表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/27

電波塔-1

「おや、どうやら研究所の人じゃないみたいだね」

 銃口を向けた主は、そう言って首を傾げた。

 見た目はどこにでもいる普通の青年だった。

 しかし、その『普通の青年』の手には拳銃が握られている。

 おそらく沙羅達よりは年上なのだろうが、口振りからして、とても研究所の人間には見えない。

 陽翔は銃を向けられているせいか、身動きが取れないようだ。

 そして彼が銃を下ろす気配はない。

 このままでは埒が明かないので、沙羅は意を決して声を出した。

「あ、あの」

 沙羅が声を発すると、初めて存在に気付いたのか、

「あれ、女の子? ってことは――」

 と青年は何か考え出した。

 暫くして考えが纏まったのか、

「君、もしかして菱川さんの娘さん?」

 と訊ねてきた。

「は、はい。そうですけど」

「ご両親は?」

「それは――」

 言いかけて、瓦礫に埋まった映像が甦り、沙羅は言葉を詰まらせた。

「……ああ、話は後にしようか。今はヤバい状況みたいだし、一旦ここから離れよう」

 沙羅の様子で察したのか青年はそう言い、そこで彼はやっと陽翔から銃を離した。

「ちょっと待ってて。今追っ手が来ないようにしてくるから」

 そう言って二人を通すと、青年は二人が出てきた階段を降りて行った。

 姿が見えなくなった瞬間、陽翔がその場に座り込んだ。

「だ、大丈夫!?」

「大丈夫だけど大丈夫じゃねえよ!! 先輩、俺が撃たれること考えてなかっただろ!?」

「いや、そんなことは」

 無かったとは言えないが、沙羅は口にしなかった。

「まあ無事だからいいけどさ……それより先輩、あいつ信用できると思う?」

 立ち上がり、陽翔は青年が消えた扉を指して聞いた。

「……それはまだ分からない、けど」

「けど?」

「二人だけでなんとかできるとも思えないし……」

「そりゃあ、そうだけどさぁ……」

 陽翔は何やら不満そうに口を尖らせたが、扉の向こうから階段を上る足音が聞こえてきたため、表情を改めた。

 青年は戻って来たかと思うと、

「二人共、ここから出るよ」

 と唐突に告げた。

「は?」

「ほら早く早く。爆発に巻き込まれちゃう」

「爆発って」

 青年は陽翔の言葉を無視して二人を追い立てる。

 促されるままに小屋を出た。

 近くの林に飛び込み、頭を押さえられる。

 直後、爆発音が小屋を襲った。

 小屋だった物の破片が周囲に飛び散り、収まった頃にやっと青年は二人の頭から手を放して起き上がった。

「これで少しは足止めになるだろ。痕跡も消すことができて一石二鳥、ね?」

 爽やかに笑って言う青年。

 沙羅と陽翔は不安そうに視線を交わした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ