序章~時の狭間にて~1
ふわふわした感覚。水の中というより空に漂うようなそんな感じ。
矛盾してるが、何も感じないはずなのに心地よい。
ずっとこのままだといいのになぁ・・・何もせず、何も考えず、
ふわふわと何も考えずに、ただただ漂うだけ・・・
何してたんだっけ?まぁいっか・・・
僕は誰だっけ?わかんないや・・・
うーん・・・何も考えたくないや・・・
・・・あれ?
「ここは、どこだろう?」
ふっと落ちる感覚がしたとたんに急激に意識が明朗になると大混乱になる。何も見えない、聞こえない、感じない、においもしない、そして自分の体の感覚もなかった。
というよりも体そのものが無いようである。体の感覚がないことがさらなる混乱を招いていた。
「え?なに?なんで?どーなってる?」
叫んでいるつもりだが、すべては意識の中の行動であってその音が誰かに届くはずもなかった。
一通り意識の中で自己問答した後にようやく落ち着くことができた。何も分からないままであったが、
唯一わかったことは「現状がさっぱりわからない」ということだけだった。
「どうして?」と自分に聞いたところで答えなど出るはずもなかった。
ただお腹がすく、のどが渇くなどの生理的欲求がないのは良くもないが悪くもなかった。
もうどれだけの時が経ったのかもわからない。何かをすることを止めてなにもしないまま随分とたっていたような気がする。
段々眠くなってきたので考えることを止め、意識を手放そうとした時だった。
何もないはずの自分の世界に変化が起きた。
「・・・ぇ・・・・・・ぅ?」
かすかに声が聞こえた様な気がした。ここには何もあるはずがないと結論付け考えることを止めていたので気にしないことにしようとした。
「おーい、おーきーろー!」
「うわぁぁぁぁぁ」
頭が粉々に砕かれそうな大音量でその声が鳴り響いた。