1/3
hospital 0
目を開けた時には、病院が燃えていた。
「助…けて……」
僕の真下から声がした。気づかないうちに、足首を掴まれていたのだ。
その人は赤子を抱えていた。
助けないと!そう思ったのに、僕は彼女の手を振りほどいていた。彼女の顔は醜く爛れていて、皮膚がどろりと溶け、異臭を放っていた。その恐ろしさが、この地獄絵図が現実であることを物語っている。咄嗟に足を蹴りあげて振りほどいたから僕はバランスを崩して倒れた。
『ぶにっ』
何か嫌な感触がした。腰が抜けて、立ち上がることもできず、僕は恐る恐る下を見る。
「………!」
薄いピンクの髪に、僕より少し小柄な体躯。そして、胸にある大きな手術跡。紛れもない、これは
「お兄ちゃん……!」