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ぼっちな俺が美女になった!  作者: ミトン55
女になっての学校
15/21

第14話 縮まらない距離

 どうもミトン55です。読んでいただければ嬉しいです。

では、お願いします。


「はぁ・・・」

 

 思わずため息をつく。

 もう何日も神田と話していない。

 いつも神田の横には木下がいる。

 

「はぁ・・・」

 

 もう何回目だ?

 ため息が止まらない。

 やっぱりあの時のことが・・・


「「好きじゃないけど」」


 あの言葉が・・・。

 神田を傷つけたのだろう。

 でも、今更謝ったって・・・。

 謝ったところでどうなるだろう?

 そんなことを思っていると神田と木下が教室に入ってきた。

 木下の席で楽しそうに話していると、他の女子達が羨ましそうに木下を見ている。

 俺もその一人だ。

 ボーと神田のことを見ていると5時限目のチャイムが鳴った。

 神田は木下との話を終え自分の机に戻ってきた。

 その時、俺のほうを見た気がするが気のせいだろう。

 俺は準備を済ませ授業を集中して聞いた。

 

~放課後~

 特に何もなく、授業が終わり帰りのHRが終わりみんな部活の準備や帰り支度をし始めた。

 神田も帰りの支度を済まし帰ろうとしていた。

 

「かい・・・」


「海斗君一緒に帰ろう?」


「ああ、いいよ」


 神田に話しかけようとするが、木下の声で消されてしまった。

 クラスの女子達は「推花ちゃんまた?」とか「ずるいよ木下ちゃん」など声が上がっている。

 木下はそんな彼女たちに微笑んで神田と教室に出た。

 

「はぁ・・・。木下ちゃんいつの間に」


「いいよねぁ」


 など、木下と神田が教室を出た後そんなことをぶつぶつ言っていた。

 俺は神田と話すタイミングを失ってしまい一人で帰り支度を済ませ教室を出た。

 男子生徒達に一緒に帰らないか誘われたが一人でいたい気分だったので断った。

 玄関で靴を履き替え校庭に出た。


「はぁ・・・」

 

 いつも神田と通っていた道を一人で帰る。

 寂しいという感情でいっぱいになる。

 とぼとぼと歩いていると神田と木下が前を歩いているのが見えた。

 俺は歩くスペースを少し遅くする。

 どうやら、木下の家に向かっているところらしい。

 木下と話している神田の笑顔がなぜか胸にささる。

 木下の家に着いたらしく二人で入っていった。


 俺は二人が家へ入っていくのを確認してから早歩きで家へ向かった。

 家に着くと絵里さんが出迎えてくれた。


「あら、太矢ちゃんおかえり」


「・・・ただいま」


「・・・?」


 ちょっと開いた間に疑問を感じたらしいが俺の暗い顔を見て察してくれたらしく何も言わなかった。

 

「部屋にいますね」


 俺はそう言うと、部屋へ向かった。

 絵里さんに食べ物や飲み物を勧められたが今は喉を通らないだろう。

 部屋へ入ると着替えをする前にベットへ倒れ込む。

 何もやる気が起きない。

 神田の笑顔が自分以外に向けられるのがこんなに寂しいなんて・・・。

 

「はぁ・・・」


 神田は今頃木下と勉強や昔話で盛り上がっているのかな?

 そんなことを考えて横になっていると一階から声が聞こえてきた。


「海斗、おかえり。推花ちゃんもいらっしゃい」


「ただいま」


「おじゃまします」


 そんな声が聞こえた。


「俺たち部屋いるから」


「分かったわ。後でお茶菓子でも持って行くから」


「ありがとう」


 階段を上がってくる音が聞こえた。

 神田達だろう。

 神田の部屋に入っていった。 

 

「海斗君家にまだ園奏さんっているの?」


 木下が神田にそんな質問をするのが聞こえた。

 

「え?ああ、いるよ」


「ふ~ん」


 神田の答えに少し不満そうな声を上げる。

 

「なんで、そんなことを?」


「いや、特に理由は」


「今日は勉強やるんだろ?」


「うん」


 神田がそう言うと木下と勉強を開始したらしい。

 しばらくは、何も聞こえない。

 俺は制服から部屋着に着替えた(繰り返すが下着姿を見るのは慣れた)。

 そして、再度ベットに入る。

 隣からは楽しそうに勉強をする二人の声が聞こえた。

 混ざっていっしょに勉強したいが勇気がない。

 

(いくら、女になってもこれじゃ・・・)


 すると、部屋がノックされ絵里さんが入って来た。

 

「お菓子持って来たんだけど?」


「ありがとうございます」


 俺はそう言うとテーブルを用意する。

 二人でお菓子を食べ始める。

 しばらくすると絵里さんが


「最近、何かあった?」


「特に何も・・・」


 沈黙が続く。

 絵里さんが心配してくれるほど今の俺は暗いのかな?

 絵里さんは俺を元気づけよとしてくれているらしい。

 

「最近、海斗とはどうなの?」


「話してないですね・・・」


「え?学校でも?」


「はい・・・」


 絵里さんはひどく動揺する。

 何か言おうにも言えないでいる。

 

 お互いに無言のままお菓子を食べる。

 俺は隣から楽しそうに話している二人の声を聞くと胸が痛い。

 それに、女になって涙腺が緩くなっているらしく涙が出やすくなっている。

 

「海斗君教えるのうまいね」


「それほどでも」


 こんな普通の会話でも神田が他の女性と話しているだけで・・・。

 頰に涙が伝った。


「太矢ちゃん?」


「あ、あの。これは・・・」


 絵里さんが泣いている俺を見て、お菓子を置き俺の側に座った。

 

「あ、あの・・・」


 なんて言えばいいのか分からなく戸惑っていると絵里さんが何も言わずに俺を抱きしめてきた。


「え、絵里さん?」

 

「いいの。しばらくの間」


「はい」


 俺は絵里さんを抱きしめ返した。

 涙は止まらないが絵里さんの優しさが嬉しかった。


(確か神田にもこんな風に・・・)


 俺はそんなことを思いながら、絵里さんの優しさに思いっきり甘えることにした。

 

 

 

 楽しんで読んでいただけたでしょうか。ご愛読ありがとうございました。

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