第10話 女なりの苦労
どうも、ミトン55です。今回も楽しんで読んでいただけると嬉しいです。
では、よろしくお願いします。
HRを終えた俺は特にすることもないので神田と話をしている。
そこに同じクラスの女子集団(3人ぐらい)が近づいてきた。
女子達は俺を見るなり嫌そうな顔をして、俺に言ってきた。
「あんた、神田君の何なの?」
「来たばっかで神田君と話すなんてむかつく・・・」
と、次々に言ってくる。男子の時もそうだったが俺は何も悪いことはしていない。なのに何でこうも悪く言われないといけないんだ。
思わず俺は泣きそうになってしまった。
そんな、俺を見て神田が、女子達に向かって
「お前らよくそんなこと言えるよな」
「え?」
女子達は自分たちが言われていることに気づいていなかったが神田の視線が自分たちに向けられていることに気づくと
「いや、私たちは神田君のことを思って・・・」
「俺のことを思っているんだったらまず太矢ちゃんに謝って」
神田は視線を女子達から外さずにそう言いきった。
女子達は納得してない様子だったが俺の方を見て「ごめんな」と言いながら自分たちの席に戻っていった。
神田のことをかっこいいと思ってしまったが、今はそれより礼を言うのが先だ。
「ありがとね」
「いいんだよ。このくらい」
神田はニコッと笑いながら言ってきた。
それと同時にチャイムが鳴り始め先生が教室に入ってきて、一時限目が始まった。
~50分後~
一時限目が終わりトイレに行きたくなった俺は教室を出て、トイレへ向かった。
トイレの前に立つとなぜか緊張してしまう。
俺はいま女子トイレの前に立っている。
緊張しなくてもいいはずなのだが一応心は男だから・・・。
入っていいのか戸惑ってしまう。
我慢も限界だったので俺は決意し、周りに誰もいないのを確認して女子トイレに入った。
~5分後~
「はぁ・・・。」
トイレに入ったまでは良かったのだがその後に他の女子達が入ってきてしまい。個室から出られなくなってしまった。
他の女子達がトイレから出たのを確認し俺もトイレから出た。
教室に着くとまだ生徒達が友達どうし話をしたりしている。
(友達か・・・。)
そんなことを思いながら俺は席に着く。
二時限目のチャイムがなり俺は授業に集中しようと思い前に視線を向けた。
~四時限目終了~
俺はぐったりと自分の机に顔をつけていた。
四時限目のは体育だった。
でも、勘違いしてはいけないのは別に体育で疲れた訳ではない。
体育の前の更衣室だ・・・。
俺ももちろん女子更衣室で着替えなくてはいけないのだが、みんなそれなりに可愛いしそんな女の子達といっしょに着替えなんて俺の身体が保たない(保ったけど)。
体育の授業を受ける前に俺は疲れ果てていた。
でも、何とか体育を終え更衣室でそっこうで着替えを終え教室に戻ってきたところだ。
ぐったりとしている俺の頰に何か冷たい物が当たる。
「ひゃっ!!」
びっくりした俺は自分の声とは思えない声を発した。
顔を上げるとそこにはベットボトルを持った神田が立っていた。
たぶん、俺の頰に当たったのはそのペットボトルだろう。
神田は笑みを浮かべている。
俺がびっくりしたのを見て満足したのだろう。
そして、
「いっしょに弁当食べない?」
「いいよ」
俺は断る理由もないので誘いを受けた。
そう返答した途端男子生徒たちがため息をつき始め、食堂向かって教室を後にした。
俺はその男子生徒の背中を見送ってから、弁当を開ける。
それに合わせて神田も弁当を開ける。
もちろん、お互いに絵里さんが作った弁当なので中身は一緒だ。
弁当に手をつけようと箸を伸ばすと、今度は女子達が神田の元へ集まってくる。
「神田君、今日はご飯いっしょに食べてくれるんでしょ?」
「この、ウインナー自信作なんだ!!」
など、神田にご飯のお誘いを迫っている。
しかし、神田は
「ごめん、今日は太矢ちゃんと食べるから」
と、申し訳なさそうに言った。
女子達は俺の方を一瞬見たがすぐに、「じゃぁ、今度ね。絶対だよ!!」などと言って自分の席に戻っていった。
改めて神田の人気ぶりを実感した。
さすがにお腹が空いていた俺は、弁当に手をつけた。
可愛らしい弁当箱には量的には少ないが可愛らしい具材がいっぱい入っていた。
「え?太矢ちゃんの弁当可愛いね」
神田は自分の弁当と見比べながら残念そうに言った。
そんなことを話しながら、昼食を食べた。
「「ごちそうさまでした」」
俺と神田はいっしょに食べ終わると、
「園奏さん!!」
男子生徒達が待ってましたと言わんばかりに教室内に入ってきた。
「あの、神田とはどんな関係で」
「好きな食べ物はなんですか?」
「メアド交換してくれませんか?」
などと、次々に言ってきた。
すると神田がため息をつきながら、
「今日太矢ちゃん来たばっかだから質問とかは明日にしとけよ」
と、少し呆れた感じで言った。
「でもよ・・・。」
「聞こえなかった?」
と、神田は声のトーンを少し下げて言った。
男子生徒達は、納得してないような顔をして自分の席に戻っていった。
「はぁ・・・」
「ありがとね」
「いや、いいんだ・・・」
神田は少し疲れたように言った。
それから、五時限目・六時限目と終わり帰宅時間を迎えた。
帰り遊びなどに誘われたが、断った。
そして、神田と帰路についた。
「どうだった。学校初日は?」
「楽しかったです。疲れましたけど・・・」
神田は笑いながら俺の手をとった。
俺は手を握り替えしながらこんな学校生活もいいかな?
など思いながら神田と一緒に笑いながら、家へ向かった。
楽しんでいただけたでしょうか。ご愛読ありがとうございました。




