表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/50

第21話 九つの命


 首を切り飛ばされたナキリだが、自らの生首をぶら下げて立ち上がると、言うに事欠いて、


「よくも、俺を殺してくれたな?」


のたまった。帽子でもかぶるように生首をあるべき場所へ戻す。血の跡は隠しようもないが、その首は自然とつながった。喉をさすりながらいう。


「化猫には九つの命があるのさ。よくもやってくれた。これで俺の命もあと八つだ。ちくしょうめ」


 そう吠えるナキリの旗袍チーパオは、血にまみれて体に張り付き、少女らしい体つきを露わにしていた。警戒して構えを取るチヨを見やっていう。


「悪いが、俺はもうやらないぜ。そのはさみとは相性が悪いらしい。こんなところで二度も三度も殺されちゃたまらんからな。

 それより、おまえの恋人を喰らってやろう。鬼と化したと言っていたが、なかなか希少なことなんだ。道士らの使う禁術で、人を鬼に変えるものがある。半神半鬼の法と言ったかな。

 元々は、不老不死を求めての副産物。魂を失う代わりに不死の体を得るとか。どうだ? そんな体を奪い取ったら、ずいぶんと楽しそうじゃないか」


 ふふふ、と笑う。血まみれの姿は凄惨かつ蠱惑的だ。そこへ、覚悟を決めたかのように、しっかりと前へ出てトウショウがいう。


「化猫よ、ナキリよ、その姿で、その声で、話をするのはもう止せ。父さんも母さんも殺されたと理解した。ナキリがナキリでなくなったことも理解した。おまえを殺さなくてはならないことも理解した」


 言うと同時に、チヨからはさみを奪い取って、ナキリに向かって行った。鋏を振り回すが、いっこうに当たらず、鋏も鋏としての姿しか見せない。

 軽くあしらわれ、血に染まった旗袍から伸びる白い足で引っ掛けられた。派手に転げる様を見て、ナキリが楽しげに笑う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ