第6話 ピンチ!?
素人なりにがんばって書きました。よければ、読んでいって下さい。
「あんた、誰!?」
もちろん、この発言は俺が言ったものではない。母さんの発言だ。
一応確認しておくが俺園宮奏太は現在行方不明扱いになっている。
女の姿になった状態で母さんと会えるわけもなく、病院から逃げ出した俺を神田海斗(同級生)が家に置いてくれた。
今までの流れはざっとこんな感じだ。
もう一度言っておくが俺はいま女だ。
息子を心配して電話したら知らない女の人が出た。
そりゃこんな発言をしてもおかしくない。
今、俺が悩んでいるのはこの状況をどうくぐり抜けるかだ。
案を出していこう。
・・・やばいひとつも案が出てこねぇぇぇ!!
どうする?
俺が頭がパニック状態になっていることを知らない母さんは、
「もしもし?息子は近くにいるんですか?」
俺に何回も同じ質問を繰り返す。
だぁぁ!!こっちはいまどうするか考えてるんだよ!!
(でも、近くにいるって言えば時間が稼げるかも)
そう思った俺はとりあえず母さんに「近くにいますよ」と優しい声(できる限りで)で言った。
息子が近くにいると知った母は、
「本当ですか!?声を聞かせて下さい!!」
「え?あっ今まで近くにいたんですが自販機に飲み物を買いに行っていて」
予想外の要求に戸惑いつつ苦し紛れに嘘を言った。
「じゃぁ、息子が帰ってきたら変わって下さい」
へ?
変われ?
無理無理。だって今の俺は女だから男の声(もちろん俺の声)なんて出せたもんじゃない。
どうする?変に長い間黙ると怪しまれるかも知れない。
女になって逃げたときには考えもしなかったがこうなることは簡単に予想できたはずなのに、俺ってなんてバカなんだ・・・
自分のことを責めていると母さんが不審に思ったらしく、
「あの、もしかして息子が近くにいるのってうそなんですか?」
「いや、その・・・近くにはいるんですが・・・」
自分でも情けないぐらいに言い訳が出てこなく言葉に詰まってしまう。
でも、なんとか言葉を発しないと・・・
少ない通行人が携帯を片手に真剣に悩んでいる俺(美人)を見ているが、気にしてられない。
なんとしても、この場を乗り切らないと。
(でも、なんて言えばいいんだ?)
彼女って言っても信用してもらえないだろうし・・・
友達って言ったら?・・・いや、こっちの方が信用してもらえない。
どうしよう・・・
俺が悩んでいても母さんの発言は続く、
「というか、なぜ女の人が息子の携帯に出るんですか?知り合いですか、知り合いじゃなかったら~」
永遠と母さんの質問責めが続いてる、半ば呪文に聞こえてくる・・・。
もう、何を言っても信用してもらえないのではないかと思うが言わないことには始まらない。
携帯を落としているのを発見したのをたまたま見つけ、たまたま携帯が鳴って、誰もいないからたまたま俺がそれを取って電話に出た。
完璧じゃないか。なぜ、これを早く言わなかったのか。たまたまが多いのが気になるが・・・。
俺は母さんに今考えたことをそのまま伝えた。
「でも、さっき自販機に行ったと言いませんでしたか?」
あ・・・。
やばい、すっかり忘れていた。
でも、ここで引き下がっては負けだ。
「自販機がある方向へ財布を出しながら向かっていたので、そう思っただけなんですが」
優しそうな声になることを心がけてそう言うと、
「奏太は、息子は無事なんですね?!」
「はい、この携帯を落としたのが持ち主なら確かです」
「よかったぁ」
母さんはとても安心したように、呟いて
「ありがとうございました。息子が無事で良かったです。その、携帯は交番にでも届けてください」
「はい」
「では、失礼します。・・・・・家でかしら?」
「「プ~・・プ~・・」」
最後に母さんが呟いたのが聞こえたが、そう信じてもらえたらありがたいと思う。
ふぅ、下着を買いに行っただけなのにこんなに疲れるとわ。
「俺この先やっていけるよな?」
俺は今日買ったばかりの下着が入った袋を眺めてそう呟いた。
楽しんでいただけたでしょうか。次の更新もできるだけ早くしますので、よければ読んでいって下さい。




