電波塔-4
――誰かが叫んでいた。
ああ、これは夢だ、と陽翔は半ば眠っていた頭の中で呟いた。
眠るつもりなどなかったのだが、やはり体は疲れていたのだろう。
すぐ近くで、紗羅が同じように眠っている気配がする。
(…………?)
しかし、誰かの叫びは止まらない。
それどころか、叫び声はいつの間にか笑い声に変わっていた。
――見つけた!!
遂に僕の願いが叶う!!
依代が共に揃うとはなんという素晴らしい偶然か!!
(……よりしろ……?)
口には出さなかったはずだが、その誰かは気付いたようだ。
【そうだ、君の事だよ。三澤陽翔君】
声は直に聞こえた。
「!!」
驚き、体を動かそうとしたが、何故か自分の意思で動かすことができない。
【すまないけどその身体、僕が使わせてもらうよ】
「……な、」
陽翔は必死に体を動かそうとしたが、指先すら動かすことができない。
「……三澤君?」
様子に気付いたのか、紗羅が起き上がり、心配そうな顔で陽翔に近付いてきた。
「どうしたの、大丈夫?」
「――大丈夫だよ」
(――違う)
陽翔の意思とは無関係に、口が言葉を紡ぐ。
「そう? うなされてたみたいだから、嫌な夢でも見たのかと思った」
紗羅は気付かない。
と、いきなり陽翔の手が紗羅の腕をつかんだ。
「? どう――」
言いかけた言葉は、鳩尾への一撃でかき消された。
「――これで、全てが揃った」
意識を失った紗羅を抱き抱え、陽翔の声で言う。
(――お前は、誰だ)
「僕かい? 僕は――」
陽翔の声が答えようとする前に、
「動くな」
と、別の方向からの声に遮られた。




