8人の少年と1匹の竜
初めて投稿します。
色んな種族の子供たちが世界を救う的なやつないかなーと思ったけどなかったので自分で書きます。
いろんなものがごっちゃになった世界観になると思います。
あと世界の形は、は亀とか像とかの上に乗ってるあれみたいな感じと思って読んでもらえるとたすかります。
誤字脱字や駄文なのは申し訳ないですが温かい目で見ていただけると嬉しいです。
正直システム的にもよくわかってないので連続で更新しながら投稿できるものと思って第1章だけ投稿してます。
もし一括でしか投稿できなかったらすべて書いたのち改めて投稿しようと思ってます。
第1章 小さい狩人
エリンは木の陰に隠れ気配を消し、己を自然と同化させてじっと隙を伺う。そしてそっと矢を構えると、息を止めて弓を引き、的を絞りその手を放す。矢は一直線に飛んでいき、ヒョウという風切り音とともに獲物の心臓に突き刺さった。
エリンは獲物が動かなくなるのを待ってから近づき、腰に差したナイフでとどめを刺す。そこでやっと気を緩めると、少し慣れない手つきで血抜きの作業に入る。
獲物は大きめのメジカだった。父親と2人で暮らしているエリンたちであれば、塩漬けや燻製にすればかなりの月日の飢えをしのげるだろうがこれから来る冬に備えて食料をため込むことを考えるとまだ心もとない量だ。
それでもまだ温かい鹿の体は、エリンに満足感と少しの余裕を与えてくれた。
最近はなかなか獲物が見つからずに今日はかなり遠くまで来た。あと少し木の実やキノコを採ったら家に帰ろう。そう思いエリンは鹿を食べられないように木の高いところまで吊るして森の奥へと足を踏み出していった。
エリンは森に住む狩人の息子だ。黒い髪と浅黒い肌で、長い耳に深紅の眼。程よく引き締まった体にまだ幼さを残す整った容姿。彼はダークエルフという種族だった。
麻の下着に猪皮の軽鎧を身に着け、鹿の皮で作ったベルトには骨柄のナイフを挿していた。背中には父から譲ってもらった自分には少し大きいが自慢の弓に、後腰には木を彫って作った矢筒に矢が何本か入っている。
エリンは今年12歳になり、森で一人で狩りをすることの許しを父親からもらったのだが、その腕は父親にはまだ及ばないものの周りに人がいれば驚くような弓の腕前だった。
木の実とキノコを探してエリンは気が付けば自分がまだ来たことのない場所まで来ていた。キノコを探そうと木の幹や根を見ていると一本の木に目がいった。
大きな木だなぁ。それにこんな木は森の中で見たことがない。そう思いその木を観察していると、根と根の間に穴が開いているのに気が付いた。
最初はモグラの巣穴かと思ったが、穴は真下に伸びており、こんな形状の穴は見たことがなっかた。よく調べてみたいという思いに駆られたが太陽が斜めになっていることに気付いた。
このままでは帰る前に日が暮れてしまう。それに暗くなると獣の動きが活発になり置いてきた鹿が食べられてしまうかもしれない。エリンは後ろ髪を引かれる思いで急いで帰路についた。
森にこっそりと1つだけある小さな家が見えた。体よりも大きな獲物を担ぎ家に帰ってくると、父親の姿があった。父親はヒューゲルという名で、彼の肌は白く、翡翠の眼を持つエルフだった。
以前なぜ自分と肌の色や目の色が違うのか聞いたことがあったが、母親がダークエルフで自分はその血を濃く引いたらしい。その時に母は綺麗で優しい女性だったそうだがじぶんを産んだ際に命をおとした事も聞いた。
たまに毛皮や余った干し肉を売るために行く人の町で聞いたことだが、純潔のエルフにとってダークエルフと交わることは禁忌であり、父はそれを破り村から追い出される形で今の家に移り住んだらしい。
しかし父を恨んだり恥だと思ったことはない。優しくそれでいて威厳のある、本人には言ったことはないが自慢の父だ。
「おかえり。大きなメジカじゃないか。今日はエリンに負けてしまったな。」
ヒューゲルはそう言って微笑んだ。皮の鎧をまだ外していないところをみるに父もさっき帰って来たようだ。台所にはリスが数匹とかごに色々な木の実が入っていた。
出迎えられて早々に褒められたエリンは思わず顔を綻ばせる。
「えへへ。ただいま父さん。でもぼくじゃ大きな鹿は射れても小さなリスには当たらないよ。」
実際、動き回る小さなリスにエリンは矢を当てれたことは1度もない。そのリスを数匹。しかもよく見るとすべての矢跡が頭を貫いていた。これはヒューゲルの弓の腕を如実に物語っていた。
「どんなに弓が上手くったって獲物が小さかったら意味がないさ。その点お前の獲物は大きい。それは誇っていいことだぞ。」
そういって頭を撫でられたエリンは嬉し恥ずかしで頬を掻きながら話題を変える。
「え、えっと、今日と明日くらいまで夕飯は豪華になりそうだね。」
「そうだな。内臓やらは足が早いから、明日か明後日までにはすべて食べないといけないしな!」
夕食の話をされて想像したのだろう。ヒューゲルの声はかなり嬉しそうだった。
夕食は内臓と木の実の香草焼きとリスの塩焼き。飲み物にヒューゲルはワイン。エリンはアルコールの弱いハチミツ酒だ。どちらも普段は飲まないとっておきの品だ。
久しぶりの干し肉と木の実に少しのパン以外の豪華な食事に舌鼓を打ちながら、二人は他愛のない話をしていた。
「そういえば明後日に人の町に商人が来るそうだから、売り物にする毛皮と籠を明日出しておいてくれるか?あと明日は入り物が結構あるからエリンもついてきてくれ。」
「えー。人の町に行くってことは植物族と獣族の集落の近くを通るんでしょ?ぼく植物族は好きだけど獣族は乱暴で苦手なんだよぉ。」
「そう言うな。あいつらは少し粗暴な奴らが多いが根は素直でいい奴らなんだぞ?」
「うーん。まぁ、僕も行かないと父さん荷物が大変だから行くけどさぁ。」
「すまんな。頼む。」
「はーい。」
≪植物族≫≪獣族≫とは普通の動物や植物とは違い、神々の祝福を受けて、人と同レベルの知性を持ち、共通語を介して意思の疎通を図れる7つの種族の内の2種族である。
この7つの種族は、人、エルフ、ドワーフなどの≪人族≫ 悪魔や魔人などの≪魔族≫ 天使や聖人などの≪天界族≫ ゴーレムの≪鉱石族≫ 人魚や海獣などの≪海洋族≫で構成されていて、これらの種族は各々が1つの国を作り皆その国のなかで暮らしている。
そして人族はその数の多さから大陸全土を国とし、その人族の国の中に海洋族以外の種族が国を作っている。そのため人族の国には、各地に国から出て暮らすことを選んだ種族の小さな集落がある。
エリンは食事もそろそろ食べ終わるかという頃に、今日気になっていた見たことのない木と穴の話をすることにした。父さんなら何か知っているかもしれないと思った為だ。
「そういえばさ、今日見たことのない木を見つけたんだ。とっても大きな木でね、下のほうに穴があってずーっと真下に続いてるんだよ?」
「んー。この森にはもうエリンの見たことのない木はもうないと思うけどなぁ。見間違いじゃないのか?穴もモグラか何かじゃないか?」
「ううん。本当に見たことの無い木だったんだ。穴もまっすぐに下に続いてて…」
そこまで話してエリンはヒューゲルがかなり酔っていることに気が付いた。これ以上話しても面倒臭がられるだろうと自分の食器を片付けて寝室へ向かった。
きちんと話せなかったことでエリンの気になった木のことは、自分の中で少し大きくなっていた。