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1話 引きこもり、最弱からの再スタート

体が、思い通りに動かない。


別に動かせないわけではない。


唯、昔より体が動かしづらいだけ。


それで、今の僕はというとベッドに寝かされている。


決して、柔らかいベッドでは無い。


でも、安心するのだ。


誰かに頭を撫でられ、聞いた事のない言語で僕に話しかけてくれるのだ。


それが、心地良くて仕方ないのだ。


すぐに眠ってしまいそうなくらいに。


それでその声の持ち主が女性だと、すぐに分かった。


だから、僕も何かお話ししようと思って、言葉を発した。


だが、僕の口から出た言葉は「まーま」だった。


ん? まーまって何だよ。


赤ちゃんでもあるまいし。


その瞬間、僕はまさか! と何かに思い当たり、その頭によぎった考えを確認する為、ゆっくりと瞼を開ける。


瞼を開けた先には、20歳前後の若い金髪の女性が覗き込んでいた?


あれ? この人誰だろう?


僕は、今までこんなに美人な人を見た事がない。


そう、昔助けた女性より美人なのだ。


それで僕は、その女性につい触れたくて、腕を動かす。


やっぱり動かしづらいが、腕を頑張ってその女性へと伸ばす。


そして、僕の視界に入って来た僕の腕は小さかった。


視界に入ってる来た腕は、間違えようの無いくらい、赤ちゃんの腕だった。


この時やっと確信した。


僕は、どこかの世界の赤ちゃんに転生したのだと。


まだ、ここがどこなのかは分からないが、日本では無い事はすぐに分かった。



────────────────────────────────────────────────────────そして長い年月が経ち、僕は5歳となった。


僕が転生したのは、間違いなく異世界だと、今までの5年間で分かっている。


この異世界では、5歳になった時、適性職業が診断されるのだ。


で、今僕はその適性職業が何なのかを調べている。


調べる為に、僕は今両親と共に、教会へと赴いている。


適性職業を何で調べるのかというと、アーティファクトと呼ばれる、神代の魔道具で調べると教会の人は言っていた。


その魔道具の形は、水晶玉に近い。


それで、適性職業を調べる為の順序はたった一つ。


その順序とは、その魔道具である水晶玉に手をかざすだけ。


たった一つの動作だけで、適性職業が決まるというのは、不公平だと思う。


勿論、適性職業と言うだけで、違う職業に就く事は出来るが。配偶が良くない。


だから、みんな適性職業に就くのだ。


そして、今僕の適性職業が決まる!



僕は見た。


魔道具である水晶玉を。


その水晶玉に浮かんでいた言葉は、《冒険者》だった。


《冒険者》と聞けば、ロマンがあり良いものだと思うかもしれないが、この異世界では、最弱の職業なのだ。


確かに戦闘面においては、《村人》よりは強い。


でも、その村人には農作業という大切な役割があるが、《冒険者》は、何の役割も取り柄もない。


取り柄があるとすれば、全ての職業の《スキル》を習得出来るぐらいだろう。


勿論、本来の職業が使うよりは、威力や質は落ちるし、《スキル》を習得する際に使う《スキルポイント》の消費量も大きい。


例えば、《盗賊》が使う《スキル》の一つである《潜伏》は、《盗賊》が覚える際の《スキルポイント》の消費量は、3ポイントだが、《冒険者》が覚える場合は、2倍の6ポイント必要になるし、《盗賊》と《冒険者》が《潜伏》を使う場合、持続時間が違う。


だから、《冒険者》は最弱なのだ。


適性職業が《冒険者》だと判明した瞬間、両親は泣いて謝って来た。


「「ごめんなさい」」と。


僕は、そこまで落ち込んではいないんだけどさ。


それに、《冒険者》を僕は狙っていたんだ。


何故かと言うと、生まれた時から覚えていたチートスキルである【超成長】と、《冒険者》は相性が良いからだ。


理由は、《冒険者》という職業は、他の職業と違ってレベルが上がりやすいからだ。


まぁ、ステータスの上昇幅は少ないけど。


そこで出てくるのが、【超成長】だ。


【超成長】は、ステータスの上昇幅を底上げしてくれるのだ。


その面から、僕は《チートスキル》だと言っているだけで、他の職業の人からしたら、唯の《スキル》でしかない。


それで先程言った、ステータスと呼ばれるものが、この異世界にはあり、そのステータスが記載されているのが、アーティファクトの一つである、ステータスカードだ。


ステータスカードは、アーティファクトの中で唯一汎用性があり、複製されている。


ステータスカードは、ステータスが分かる他に、身分証明に使える。


勘違いして欲しくないから言うけれど、別に《冒険者》が、世間的に悪いと言われているわけではないからね。


僕は、適性職業がわかったから、家に帰る事になった。


そして、家に帰って数分後。


「ユーく〜ん。一緒にあーそーぼー」と家の外から聞こえて来た。


リューというのは、呼び名であって、本名ではない。


僕の名前は、ユーマ=マークレン。


だから、ユーくんと呼ばれている。


ユーマというのは、元々の名前の悠真から来てると思う。


それで、僕は玄関に行き、ドアを開ける。


そこには、幼馴染であり、適性職業が《勇者》のユリア=メルリアンが立っていた。


ユリアは、生まれた時から、ずっと一緒にいる女の子。


赤い髪で、紅い瞳。


将来、美人になる事が確定している凄い人。


僕とは釣り合わない。


「何? ユリア。僕、勉強したいんだけど。」


僕が勉強しているのは、将来の為だ。


勉強しているのは、主に剣術、魔術の事だ。


「ユーくんと、遊びたい!」


「遊ぶのはいいけどさ、ユリア手加減してくれないじゃん」


ユリアは、《冒険者》の上位互換である《勇者》だ。


《冒険者》の上位互換だから、取り柄がない。と思うだろうけど、それは間違い。


《勇者》は、この世に数人しかいないし、《勇者》には、《勇者》だけの《スキル》があるし、戦闘能力も、どの職業をも遥かに凌ぐ。


だから、魔族と呼ばれる者たちと戦うのに、重宝されている。


魔族と戦う事が、《勇者》に与えられている役割という事だ。


「だって、手加減難しいんだもん。普通に手を握ったら、ユーくんの手の骨折れちゃうんだもん」


「何でそんなに軽いの? もっと心配してよ! めっちゃ、痛いんだよ! そりゃ、母さんが治癒魔術を使えるからいいけど、それが無かったら、僕死んじゃうよ!」


母さんは治癒魔術師で、父さんは魔術師。


母さんと父さんは、同じパーティで冒険していたらしい。


そして、ある時父さんは母さんに告白し、現在の関係となった。


「そうだ! ユーくん、今日行ってたんだよね!」


「うん。それがどうしたの?」


「えーと、教えて欲しいなぁ〜って思って」


「《冒険者》だよ、《冒険者》」


「私が守るから、心配しないで!」


別に心配はしてないけど。


その気持ちだけ受け取っとこう。


やっぱり《冒険者》は、最弱の職業なんだな、と思いながら、 「それで、遊ぶの?」と僕は言った。


その問いにユリアは「うん!」と首を縦に振りながら、元気よく言った。


「分かった。何で遊ぶの?」


「鬼ごっこ!」


「鬼ごっこか、分かった。鬼はどうする?」


「わたし、逃げたい!」


「じゃあ、数えるから……「俺たちも混ぜろよ、ユー。友達だろ?」


うわー。めんどくさい奴来たー。


こいつは、僕とユリアより、2歳年上の男の子。


名前は、ガウル=ミリタリク。


適性職業、《盗賊》。


こいつ、一人だけならいいんだけど、いつも誰かと一緒にいるんだよな。


「分かったよ、ガウル。でも、条件がある。僕と、ユリアは逃げるから、ガウルは鬼。これが、絶対条件。別に友達と一緒に追いかけてくれても構わないよ」


「お前、舐めてんのか! ……分かった。お前なんか、すぐ捕まえてやるよ」


「ありがとう。ユリア、ちょっとこっち来て」


僕は、ある事をする為に、ユリアを手招きし、僕の近くに誘う。


「じゃあ、僕たち逃げるね」


僕は、【アース】と詠唱し、砂を手で握り、そして【ウィンド】と詠唱し、砂を飛ばす。


そうすると、ガウルたちの目に砂が入った。


よし、成功だ!


そして、次はユリアをお姫様抱っこし、【身体能力強化】と詠唱し、ステータスを強化し、逃げる。


あっという間に、ガウルたちとの距離は離れた。


それから暫く走って、完全にガウルたちが見えなくなってから、【身体能力強化】を解除した。


「ふぅ。逃げた、逃げた。ユリア、大丈夫か?」


「うん。あのね、ユーくん。そろそろ降ろしてほしいな」


「ごめん」


僕はそう言って、ユリアを降ろした。


「それで、ユーくん!さっきのは何!お父さんが使っている【身体能力強化】となんか違う!」


ユリアの父さんは、ユリアと同じ《勇者》で、昔父さんと母さんと冒険していたらしい。


《勇者》の子供は、《勇者》になりやすいのかな?


僕はそう思った。


「あぁ、その事ね。僕は唯、敏捷のステータスだけを強化しただけだよ」


本来の【身体能力強化】は、全てのステータスを強化させるのだが、僕の【身体能力強化】は、一つのステータスを強化させるのに、特化していたのだ。


全てのステータスを強化するより、一つのステータスだけを強化する方が、強化倍率が高い。


勿論、全てのステータスを同時に強化する事も出来るが、強化倍率は落ちる。


「そんな事出来るんだ、凄いね!ユーくんって、わたしより強いんじゃないの?」


「それはないよ。《冒険者》と《勇者》では、天と地の差があるんだから。」


それに、まだ僕レベル1だし。


唯、ユリアに勝っているものもある。


それは、MP量と魔力量だ。


その二つを大雑把に説明すると、MPは魔法を撃つ際に必要で、魔力量は魔法の質に関係する。


じゃあ何故、その二つだけ勝っているのかを簡潔に言うと、この異世界に来て、ある魔法を覚えてから、今までずっと魔法を使い続けていたからだ。


1日分のMPが尽きるまで。


最初に覚えたのは、初級風魔法である【ウィンド】だった。


【ウィンド】は、小さい時から父さんに遊びで見せてもらっていたら、僕も知らない内に使えるようになり、その【ウィンド】を今まで使い続けていた。


それで、何の意味があるの?と言われると、僕も最近知ったから詳しく知らないのだが、魔法を1日分のMPが尽きるまで使い続けていたら、MP量と魔力量が強化されていくらしいのだ。


僕は、それを知らないでやっていた。


魔法を撃つのが嬉しかったから、魔法を限界まで撃っていた。


それが、たまたまこういう結果に繋がっただけ。


多分骨折して、その骨折が治ると、新しくなった骨は強度が増しているのと同じ原理だと思う。


「それにユーくん、《魔法》使えるんだね!」


「初級魔法だけだよ」


初級魔法以上の《魔法》は、職業的に使えない。


だから、《冒険者》は、魔法なんて絶対に覚えない。


でも、初級魔法でも使い方によっては使えるのだ。


さっきの【アース】からの、【ウィンド】のコンボとかが、その例だ。


それで、《スキル》と《魔法》は別物だと言っておこう。


《スキル》は、《スキルポイント》で習得出来るが、魔法は誰かに教えてもらうなどして、自分で覚えるしかないのだ。


「やっぱりユーくんって凄いね! 何でも知ってるし、いつもわたしを助けてくれるし」


「褒めすぎだよ。恥ずかしいから、やめて」


「分かった。じゃあ、早くお家に帰ろう」


そう言って、ユリアは右手を出してくる。


僕はいつもと同じように、ユリアの右手を握り、そしてユリアは左手を握り返して来る。


そしたら、またいつもと同じ事が起こる。


ゴキッ!


鈍い音が、俺の左手から発声した。


「痛っ! 痛い、痛い、痛い! また、骨が折れた!」


「あ、ごめん」


僕は既に数十回は骨を折られている。


だから骨が折られるというのは、僕にとって日常となっていた。




































ユーマ=マークレン 5歳 男 7月3日生まれ AB型

適性職業 冒険者

斎藤 悠真の転生体。

黒髪、黒目、日本人の時より、カッコよくなっているどころか、高スペックとなっている。

得意な事 家事全般

趣味 ユリアと遊ぶ事

好きな色 黒

好きな食べ物 カレー(異世界では自分で作らないと食べれない。)


ユリア=メルリアン 5歳 女 7月2日生まれ AB型

(誕生日が、ユーマと1日早いから悔しい。)

適性職業 勇者

赤髪に紅い瞳、将来美人になる事間違いなし。

今も可愛い。だけど、頭が少し残念。

得意な事 ユーマの骨を折る事

趣味 ユーマと遊ぶ事

好きな色 赤

好きな食べ物 クッキー(ユーマが作ってくれたもの。)

好きな人? ユーマ



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