異変-2
悲鳴が上がった方向に目を向けると、悲鳴の主は複数の人間に囲まれていた。
否。
暴行を受けていた。
暴行というよりも、殺人だった。
何かは判別できないが、長く太いものを悲鳴の主に叩きつけている。
鈍い音に、金属音が混じっていた。
叩きつけているものの正体は鉄パイプで、それが対象から逸れ、コンクリートを打ちつける音だった。
ゆっくりと、赤黒い液体のような物が地面を濡らしてゆく。
悲鳴が途切れ、その人は動かなくなった。
沙羅の足は恐怖で動かない。
気付くと、そこかしこから人が現れ、同じようにしゃがみこんだ人を殴りつけ始めた。
それは沙羅の近くにも及び、友人の悲鳴が聞こえたかと思うと、友人が髪をつかまれて引きずられそうになっていた。
その相手の反対の手には、沙羅が普段なら目にすることがないもの――斧が握られていた。
それが意図すること。
切断。
「な――何するんですか!!」
やっとの思いで声を上げ、友人を助けようとしたが、手が触れる前に突き飛ばされてしまった。
「見て分からないか!!」
一人が怒鳴る。
「こいつはヒトガタなんだぞ!!」
鈍い音と共に、あっさりと友人の首が胴体から切り離された。
沙羅の方へと転がってくるその断面は。
銀色の光を放っていた。
「――え?」
それは管で、そこから赤黒い液体が流れている。
だが血液独特の粘り気や、鉄が錆びたような匂いはしない。
むしろ水のような、いや、臭気はまるでガソリンのような――。
「――っ」
そこで、沙羅は“ヒトガタ”が何か理解した。




