中央都アルン
それから3ヶ月が経った日のこと。
この頃にはすでに識別もlv6にまで上がり、正確な名前と詳しい説明文が見れるようになっていた。
フリードの筋力トレーニングも楽にこなせるようにもなっていた。
「おい、坊主。そろそろ本格的に剣を振るか。」
「ほんと!? やった……」
「おぅ、体もいい感じに出来てきたみたいだからな。まだ未熟だが。」
フリードから、刀のように細身の剣を渡される。
見た目に反して結構重い。
「この3ヶ月逃げずについてきたお前への褒美だ。その剣は、甲刀グリシス。俺が初めて狩ったAランク魔物のグリシスの甲羅で出来ている。全ての金属よりも硬いとされるグリシスの甲羅で出来ているから、切れ味は折り紙つきだぞ。」
「……フリード。ありがとう!」
「あぁ、ただし、修行のときはこっちの木刀を使え。形、重さを似せてある。」
フリードはたまに森に食料を調達しに出かける。それについていかせてもらった事もあるが、彼の戦いは華麗そのものだった。
彼はその身体能力で魔物を翻弄して、ろくに攻撃させない。たまに攻撃が飛んできても彼の剣が攻撃を弾き返し、すぐさまもう片方の剣で追撃する。
決して力任せの戦い方をしないのだ。常に脱力した状態で、両手に握った剣を振る。これがどんなに難しいことか。フリードに稽古をつけてもらっている今だからこそ分かる。彼の凄さが。
そして、俺がいつものように森で狩をして帰ってきた日のことだ。フリードから重要な話があると呼び止められた。
「お前、前から学校に行きたい。そう言っていたな。」
そう。俺は学校に行きたい。今の生活に不満を言うつもりではないが、友達が欲しいのだ。
「俺はお前を学校に行かせることが出来ない。そう言ったな。その理由なんだが、俺は国から追放された身だからだ。それにも関わらずこんな森の奥だが、未だ国にいる。そんな訳で、俺では学校に行かせることが出来ないんだ。
だが、学校に行けない訳ではない。」
「はっきり言ったらどうなんだ?
学校に行くには、何か条件があるんじゃないのか?」
「……俺の知り合いに娘がいる。そいつが、とんでもない暴力娘で、手がつけられないらしい。学校からも来ないでくれと頼まれる始末だ。
そこでだ。もし、お前がその子の家庭教師になって、剣士として人として一人前に育てることが出来たなら、学校に行かせてくれる。
そういう約束になっている。
お前はもうすでに森の魔物に囲まれても1人で突破出来るだけの力がある。お前は一人前だよ。卒業おめでとう。そして、自分の手で夢をつかんでこい。」
その日の昼、人の良さそうなおじいさんが迎えにきた。
聞けば、執事らしい。
馬車でゆらゆら揺られながら執事の人に尋ねる。
「これから、どこへ向かうんですか?」
「はい。ピルの中央、アルンでございます。」
「それと、僕が家庭教師をするという女の子について教えていただけますか?」
「アズお嬢様のことでございますか?
アズお嬢様は、幼いころから暴力しか問題を解決する方法を知らない方でございます。
使用人一同アズ様の扱いに関してはほとほと困り果てておりまして、奥様、ご主人様の悩みのタネにもなっていたようです。」
「そんな子の家庭教師にどうして僕が選ばれたんですか?」
「それは当然ですよ。あの伝説の英雄フリード様のたった1人のお弟子様です。ご主人様も期待されてますよ。
そんな話をしてるうちに、見えてまいりましたよ。
中央都アルンです。
お屋敷はこの道を直進すれば着きます」




