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第22話 また会いましょう


 何かの術をかけたのか、立ち上がれないでいるトウショウを踏みつけて、ナキリが笑い声をあげた。


「はっはっはっ、宝具は持ち手を選ぶんだ。その鋏を託されたのはお前じゃない。よしよし、こうした無様な姿を見るのも俺の楽しみなんだ。おまえも生かしておいてやる。どうやって、どんな気持ちで、俺を、ナキリを殺しに来るのか楽しみだ」


 笑い続けるナキリの背後から、チヨが鋭い蹴りを放つが、その蹴りは空を切った。素早く身をかわし、ペロリと手の甲を舐めてみせる。


「そう何度も喰らうかよ。この場でやり合ってもいいが、もう今日は仕舞いだ。後は眷属に任せるとしよう。死ぬも生きるも、おまえら次第さ」


 乱れた旗袍チーパオと乱れた黒髪を整えると、穏やかで、優しげな表情で言葉を続ける。


「生きていれば、また会いましょう。トウショウ、今度こそ、私を抱きしめてね」


 控え目に笑顔を浮かべると、すっと溶けるように消え失せた。


 ナキリ……。


 呆然とつぶやくトウショウである。化猫に魂を喰われ、体を奪われたというが、本当にそうなのか。今のは、ナキリにしか見えなかった。おまえは、もうどこにもいないのか。じっと動かないトウショウの頭を、チヨが叩いてみせた。


「しっかりしな! 続々と来てるよ」


 二人に向かってきているのは、無数の殭屍きょうしの群れだった。見知った顔、また父母の顔もある。



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