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第17話 いたぶりながら


 夢かうつつか幻か、こじんまりと腹の上に腰を下ろしたナキリが、トウショウの両親を殺したという。だが、確かめに行くことはできなかった。体の自由がきかないのだ。


 父母を呼び、苦しげな表情のトウショウを眺めながら満足げに、それは、少女の、ナキリの声でいう。



 無駄だ、無駄だ。口から俺の気を入れた。四肢に力が入らんだろう? 猫のようにいたぶりながら殺すのが好きなんだ。なんせ俺は化猫だからな。


 この娘はよく役に立ってくれた。呪術的に護られた城に入るのに、俺を抱き上げて招き入れ、そして俺に体と魂をくれたのさ。城門脇に埋めてあった守護像も逆埋めにすることができた。この街は俺たちの街になる。きっと面白いことになるぞ。


 そいつを特等席で見せてやろう。


 おまえには感謝しているんだ。ナキリは昏い魂を持っていた。芯が純粋で、自責と後悔に塗れた美味な魂を。その極上の魂を仕上げてくれたのがおまえだ。追い詰めたのはおまえだ。誰にも語らず、語られぬ、昏い魂の話を聞かせてやろう。


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