第25話 交差する思い
犠牲になった流民たちの死を悼み、供養を行いながら、ハクウが少し詳しい話を教えてくれた。
「数年前、ロンとソウの祖父が殺された。犯人は倭人のヤジという男で、その尋常でない様子から、禁術を使用した疑いありとして調査に派遣された。捕縛指示も出ておるが、誰よりも早く二人を見つけて、きちんと話を聞きたいのだ」
そう語るハクウに向かって、トウショウが頭を地に擦り付けんばかりにする。
「滅するべき相手がいます。滅することで救わねばならない相手が。俺の父母を殺し、大切な人の名を奪った。幕を引いてやらねばならんのです。どうか術を教えてください」
その横でチヨも頭を下げる。
「頼みを聞いてやっとくれ。禁術というのは、半神半鬼の法というんだろう? 化け物も不死の体を奪い取るつもりだ。ロンとソウも鬼を追っているし、あたしもその鬼を追っている。いずれ二人にも会えるはずだ。三蔵法師だって一人じゃ無理さ。旅は道連れ世は情け、きっと役に立てると思うよ」
「そこまで関わっているならば、無下に断るより一緒にいた方が良さそうだな。これも何かの縁だ。ともに鬼退治と参ろう」
こうして誰も彼もに追われる当の鬼だが、実は、遠く離れた地で飢えて死にかけていた。




