家族-2
裏口へ続く扉には鍵が掛かっていた。
二人の身長より少し高い生け垣が左右に伸び、間に格子戸が取り付けられている。
「先輩が鍵持ってないんじゃ、上から行くしかないかな」
「上から、って、登るってこと……?」
「先輩がいるから不法侵入にはならないよな」
そう言って陽翔は格子戸の上部へと手を伸ばした。
掴む前に、奥にある家の扉が開き、沙羅の父親が出てきた。
思わず二人は硬直したが。
彼は驚くどころか、口元に指を当て、
『どこかに盗聴器が仕掛けられている可能性がある。黙って付いてきなさい』
と書かれた紙を見せた。
そして格子戸の鍵を外す。
二人が黙って格子戸を抜けると鍵をかけ直し、踵を返して家の中へと入っていった。
後を追い、書斎らしき部屋へ入ると、更にその奥に扉の無い通路があった。
「な――っ」
沙羅が言いかけ、慌てて自分の口を抑えた。
三人が通路へ入ると、背後で音がした。
見当たらなかった扉が急に現れ、閉じた。
と同時に周囲に明かりが灯った。見ると壁には証明が取り付けている。
「あとは喋っても大丈夫だよ」
沙羅の父親が口を開いてそう言った。
「お父さん、私――」
「待って沙羅。今母さんが来るから」
その言葉通りに、通路の奥から女性が現れた。
「沙羅、無事で良かった。……そっちの子は?」
聞かれて沙羅が口を開く前に、
「三澤陽翔です」
と陽翔が言った。
「三澤……」
「そうです」
沙羅の父親の言葉に陽翔は頷いた。
「君が一緒にいるということは、話を聞いたのかい」
父親が沙羅に聞いた。
「私が、人間じゃないってことは」
「……そうか」
呟くと、父親は通路の奥へと歩き出した。
「歩きながら、話をしよう」




