着ぐるみ
娘が19になったので、誕生日になにが欲しい?ときいた。すると、娘は、
「鳥の着ぐるみ」と言った。
わたしは1着の白い着ぐるみを娘に与えた。
プラスチックのくちばしがついていて、
座布団半分くらいの大きさの、パタパタと自由に動く涙形の翼がついている。
娘はそれを受け取るとにこりともせずにそれを着、部屋の中を丸く1周歩いた。
そして、台所で葱を切り始めたわたしのところにきて、まるで連絡事項を伝えるようにこう言った。
「じゃあわたしは今日から、鳥になりましたので、お皿に入ったスープは飲めません」
そしてコッコとつぶやきながら自分の部屋に戻っていった。