俺の恋はまだ始まらない
「え…嫌です。」
俺の名前は橘見里。
ごく一般の中三だ。
「頼む、お前しかいないんだ…」
え?今何をしているかって?
それは会話でわかるばずだよ
「いや、僕より最適な人はいっぱいいるかと…」
「お願いだ!俺はお前がいいんだよ!!」
もうおわかりかな?そう、俺は今
「いや、でも」
「頼む!〇〇中の代表として、△△高に行ってきてくれ!!」
めちゃくそめんどくさい仕事を教師から頼まれている最中だ。
「いや、ほんっと嫌ですって…何で僕?」
「お前が一番礼儀がなってるからだ」
卒業を間近に控えた俺達3年は、進路に向けて忙しい日々を送っている。
無論俺も忙しい。
だが、△△高校で行われる、各中学教師生徒一人づつ参加の高校入試説明会に、何故か俺が選ばれたのだ。
こんな忙しいってのに!
「ちょっとだけだから、すぐ終わるから」
「いやいやいや、そこに約二時間って書いてあるじゃないですか。受験生の二時間は大事ですよ」
ここはなんとしても断らねば、こんな茶番に付き合ってられねぇぞ…
「二時間ぽっちかわんねぇよ!なんなら睡眠時間を二時間減らせばいいだろ?」
「受験生の睡眠時間は大事ですよ」
「あ~も~、時間にとらわれすぎ、もっとフリーダムになれよ…」
ったく、何だよこの教師は…俺は●●高校目指してんだから、この時間も勉強してたいっていうのに…
「えぇもうほんっと勘弁してください…この時間がもったいない…」
「んだよガリベン!お前の悪いところは真面目すぎるところだ。もちと先生を見習え!」
「説教なら帰りますね、説明会の件は他の人に」
「あ、すまん冗談だぜ!」
くっそ…!こうしている間にも、他の受験生との差がどんどん広がっていく…
「あの僕何があってもいかないんで」
「よし、じゃあ来てくれたら入試に役立つ参考本をくれてやる!」
「で、説明会の日程は?」
くっそ…俺としたことがワイロでつられてしまうとは…
結局説明会には俺が行くことになった。
だが、参考本をもらえるなら…
いつからだっけか?俺がこんなに真面目になったの
あ、こうみえても俺学年トップ10に入ってるほど頭いいんだぜ?
ま、中一の頃はちがかったけど…
|(え?ここまで恋愛要素もギャグ要素もゼロだって?頼む!もう少し待っててくれ!これ前置きみたいなもんだから!あとから盛り上がるから!)
「ただいま~」
ま、とにかく勉強だ。さっきのつまらん前置きの間分勉強せねば
「お帰り見里」
「うわっ、もう帰ってきてんのかよ…」
リビングにはすでに先客の姿があった
コイツは小5の俺の妹の凜花だ
妹がいるとうるさくて集中できねぇんだよな…
「なあに?また勉強するから私が邪魔ってこと?」
「まさにそのとうり」
何だ、わかってるじゃねーか
ここは気をきかせて出てってくれるよな
「見里…あんた勉強しすぎでしょ…。ガリベンもいいとこだわ。見里のせいで私なんて呼ばれてると思う?」
「天才の妹」
「違う!たちバナナよ!何よバナナって?これも全部、見里が勉強の合間にバナナ沢山食べるから…!!」
「いや、それ俺関係ないから、間違いなく苗字のせいだから。」
たちバナナって下ネタ?
最近の小学生怖いわ~…
「とにかく、あんたは勉強しすぎ!息抜きも必要だよ?残りの中学人生楽しく生きよ?」
コイツは小5の分際で兄である俺に指図しやがる。
残りの中学人生どう頑張るかで高校の人生が決まるというのに
「勉強してねーと不安なんだよ…。俺のとっての息抜きは勉強だ」
このセリフは勉強大好きクンが言うセリフだが、俺は勉強好きじゃねぇ。
でもとにかく死ぬほど勉強しないとあの高校にいけないけらな
ここで言っておこう!
俺が目指している高校は偏差値70越えのまぁ、頭のいい高校だ
そこは同じ中学の奴が一人も受けない為、俺は高校でイメチェン出来るわけ。
なんてったって俺今、学校でぼっちですから!俺の性格180度回転させて一人称が『僕』キャラ作ってますから!
まぁ、詳細はいずれか話すぜ!
とにかく、高校で楽しい生活を過ごすために俺は勉強しなくては!
「恋かしら?」
「えっ?」
突然凜花が呟く
濃い?鯉?故意?
「見里は恋心とかないから、そんなに勉強一筋なのよ。あんた人好きになった事ある?」
なんだよいきなり…
恋だって?んなんあたりまえじゃねーか。
恋くらいするわ!俺だって!!
「あるね、それも何度も」
「うっそお!!見里全然女の子に興味ないと思ってたのに」
「え?あぁ、まぁ、女子にはな…」
「え?何て言った?」
「別に」
「でもあんたには真の愛がないわ。この機会に恋しちゃいなさいよ、そしたら毎日ウキウキするから」
「恋ねぇ…」
俺にはそんなの要らないな
どうせ片想いで終わるし…
俺の恋は叶わねぇ
だってゲイな訳だし…
この時の俺はまだ知らなかった。
世界にはあんな人間がいるなんて…