スーパー五穀ととまらないとくちゃん
7月7日(日ようび)
おきたのは、ぼくがいちばんさいしょみたいだった。
ぼくはふとんをでると、3人分のあさごはんをつくった。パンをやいて、たまごを3つとベーコンを6まいよういする。それでベーコンエッグをつくったんだ。これをマーガリンをぬったパンにのせてたべるのがおいしいんだよね。
あさごはんができあがっても2人がおきてこないから、ぼくはきのうのぶんのにっきを書いた。
そのとき、思い出したんだ。
たなばたの日のたべもの——そうめんを買ってないことに!
「……あさごはんたべおわったら、スーパー五穀にいかないと」
そのうち2人ともおきてきて、みんなであさごはんをたべた。
「ねずみくんは本当にりょうりがうまいねえ」
「とってもおいしい!」
あさごはんまで2人にほめられて、とってもうれしかったけど、かおがほんのりあつくなったのはないしょにしよう。
あさごはんをたべおわって、お皿とかもちゃんとかたづけたあと、ぼくはそうめんを買いに行くことにした。かえるくんがそれをきいて「ぼくたちも行く?」ときいてきたけど、ぼくはくびをふった。
「さすがにそうめんを買うだけなら、ぼくだけで十分じゃない?」
「たしかにそうだねー」
「いってらっしゃい!」
「うん、行ってくるね」
ぼくはいつものチーズがらのかばんをもって、かいものにでかけた。
そのとちゅうのみちでのことだった。
うしろから、だだだっ、っておとがして、ききおぼえのあるこえがきこえた。
「おーい! ねずみくーん!」
まちがいない。ぼくはそうおもってふりかえった。
……のだけれども。
「うわあーっ! 走りすぎてとまらないよう!」
そういいながら、そのかげはとおりすぎていった。
あきれたぼくは、とりあえずそのうしろすがたに「スーパー五穀でまってるよー!」とだけいっておいた。
そのままあるいてスーパー五穀にいくと、あんのじょう、そこにはそのかげのしょうたい——とくちゃんがいた。
「ねずみくん! いっつもおもうんだけどさあ、ぼくがとおりすぎるとき、いっつもねずみくんって『まってるよ』っていうじゃん、それ、『まっててね』のまちがいだとおもうんだけど」
「しょうがないでしょ? どうしてもああいうときって『まってるよ』っていいたくなるの。あと、すぐとまるれんしゅうぐらいしときなよ。毎回あれなんだから……」
ぼくがあきれていうと、とくちゃんは「ごめんごめん。でも車はきゅうにはとまれないっていうじゃん、あれとおなじだよ」といった。とくちゃんは馬で、車じゃないんだし、毎回あきれるこっちのみにもなってほしいよ。
「ところでさあ、とつぜんぼくをよびとめたのって、なにか用があったりしたの?」
ちょっときになってきいてみた。
「いや? ねずみくんが今日なにか用があるなら、ねずみくんのいえにいくのをやめようかとおもってさ。いっしょにたなばたのおいわいをしたかったんだよ」
「なあんだ。ぼく、そうめんを買いに来ただけだから、いっしょにたなばたのおいわいしようか! あ、かえるくんとあの子もいっしょでよければ、だけど」
「やったあ!」
ことしのたなばたはさわがしくなりそうだとおもったのは、ないしょの話。
「とくちゃんって誰?」と思った皆様、次回で紹介しますので、少々お待ちください。
「待ちきれないよ!」という方は、第2部分の「登場人物」をご覧ください。




