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電波塔-3

「……眠れないの?」

 背後から聞こえた紗羅の声に、陽翔は答えずに振り向いた。

 上條から受け取った毛布を肩に掛け、心配そうにこちらを見ている。

「いや」

 一瞬考えた後。

「ここからだと、電波塔がかなり近いんだなーって思って」

 そう言って、陽翔は正面に向き直った。

 電波塔は、今陽翔達が隠れている場所から外観が確認できるほど近くに佇んでいた。

 しかし、そんな距離であるのに入口が見当たらない。

 裏側にあるのかもしれないが、そこまで確認したいわけでもなかった。

「あんまり近寄らない方がいいよ?」

 離れた場所から上條が言った。

「誰かに見付かるかもしれないし、それでなくとも君たちは『イヴ』の放つ電波に影響されやすいんだから」

「イヴ?」

 紗羅が聞いた。

「初代機械人間の名前。当時研究開発してた代表の人が名付けたんだって」

「……よく知ってますね」

「調べたんだよ」

 探偵ですから、と上條は言った。

 陽翔は紗羅と上條の会話を聞きながら、何か引っ掛かるものを感じた。

「……名前」

「え?」

「名前付けたんだったら、もっと愛着持ってても良さそうなのにな」

 例えば、紗羅の両親のように。

 そう考え、自分の父親の態度を思い出し「そうでもないか」と先の発言を取り消した。

「いや? 実際愛着はあったらしいよ?」

 知ってか知らずか、上條は更にそれを否定した。

「まあ多分、可愛さ余って憎さ百倍みたいになったんじゃないかな。だから彼は――」

 と、上條はいきなり言葉を切った。

「?」

 見ると、彼はじっと陽翔のことを見詰めていた。

「……なんだよ」

「気になるかい」

 上條は言った。

「その代表者が。何故愛着していたのに、あんな場所へ閉じ込めたのか」

「……」

 暫く考えたが。

「いや」

 と陽翔は首を振った。

「ぶっちゃけ他人のことに興味ないし」

「……そっか」

 何故か安堵したように上條は息を吐いた。

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