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最終話-上條和嘉の報告

「……それで?」

 彼女は上條から受け取った報告書に目を通した後、聞いた。

「元々のプログラムは上位の研究員であれば簡単に停止させられるものだった。ただ単に英田が介入していじくってイヴに起動コード組み込んでややこしくさせただけ。それは理解した。問題はその後」

 報告書をテーブルに叩きつけるように置き、反対側のソファーに座る上條を睨んだ。

「それで? 機械人間とやらはどうなった」

「あぁ、はい……」

 視線に耐えきれず、上條はやや斜め上に目を向けた。

 場所は某所にあるビルの中。

 上條が働いている探偵事務所の応接室。

 所長である女性に無理矢理座らされ、目の前で報告書を読まれていた。

 あまりのプレッシャーに押し潰されそうになりながらも、上條は口を開いた。

「事件の最中に生き残っていた機械人間はごくわずかだったんですが、電波塔を完全に停止させたので、彼らも動かなくなりました」

「死亡した、と」

「……はい」

「依頼人はどうした」

「三澤さんは重要参考人として話を聞かれたそうです」

 元々、上條のいる探偵事務所に依頼を持ち込んだのは三澤陽翔の父親だった。

 上條が二十年前に起きた事件の被害者だということを調べた上で、依頼に来たのだ。

 ――息子を助けたい一心で。

「……です、が」

「が?」

「結局、研究自体は頓挫せずに続けさせられるそうで」

「へぇ、懲りもぜずよくやるよ」

「それで今現在、外部からの監視の下、研究は続行中とのことです」

「閉鎖的環境での事件だったからな。しかし外部から人を入れたからといって今回みたいな事件が起きない保証はないだろうに」

 呆れつつ言い、煙草に火をつけた。

 一服吸い、

「まあ、ご苦労だった。ああ、給料はいつも通りにお前の住んでる孤児院宛てに振り込んどいたから」

「ありがとうございます。じゃあ、俺は今日はこれで」

 話は終わったとばかりに上條は立ち上がった。

「上條」

 ドアへと向かうその背に声をかけた。

「例えばの話。機械人間がこの近くで暮らしていたとして、普通には気付かないものかな?」

「……俺だったら、気付かないかもしれません」

「ふうん? じゃあもうひとつ」

 気のない返事で続けて訊ねた。

「――復讐は、果たせたか」

「…………」

 一瞬動きが止まり。

 よくわかりません、と呟いた。

「……少なくとも、所長にとってはものすごく、つまらないような終わり方でしたよ」

 振り向かないまま、お疲れ様でした、と言う声と共にドアが開き、上條は出て行った。

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