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ねずみくんのたなばた  作者: 秋本そら
ねずみくんの日記 7月7日のお話
11/17

かみなりぐもに乗って帰ろう

ぼくはとくちゃんに「ちょっとまっててね」って言ってから、スーパー五穀に入ってそうめんを買った。ぼくときみと、かえるくんととくちゃんのぶん。あと、ねんのためにふたりぶん多めに買っておく。めんつゆをきらしていたらいけないから、一本買っておくことにした。

「おまたせー」

「もう! おそいよ、ねずみくん!」

「じゃ、ぼくのいえに行こうか」

「うん!」

ぼくととくちゃんは、あるきだした。

だけど……スーパー五穀で買っためんつゆがおもたくて、ぼくはいつもよりもあるくはやさが、ゆっくりになっちゃったんだよね。だから、ふだんからあるくのがはやいとくちゃんが怒りだしちゃった。

「ねずみくん! あるくのがおそいよう!」

「ごめんって! でもとくちゃん、もう少しゆっくりあるいてもらえないかな?」

「これでもゆっくりあるいてるつもりなのにーっ」

「えーっ、そんなぁ」

と、その時。

とつぜん、大きなかげが上からちかづいてきた。

「ねずみくん! 久しぶりだな!」

ききなれた大きなこえがきこえて、目の前に大きなかみなりぐもにのったおに吉さんがあらわれた。かみなりぐもは地面にはついていなくて、おに吉さんをのせたまま、ぷかぷかういていた。

「うわっ! に、二本の角の、赤おにだあっ!」

とくちゃんがにげだしそうになったから、心の中でとくちゃんにあやまりながら、とくちゃんのしっぽをつかんだ。予想どおり、とくちゃんはにげようとして、ぼくにつかまれたしっぽで引きもどされた。

「とくちゃん、こわがらなくてもへいきだから! あのね、おに吉さんは、ぼくのともだちなの!」

「えっ、ええっ⁉︎ う、うそでしょ⁉︎」

「ほんとだってば、もう……。おに吉さん、久しぶり!」

「ああ、久しぶりだな!」

ぼくがあいさつすると、おに吉さんはごうかいに笑った。それをみてとくちゃんは目を丸くしたままつぶやいた。

「し、しんじられないよ……」

本当にお友だちなんだから、そんなこと言われてもこまるんだけどなぁ……。

ぼくはおに吉さんにきいてみた。

「ところで、かみなりぐもでどこに行くつもりだったの?」

「決まってるじゃないか! ねずみくんの家だよ!」

そくとうだった。

でも前に、おに吉さんは、こどもの日にぼくの家にあそびにきたこともあったから、なんとなくそうぞうはついた。

そのとき、ふと思いついた。

「ねえ、おに吉さん」

「なんだ?」

「かみなりぐもに、ぼくととくちゃんを乗せてくれないかな?」

ぼく、前にかみなりぐもにのせてもらってスーパー五穀まで行ったことがあるのを思い出して、それできいてみたんだ。そうしたら、おに吉さんは笑ってこういった。

「なあんだ、そんなのお安いごようさ! さ、のったのった!」

「ありがとう! とくちゃん、のろう!」

「う、うん……」

ぼくはとくちゃんといっしょに、かみなりぐもにのりこんだ。

「よーし、出発するぞー」

おに吉のかけ声とどうじに、くもがうかびあがって、びゅーんとうごきだした。

「ところで、ねずみくんの連れの馬の子はなんていうんだ?」

「ぼ、ぼくですか? ぼくは、うまのとくっていいます。とくちゃん、って、よばれてます」

「よろしくな、とくちゃん! おれは角田おに吉っていうんだ。まあ、みたとおりの、二本の角をもった赤おにだ。よろしくな!」

「よ、よろしくおねがいします!」

ぼく、ふたりがじこしょうかいしあっているのを見て、ちょっとほっとした。

これならきっと、ふたりはなかよくなるだろうなって、なんとなくそうおもったんだよね。

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