表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/27

回想-1

「一体何を言ってるんだ、僕が英田拡じゃないだなんて」

 英田はイヴの言葉を信じられずに笑い飛ばそうとしたが、イヴは真剣な表情を崩さなかった。

「あなたの基になったのは確かに英田拡だけれど、あなた自体は、英田先生に造られた私と同じ機械人間よ。名前は『アダム』。……本当に、忘れてしまったの?」

 言って、自分の傍らで動かない『彼』を英田――アダムに見せた。

「あなたが、先生を殺したのに」

「――あ、」

 イヴの傍らには、薄汚れた白衣を身に纏った白骨死体が横たわっていた。

「うわあああぁぁぁっ!!」

 アダムは頭を抱え、その場にうずくまった。

「あなたは二十年前、事件当日に生み出された。見た目も思考も、英田先生と同じように設計されてはいたけれど」

「……ああ、そうだ。『僕にはイヴさえいればいい』と、僕も思った。だって、僕も英田拡なんだから」

 言われて、思い出した。

 ――イヴも『先生さえいればいい』と言ってはくれたけれど、実際の彼女は実験対象であり、自分はその研究員だ。この関係は決して変わらない。

 だから、実験対象としての自分を造ろうと思ったんだ。

 そう、英田拡は言っていた。

 それでも。

「私が好きなのは『英田拡』であり、実験対象だからとか研究員だからとか、そんなことはどうでも良かったのに」

 イヴは呟くように言い、かがみこんで骨となった英田の頭を抱き上げた。

 愛しそうに骨を撫でるイヴを見て、アダムに当時の感情が甦った。

「僕にはそれが許せなかった。同じ『英田拡』なのに何故君は僕のことを見てくれないのかと」

 彼女が自分を見てくれないのは、元々好きな『英田拡』が存在しているからであり、彼がいなくなれば、自分のことを『英田拡』として見てくれるのではないかと思ったのだ。

 そして、勢いに任せて、手元にあったペーパーナイフで彼の喉を刺した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ