修行の始まり
翌日、俺はフリードに叩き起こされて、朝食前の修行をする。
「よし、坊主。その眠そうな面を覚ますための修行を始める。その前に、お前の実力が見たいからスパーするぞ。」
スパーとは、格闘技などで使われる用語でスパーリングの略だ。実践形式の練習を指す
俺は、フリードに連れられて庭に来た。
ここは平たく整備されていて、戦うにはちょうどいい場所のようだ。
「さぁ、始めようか。坊主はまだ剣が使えないだろうから、同じ条件にするため素手同士で戦う。ルールは自分の体のみで戦うこと。どちらかに有効打が決まった瞬間終わりだ。」
俺とフリードは、10mほどの距離を取って相対する。
「始め!」
フリードの馬鹿でかい声と同時にスパーが始まった。
フリードが地面を蹴り、こちらにものすごいスピードで突っ込んでくる。
そして、突っ込む勢いをそのままに回転し、後ろ回し蹴りを放ってくる。
早い…! 受け流しも回避も出来ないと判断した俺は上段蹴りで相殺しようとするが、フリードのパワーに押し負けた。
「ふぅ。決まりだな。
というか、お前、俺の後ろ回し蹴りを回し蹴りで受けようとしただろ。」
「結局、フリードのパワーに押し負けたけどね。」
「これなら、多少ハードな修行にしてもついてこれそうだな。」
フリードがニヤニヤしながら、育て甲斐があるとか呟いていたのは聞かなかったふりをした方がいいのだろう。
「お前がある程度戦えるようになるまでは、食料は勘弁してやる。だが、戦えるようになったらちゃんと食料確保しろよ?」
結構優しい部分があるらしい。
朝食後、フリードは俺の修行メニューをつくるから、午前のうちに図鑑を読んでおけと言われた。
図鑑を読めば、識別が習得出来るらしいから読んでおきたいと思っていたし、ちょうどいい。
お、これなんかいいんじゃないか?
魔物の図鑑。色んな魔物がいるな……
魔物はランク分けがされていて、下から順にE D C B A Sと分かれているらしい。Eランク程度なら、並みの大人でも討伐出来るらしいが、Cランクにもなると熟練の冒険者でないと対抗すら出来ない。
ちなみに、Aクラスは単体で軍1つ分以上の力があり、Sランクに至っては強すぎて強さが測れないとのこと。
特に、七罪龍はSランクの中でも格が違うらしく、その他のSとは比べものにならないくらいの化け物らしい。
『識別lv1を習得しました。』
脳に直接響くような声が聞こえた。
確かに識別を習得した、と言っていた。
これで俺は識別を習得したのだろうか?
とりあえず、近くの物に識別を発動してみる。
本
ランプ
家の壁
ふむ。なんとも使い物にならない。
いや、まだlv1だからか?
フリードは確か、レベルを上げればどうちゃらこうちゃらってらって言ってた気がするな。
というか、これ自分に識別を使ったらどうなるんだ?
人
あ、はい。まぁ、そうですよね。
これは手強い敵が出来てしまったようだ。
気長にレベリングするしかなさそうだな。
「おぅ、坊主。識別は習得できたか?」
「あ、うん。出来たけど、これ使い物にならなくない?」
「そう思うだろ? 最初は本当どうしようもないくらいのゴミスキルなんだが、使いまくるうちにレベルが上がって超便利スキルに化けるからありとあらゆる物に識別を使ってろ」
レベルを上げるには、使いまくるだけでいいのか。
ちなみに、俺がフリードに対してタメ口なのは、フリードからこれから一緒に住むんだから固いのは無しだ。って言われたからだ。
「そういえば、フリードが部屋から出てきたってことはもしかして……」
「おぅ、修行メニュー出来たぜ。
とりあえず、午前は一般常識を含めた座学をすることにする。本来なら学校に行かせるべきなんだろうが、あいにく俺には行かせることは出来ない。
午後からは夜まで修行だ。基本的に休みはなしだ。
そういうわけで、昼飯食ったら修行を始めるから、庭に来い。」
フリード……筋肉バカかと思ってたけど座学を教えられるのか
「ふむ。逃げずに来たことは褒めてやろう。」
いや、ただに庭に来ただけじゃないか。
まぁ、目的は修行だけど。
「さて、当分の間は剣を振るための体づくりと基本稽古をする。始めだからな、一時間走、腕立て50、腹筋50、背筋50、腹斜筋50、スクワット150、インターバルだけでいい。これを毎日行う。夜までかかることなんてあり得ないから、終わり次第剣を振る。とりあえず、走り始めろ。1時間経つまで休むなよ。」
最初からこれかよ……
こんなに小さい頃からこんなハードなトレーニングしても大丈夫なのか? 骨の発育とかさ。




