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ねずみくんのたなばた  作者: 秋本そら
ねずみくんの日記 7月6日のお話
9/17

かえるくんのひとりごと

かえるくんはようやく、テーブルの下から出てきた。

「さ、つづきをやらなくちゃね」

そういって、かえるくんはわかざりをつくりはじめた。

「うん、そうだね」

ぼくたちもそういって、たなばたかざりをつくる。そのとき、ふいにぼくはあのふしぎな手紙のことを思い出した。

「ねえ、かえるくん」

「ん?」

「かえるくんにとって、たいせつなものとか、たいせつなことってなあに?」

「どうしたの、きゅうに?」

ぼくはあの手紙についてせつめいした。

「ふーん……。もちろん、ぼくがかいたんじゃないよ?」

「わかってるって。それで、かえるくんのいけんがききたいんだ」

「……そうだねえ」

かえるくんは、どこかとおいところを見るようにして、こういった。

「——ともだち、かな。ともだちが、いちばんたいせつなもの」

「どうして?」

「……昔ね、ともだちをたいせつにできなくて、こうかいしたから」

——ゆっくり、かえるくんははなしてくれた。

「昔、ねこのおともだちがいたの。だけど、今日みたいな、かみなりがなってる日に、けんかしちゃって。ぼくね、おこっていっちゃったの。『ばか』って。その子ね……めになみだをためて、いなくなっちゃった」

かえるくんの目が、うるんでいた。

「その子には、にどと会えなくなっちゃった……その子、足をすべらせて、かわにおちて、しんじゃったの」

ぴたっ——。

じかんが、とまった気がした。

「ぼく、すっごく……こうかいしたの。それで、決めたの。ともだちをたいせつにするって。少なくとも……もう『ばか』なんてことばは、もうにどと、つかわないって」

ぼろぼろって、かえるくんの目からなみだがこぼれた。

きみがかえるくんのせなかをなでて、ぼくはかえるくんにティッシュをわたした。

——かえるくんがかみなりをきらうのは、もしかしたら、このできごとのせいでもあるのかもしれないなって、そうおもった。

そのあと、なきやんだかえるくんといっしょにたなばたかざりをつくって、ささにかざった。

それから、こんな雨じゃきみがかえれないから、3人でおとまり会をしようってことになった。

3人でごはんをたべて、ぼくとかえるくんはおふろに入って。それから、きみがおもしろいからとオススメしてくれたテレビを見て、3人分のおふとんをしいて、みんなでおしゃべりして、そのあと、ねた。

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