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異変-4

「……ここなら大丈夫、か」

 商店街からかなり離れた、今は廃棄された工業団地の一画。

 少年は呟いて沙羅の腕を離した。

「とりあえずこれ持ってろ」

 言って、少年はペンダントを渡してきた。

「……これは?」

「電波を妨害できる。見付けられると面倒だからな」

 見ると少年も同じ物を首から下げていた。

「遅くなったけど、俺、三澤(みさわ)陽翔(はると)ってんだ。ちなみに一年」

「あ、私は菱川沙羅、二年。助けてくれてありがとう」

 陽翔が学年を告げたので、沙羅もつられてそう名乗った。

 菱川、と確認するように陽翔は呟いた。

「……二年、って先輩だったのか」

 タメ口きいちゃったな、と謝る彼を見て、沙羅は漸く落ち着きを取り戻した。

「別に気にしてないからいいよ。……それより、一体何が起きたの? 三澤君は知ってるみたいだけど」

 陽翔に訊ねてみると、

「先輩は知らないのか?」

 と以外そうに目を丸くされた。

「え? 普通にみんな知ってることなの?」

「知ってるっつーか、俺は知らされただけなんだけど」

 困ったように陽翔は頭を掻いた。

「先輩の親って、二人共研究所に勤めてるだろ」

 言って、陽翔はある研究施設の名を口にした。

「そうだけど……何で、知ってるの」

「俺の親も同じ場所に勤めてんだ」

 先程沙羅の名前を確認したのも、聞き覚えがあったかららしい。

「だから、俺が高校入った時に色々説明されたんだけど……まあ、その辺は端折るよ。そんでさ、あのおっさん達、ヒトガタって言ってただろ?」

「うん。それで――」

 ――金属の管。

 ――褐色の液体。

「――っ」

 思い出し、沙羅は口をつぐんだ。

「……言いにくいんだけど、ヒトガタってのは、人間に似せて造られた機械のことなんだ」

「…………」

 いきなりそんなことを言われても理解できるわけがない。

 が。

 知り合いに友人が殺され、その死体の様がどう見ても人間にしてはありえないという異様な光景を目の当たりにしてしまった以上、信じざるを得なかった。

「で、俺も先輩もその一人」

 それも、襲われたという事実がある。

「元々、機械人間(アンドロイド)は昔から一般化してたらしいんだ。この街が丸々研究対象になってて、俺達みたいなのは結構この街に住んでるってさ」

 まだ納得がいかない様子の沙羅に、陽翔は説明を続けた。

「ただ、数十年前に起こった事件で、電波塔――ああ、機械塔って言われてるあれの本当の名称な。その電波塔に異変があった場合は機械人間を壊す、ということになっていたらしい」

「……事件?」

「最初に造られた機械人間が暴走したんだ。……今は電波塔に封印されている。」

 いや、されていた。

 と、陽翔は電波塔の方角に目を向けて言った。

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