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ねずみくんのたなばた  作者: 秋本そら
ねずみくんの日記 7月7日のお話
13/17

さいごのおきゃくさまは

おに吉さんのかみなりぐもは、やっぱりとてもはやかった。あっという間にいえについたんだ。

「ありがとう、おに吉さん!」

「このくも、はやいじゃん!」

「いや、これでもまだゆっくりな方なんだぞ? もっともっとスピードを出せるんだ! ……でも、はやすぎるとその分かぜもつよくなっちまうからなぁ。ねずみくんととくちゃんが、吹き飛んじまうかもしれないからな」

おに吉さんはそういって、にやっとわらった。そのえがおが、すこしとくいげな表情に見えた。

「さ、中に入ろうか」

ぼくがそういって、いえのなかにはいると……。

「ねずみくんおかえり!」

「おかえり! そうめん買えた?」

かえるくんときみがにこにこと笑ってそういってくれた。

「おーう、ねずみくん! ようやくかえってきたか。まってたぞーう」

あっ……いらっしゃっていたんだ。

「あの……ひとのるすちゅうに、かってにいえにあがらないでほしいんですけど……」

思っていたよりもあきれかえったようなじぶんの声がきこえて、自分でびっくりした。

「すまんすまん。ところでピーナッツはあるかい?」

「まったくもう……ありますよ。ちょっとまっててください」

ぼくはそういってから、だいどころから、おさらにもったピーナッツをもってきた。はじめておに吉さんたちに会った時から、なるべくピーナッツはきらさないようにしている。なぜなら、おに吉さんたちはピーナッツがとってもすきだから。

「おう、ありがとうねずみくん!」

「いえいえ。あ、おに吉さんも食べる?」

「ああ!」

「みんなもピーナッツ、どうぞ」

「ありがとう!」

みんなは、うれしそうに、おいしそうにピーナッツをたべていた。買ってきただけのものなんだけど、なんだかうれしいなぁ。みんなのわにまざるために、ぼくもすわって、ピーナッツを食べることにした。

と、そのとき。

とうとつに、とくちゃんがこえをかけてきた。

「あ、あのさぁ、ねずみくん」

「なあに?」

「……なんで福の神がここにいるの?」

そう。ぼくのめのまえには、ピーナッツをうれしそうにたべる福の神がいる。

「え? 友だちだからだよ? ……まあ、こどもの日にやってきたときは、ぼくがるすばんをおねがいしていたあいだに、かってにこの家のお風呂でしょうぶゆにはいっちゃうし、今日はぼくが買いものに出かけているあいだに、かってにいえにあがりこんじゃうような、かなりじゆうほんぽうな神さまだけどね。でも、本当に友だちだよ」

「かってにお風呂に入ったのと、かってにいえにあがったのはあやまるよ、すまんよ」

まゆをさげて、もうしわけなさそうにあやまる福の神さん。いや、べつにいいんだけどさ。それに、福の神さんのことだから、またこういうことやりそうな気もしてるし、半分あきらめてるんだよね。

「まってねずみくん。なんでねずみくんはおにや神さまと友だちなの?」

とくちゃんのするどいツッコミがはいってくる。

「きょねんのせつぶんのひに、おに吉さんにピーナッツをなげたら『ピーナッツかぁ。うまいな、これ。おいおまえ、友達になろうぜ!』っていわれたのがきっかけでねー。ぼくがちょっとしりごみしてたら、おに吉さんが福の神さんを呼んできてね。それでその時にピーナッツをあげたらお友だちになってくださったんだ」

「そんなのアリなの⁈」

目を丸くするとくちゃんにぼくはこたえた。

「ありなんじゃない? じっさいそれでなかよくなったんだし」

「えーっ」

とくちゃんのこうぎのこえは、むしすることにした。

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