第36話 北京占領
済南市で、鬼を追う者たちが巡り会った。バンカという孤児とともに義和団に入ったとまでは知れたが、世情混沌として、その先がわからない。そこへ新たな消息を伝えてきたのは、哥老会の使いの者だった。排外的な思想では義和団に重なるところもありながら、北京に入った義和団は邪魔なのだという。以下、伝えられた幹部の言葉である。
死に急ぐようなところのある兄妹だったが、まだ生きていたようで何よりだ。行方知れずの鬼は見つかったかね?
義和団が北京を占拠した。
袁世凱による取り締まりが厳しくなり、山東省から移動して、教会や鉄道、列強の施設を襲撃しながら北京へ向かったのだ。流民を取り込んで、十万とも二十万とも言われる集団に膨れ上がった。
人民の数に頼って、清朝は、英米露仏独日伊澳、列強八カ国に宣戦布告するつもりらしいぞ。無謀の極みよ。まず勝てるわけがない。哥老会としては清朝の自滅は願ったり叶ったりだが、まだ早い。
君たちのような時代の遺物、失礼、由緒ある道士様に願うのは、義和団の中でも異色の集団、紅灯照の排除だ。そこに鬼がいると言えば、我々が頼まなくてもそうするだろう? 北京の紫禁城近くに留まっているらしい。紅灯照の首領、二仙姑はおかしな術を使うという。せいぜい気をつけることだな。




