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家族-3

「私達は研究所で働いていたの。それは沙羅も知っているわよね」

 母親に言われ、沙羅は頷いた。

「そこで私達は、機械塔の研究をしていたの。機械塔と、『彼女』の研究を。……陽翔君は、知っていたみたいね」

「ええ、まあ。ある程度は」

 陽翔は頷いた。

「……沙羅、あなたは18年前に造られたの。見た目は普通の人間と変わらず、赤子の状態で成長する。でも、似ているのは見た目だけ。中身はれっきとした機械」

 母親から改めてそう言われ、沙羅は足を止めそうになった。

「と、思ってた」

「――え」

 伏せていた顔を上げると、母親は悲しそうに沙羅を見つめていた。

「情が移ったのね。……でも、そのせいで、余計に研究から離れることができなくなった」

「どうして……」

「今生きている機械人間を『彼女』の呪縛から解き放つためだ」

 沙羅の問いに父親が答えた。

「今のままでは普通の人間が怯え、また間違いを犯す可能性があった。……その懸念は、現実のものとなってしまった」

「もしもの時に、抜け道を作ってたんだけど。役に立って良かったとは言えないわね」

 母親が言う。

 暫くして、左右に道が開けた。

「右を真っ直ぐに進むと、町外れ近くにある小屋の地下に出る。そこにいる人に頼めば、町の外へ逃げられるだろう」

「私達は一緒には行けないけど、陽翔君がいるなら大丈夫ね」

「え?」

 沙羅はその両親の言葉に驚いた。

「そんな、お父さんとお母さんはどうするの?」

「私達は、機械塔へ向かう」

 父親は言った。

「今なら多分、塔の内部は手薄の筈だ。異変の原因を確認しなくては」

「危険です」

 陽翔が言う。

「どちらにせよ、このままではいられない。これは私達研究者が引き起こした事態だ。私達が責任を取る必要がある。……それが無理でも、君達が逃げる切れるまでの時間稼ぎくらいは出来るだろう」

 娘を頼む、と続けて言われ、陽翔は困ったように沙羅を見た。

「一緒には、逃げられないの?」

「他に襲われている人達を、見過ごす訳にはいかないわ」

 首を振り、母親は娘の願いを拒んだ。

「だから、」

 母親が続けて言おうとしていた言葉は。

 突如発生した爆発に飲み込まれた。

「な、何!?」

「気付かれたか……二人共、もう行きなさい」

 父親が沙羅と陽翔を促した。

「直に追ってがここまで来るだろう。その前に、街から離れるんだ」

「でも――」

 言いかけた沙羅の言葉に被さるように、また爆発が起こった。

 何が起きたのか把握する前に。

 危ない、と言った母の声と自分と陽翔を突き飛ばした父の腕が土砂に巻き込まれる様を沙羅は見た。

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