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第24話 墓を盛る


 閉じた城門を開けようとしていたトウショウを襲った殭屍きょうしが、


 ゴウ!


と、火に巻かれて倒れた。颯爽と姿を見せたのは、黄色い道服姿の見知らぬ男だ。


 トウショウの無事を確かめると、殭屍の群れをなぎ倒し、チヨをも救い出した。二人を自分の傍に、周囲に円を描くように鶏血を撒き、銭剣を伏せ置いた。殭屍の群れはその円を越えることができず、右往左往している。


「危ないところであったな。しばしの間だが、体を休められよ。ところで、そのはさみは宝具ではないのか。どちらで手に入れられた?」


「今日は、この鋏のことをよく聞かれる日だね。これは、旅の道士、ソウからの貰いものさ」


「なんと! ロンもいたのではないか?」


 頷くチヨを見て、一人で納得したような表情を浮かべる。白雲観から来た道士で、ハクウというらしい。


「城砦に異常な気が満ちておったので立ち寄ってみた。逃げるだけなら何とかなるが、このままにもしておけぬな」


 困惑した様子の男にトウショウが声をかけた。


「教えて欲しいことがある。殭屍きょうしは火に弱いのか? 埋葬してやれば供養できるのか?」


 頷くハクウに、それならと何事か提案する。

 

 三人が向かったのは街の中央部で、普段は市場が開かれている場所である。地下には武器も扱う裏の市場があり、城外につながる隠し通路もあった。わずかに生き残った人々を避難させ、要所要所に砲弾と火薬を仕掛けていく。


「逃げ遅れた人はいないか?」


「大丈夫だ。もう城内に人の気配はない」


 力強く応じるハクウの声に、多くの縁者が死んで殭屍きょうしになったことを思う。気分が沈むトウショウだったが、大砲を通路に引き出し、地下市場に向かって撃ち出した。


 激しい爆発が連動し、街が炎に包まれる。


 通路を抜け、その先の丘から見えたのは、暗い空を赤く染め上げながら地下へと引きずり込まれていく街の姿だった。後に残った燃え盛る瓦礫の山を前に、ハクウが死者たちの供養をなす。その巨大な墓は、炎とともに唸り声をあげていた。



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