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hospital 1
手術台の上で、僕は目を覚ました。
白衣を着た人達が僕を取り囲んで何か話している。
「成功したのか?」
「目を開けたぞ!」
意識が朦朧としていて、目のピントが合わない。冷たいステンレスの心地よさに見を任せ、僕はまた意識を手放した。
次に目を開けた時には柔らかいベットの上にいた。
「起きたのかい?」
丸眼鏡をかけた優しそうな顔が目に入った。
「………ぁぃ。」
力が入らなくて、呂律が回らない。
「はは。無理に話さなくても大丈夫だよ。あ、お兄さんの方は少し前に起きたよ。」
お兄さん……?あぁ
そうだ、僕達は親に捨てられたんだ。
いや、親がいたのかも確かでは無く
記憶がないのだ。
いくら親の事を思い出そうとしても、その記憶だけノイズがかかっているかのように思い出せない。
そして、町をお兄ちゃんと歩いていてこの人たちに拾われたのだ。
段々と記憶が明確になってくる。
「お兄ちゃんは、どこ……?」
「隣の部屋だよ。連れて行ってあげよう」
とにかく、今はお兄ちゃんに会いたかった。