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回想-2
刺された英田は、咄嗟に部屋に設置されていた緊急ボタンに手を伸ばした。
研究対象に異変が起こった際、即座に全部屋へと連絡が伝わるようになっていた。
しかし、アダムにもその知識は備わっていた。
システムを逆手に取り、当時研究施設でもある電波塔にいた機械人間を全て解き放った。
ほとんどは未完成のままであり、その一部にアダムは軽い記憶の書き換えを行った。
人間は敵である、自分たちを殺そうとしている。生き残りたければ、先に殺すしかない。
いわば洗脳でもあるそれは、抗う術のない彼らには違和感もなく染み込んだ。
そもそも研究対象として造られていたのだから、実際廃棄されてもおかしくない。その現実すらアダムは利用した。
たとえ英田の死体を発見されたとしても、死んだのはアダムであり、殺そうとしていたので殺さざるを得なかった、という認識を他の機械人間を使い施設の研究員に植えつけたのだ。
大量に死体が出れば、誰も人間か機械人間なのかまでは調べないだろうという思惑を含めて。
生み出されて間もないアダムが一瞬にしてここまで行動できたのは、皮肉にも英田の研究員としての知識があったからである。




