対処法その①
「あれ?桐壺さん?」
俺がそういうとたたたっとかけよってきた。
いつもみたいに、「そーた!会えるなんてやっぱり運命だねっ!結婚しちゃお。」といっている。
どうせ妄言なので聞き流した。
彼女の後ろに立っている二人の女子。彼女たちも美少女と名高い女子だ。
黒くて長い髪の大人しそうな方は、書道部の葵 織葉、そのとなりに立っている栗色の髪を2つに結んでいるのが水泳部の六条宮 鏡花だ。
類は友を呼ぶとはこの事である。
俺は直感的にそう思った。
なんだ、この美少女がたくさんいる空間は。
どこのご都合主義のギャルゲーだよ。
余談だが、見た目の好みでいえば六条宮さんだが、誰と付き合いたいかと言うと葵さんと俺は答えるだろう。ちなみに横にひっついている、桐壺はもちろんノットセレクトである。
「俺たちゲーム見にきたんだけど、桐壺さんたちも?」
志紀がきいた。三人もそうであるらしい。
三人はゲームがきっかけで仲良くなったらしく、楽しそうにそれについて話していた。二人と話すときの桐壺は普通の少女で、いつもの危ない空気は微塵も感じさせなかった。
こうしてみると案外桐壺もうざいだけのやつではないのかもしれない。
「ちなみに、あたしが一番好きなのはゲームじゃなくて……、そーただよっ!」
前言撤回しよう。桐壺はうざいだけのやつだ。
そうだ。そうにちがいない。
もし自分の彼女なら、いわれたら嬉しいかもしれないが、なんでもないやつに言われると言うのも変な感じしかしない。
六条宮さんと志紀は意気投合したらしく、二人で話初めていた。
ふいに志紀が話をふってくる。
「今、俺と六条宮さんがハマってるオンラインゲームあんだけど、皆でパーティー組んでやってみないか?けっこう楽しいよー。」
楽しそうな提案である。
俺たちはその提案に乗ることに決めた。
結局、みんなゲームが大好きなのである。
うざいやつも秀才も、美少女も、普通の人も。
「やっぱりヒーラーは必要だよね。」
「そうだねー。あと魔術師いると楽かも。」
「魔術師なら俺やるよ。」
いい感じに職業がまとまってきていた。
とりあえず、俺は双剣士にした。
「えへへー、そーた!ゲームの中でもあたしのこと守ってね!」
桐壺が意味不明なことをいっているので放っておく。といいたいところだがあまりにも発言が支離滅裂なのでさすがにつっこんだ。
「いや、お前守護戦士じゃん。盾持ってるんだし立場逆だろ。たくましいんだから、頑張ってみんなの盾になれよ。」
さすがの桐壺も一瞬固まった。
自分の発言の矛盾にきづいたらしい。
しかし、すぐに表情をかえ頬を赤く染めた。
「つまり、そーたのことずっと守れってこと!?そんなに、そばにいてほしいんだね…。うれしいな。」
「ちげーよ。」
この込み上げる苛立ちを誰か止めてくれ。