴と朱雀、清宗坊がすぐ後ろに立っていた。


「翔鬼殿、もう少し早く止まっていただけるかと思っておりましたのに、肝を冷やしましたぞ」


「ハハハ···さっき、白狼に怒られた」


 朱雀はそれを聞いて満足そうに頷く。



「少し白狼と練習をしてきてもいいか?」


「それはいい考えです。ただし、地面に降りる時には少し手前で止まってからゆっくり降りて下され。 でないと地面に激突する恐れがありますからのう。 ハハハハハ!」


「わかった!! 白狼! 行くぞ!!」


 翔鬼は飛び上がった。




 真っ直ぐ空高くに飛び上がって停止する。

 晴れ渡った真っ青な空と、見渡す限りの緑の森。 それを見下ろすように雄大にそそり立つ富士山と遠くに見えるキラキラと輝く海。


「白狼···キレイだなぁ···」

「そうだな···」



 (しばらく)くの間景色に見とれていたが、遠くに黒い雲が見えた。 今までは幽鬼が近付いて来るのを待たなければならなかったが、飛べる今となっては待っている必要はない。 そう思ったら居ても立ってもいられない。


「幽鬼だ! ちょっと行ってくる」


 白狼の返事も聞かずに黒い雲に向かって飛んだ。 



 早い! 自分で思っている以上にはやい! 黒雲はかなり遠くだと思っていたのだがあっという間に幽鬼に追いつき、すれ違いざまに翔斬刀を抜いてスパッと切りつけると黒い霧になり、黒い雲と共に消えていった。 


「わぁ! すっげぇ~~!!」


 翔鬼はそのまま飛び続ける。


「よし! 全速力だ!!」


 凄いスピードで空を飛び、急上昇に急下降。 急旋回に急停止。


 落ちる心配がないし不思議な事に風を切る感触もないので、ジェットコースターのような恐怖感もない。


「気持ちいいなぁ~~白狼」


 ふと振り返ったが、白狼がいない。




「あれ?···白狼······」




 すっかり忘れていたが、付いてきているとばかり思いこんでいたのに、見回したがどこにも白い影がない。 それに見渡す限り一面緑の森で、朱雀のいる場所も分からない。


「えぇぇっっ!! 俺···迷子?」


 急に不安になってきた。


「白狼ぉぉ~~!! どこだぁ~~~!! 白狼はどこだよ!」


 すると、自分の意志とは関係なくある方向に向かって飛び始めた。


「あれ?···どこに行くんだ?······あっ! これってもしかしたら···急げ!! 超高速!!」



 凄いスピードで飛び始め、遠くにキラリと白い何かが見えたと思ったら、あっという間に白狼の手前まで来て停止したのだ。



「翔鬼!! お前、いい加減にしろよ!!」


 白狼が凄い剣幕で怒鳴ったのに、翔鬼はそれどころではないようだ。


「なぁ! この飛翔術の性能は凄いんだぜ! 何だと思う? GPS機能が付いているんだ」


「ジーピーエス?」

「いや、それより凄いか。 願っただけでその人の前に連れてきてくれるんだ!」


「連れてきてくれるって?」

「白狼の所に連れて行けって願っただけで、白狼の前まで来たんだ。 凄いと思わないか?」


「···はぁ~~···それは凄いな」


 自分の叱責が完全にスルーされてしまった事に、溜息をつく。




「じゃぁ、朱雀の所に行こうか。 俺が連れて行ってやる。 朱雀の所に連れて行け。 ゆっくりでいいぞ」


 そう言うと、翔鬼が飛んで移動を始めた。


「これは俺が飛んでいるという訳ではなくて、勝手に朱雀の所に向かっているんだ」


 翔鬼は得意そうに白狼にそう説明すると、両手を頭の上で組み、上を向いて寝転がった体制のままで飛び続けた。


「自動運転だ。 あぁ~~気持ちいいなぁ~~······そうだ!」


 翔鬼が起き上がる。


「さっき、全速力で飛んでみたんだけど、これが凄いスピードなんだ。 なのに風が強くなかったんだ。 分かるか? スピードが上がるとそれだけ強い風が吹くだろう? なのにどれだけ早く飛んでも、今くらいの緩い風しか吹かないんだ。 不思議だろう?」


《飛翔術は体の周りの風と共に飛ぶので、飛ぶときの力が移動する時の風以外は感じません》


 突然知識の本の説明が入った。 知識の本の事をすっかり忘れていて驚いた。


「ビックリした! そうなんだ。 ありがとう」

《どういたしまして。 しかし知識の本に礼は不要です》

「オッケー! じゃなくて、わかった」




 そうしているうちに到着したのか下降し始めた。 最後に分かれた場所ではなく、最初に会った、流れていない滝の所に三人が待っていた。 翔鬼は機嫌よく手を振る。




「いかがでしたか? もう慣れましたかのう?」

「おう! もう完璧だ」


「それはようございました。 これで私目の御役目は果たしました」


 朱雀は満足げに答えた。




「では、次だな···次は何をすればいいんだ?」


 翔鬼は知識の本を開く。



《妖界のどこかにある石魂刀(せっこんとう)を見つけ出せ》



石魂刀(せっこんとう)を見つけろって。 石魂刀(せっこんとう)ってなんだ? 誰か知ってるか?」


 みんなは首を振る。


「在りかは存じませんが、聞いたことがありまする」


 清宗坊が答える。


「石魂刀は妖界に幾つかある魔剣の一つで、石魂刀で心の蔵を突かれた者は石になると聞き及んでおりまする」


「でも、心臓を突かれると、石にならなくても死ぬんじゃないのか?」


 翔鬼の問いに答えたのは白鈴だ。


「妖怪というものを分かっていないわね。 厳密にいえば妖怪にとって心の蔵は急所じゃないのよ。 でも、その場所を一突きするだけで倒せるってこと。 幽鬼のような小物は別だけど、大妖怪になると普通の刀で多少斬ってもびくともしないのよ」


「だから石にしてしまって動きを止めようってわけか」

「正解!」


「でもそんな大妖怪がいるのか? 倒さないといけないような」


 白鈴はビクッとしてなぜだか焦っている。 微妙に目が泳いでいるのだ。


「さ···さぁ···知らないわ」


「じゃぁどうして石魂刀がいるんだろう?」



《もう一つ。 体に勾玉(まがたま)を持つ八人衆(はちにんしゅう)を集めよ》


 急いで話を変えるように知識の本が次の目標を話す。


「体に勾玉を持つ八人衆を集めろって。 勾玉ってこんなのだっけ?」


 翔鬼は白狼の額にある青い勾玉を指差した。 真っ白い体に真っ青なラインの模様がある白狼の額の真ん中に、真っ青な勾玉が埋め込まれるように付いている。


「そうよ」

「じゃぁ、白狼がその一人なのか?」


「あら···そういえばそうだわね」

「よっしゃぁ!一人目ゲット! 良かったな白狼! 八人衆の一人だってよ!」


「おう! 光栄だ。 よろしく頼む」

「おう! 任せろ!」

「「ハハハハハ」」



 翔鬼と白狼が笑い合っていると、遠慮がちに清宗坊が「あのう···」と、話しに割って入ってきた。


 清宗坊が遠慮がちに翔鬼の前で右の袖を捲りあげてみせる。


「拙者にも···」


 清宗坊の右の二の腕に緑の勾玉が付いていた。 その勾玉の周りにも緑色の模様が周りを埋めていた。





「すげぇ! 二人目ゲットだぜ!」







新たな目標集めが始まる( ´∀` )b

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